武田邦彦

Profile

1943年6月3日、東京都生まれ。1966年、東京大学教養学部基礎科学科卒業後、旭化成工業(株)に入社、1986年、同社ウラン濃縮研究所長、1993年、芝浦工業大学工学部教授を経て、2002年より名古屋大学大学院教授、2007年より現職(専門分野:資源材料工学)。多摩美術大学非常勤講師。文部科学省中央教育審議会、科学技術審議会、内閣府原子力安全委員会の専門委員。環境に関する著作が高等学校現代国語の教科書に収録されている。最近では、「ホンマでっか!?TV」をはじめ、テレビ番組にも出演。これまでの「環境問題の常識」に警鐘を鳴らす。

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――最後に、今後の武田先生の野望はなんですか。


武田邦彦氏: 僕はね、テレビで「50歳以上は生きている意味がない」と言っているんです。さんまさんには、『何でー』と言われていますけどね(笑)。

僕の考えですが、人生を2つぐらいに分けておいて、50歳くらいまでは目標を持った人生を送る。やっぱり目標をもった人生も若いうちは悪くないんですよ。50過ぎたら1日1日の人生。全く違うんですね。

僕は50歳過ぎてからは『今日も朝』と色紙に書くんですよ。何かっていったら、50歳以上を過ぎた人は、朝起きたら『今日もあるか』と思えばいいんですよ。今日だけ1日、また次はまた1日。だから全然目標も野望も何もありません。
もちろん若い時から目標がなくてもいいと思うんだけど。若いうちは若いという精神的な欠陥があるから、目標がある方がその精神的欠陥を補うのにいいんですよね。だから50歳くらいまでは目標があって一生懸命やっていいと思うんです。

ある日さんまさんだったかな、誰かに「武田先生みたいにあがらない人って見たことない」と言われたんですよ。何で僕があがらないかというと、目標がないからなんですよ。「またこの番組に呼ばれよう」とか、そういう気持ちがないんですね。

スタジオってこうなっているんだとか、さんまさんって長い間テレビ見ていたけどこの人かとか、磯野貴理さんはこういう人かとか思っているから、あがりようがないでしょ?

それからある時、芝浦工業大学の学長代理になったんですけど、学生の除籍だとか退学だとか入学許可とかお金の問題とかやっていたわけですよ。夜の10時頃まで一生懸命やるんですよ、大学って面白いなと思ってね。

そうするとみんなは「学長を狙っている」と思うんですよ。人の行動には、必ずなにかしらの目標があって、そしてその人は動いていると思うんですよ。でも全然関係ない、面白いからやっているだけ。
面白いからやっているというのは、何歳からそういう風にするかは難しいけど、50歳くらいなら目標あってもいいかなとは思ってはいるんだけど。50歳までは目標なくたっていいかもしれません。だから僕には、50歳以降は全然、何の目標もない。

それから、自分の社会的役割を果たそうと思っています。目標とは関係ないですよ。

今自分に求められていること。例えば原発で被爆で苦しんでいる人がいたら、お母さんにそれを教えないといけない。それは目標があってこれで自分は本を書こうとかでやっているわけではないから。義務感というのもあるので、好きでやっているのとはちょっと違うんですけどね。普通の日本人としてこれをやらないといけないということもあるし。

自分の発言で、色々攻撃されて、一時は危なかったから家族で別居しましたしね、2年間。ものすごい攻撃だったから。これもあなたの言った通り、まだまだ日本は民主主義じゃないんですよ。
「違う意見がいけない」という人がいるんですよ。「お前はなんでそんなこと言うんだ」と言われれば、「いや私はそう思っているからです」と言ってね(笑)。

その2年間は、近くにアパート借りたんですよ。年賀状もやめて。面倒だったのは、銀行の書類ですね。これらの書類に関して、私が取りに行くから郵送しないでくれと言ったら、「いやこれは自宅に送ることになっているんだ、規則なんだ、自宅に送って本人確認をするんだ」とか、そういうのがあるんですよ。

職場だって住所書かないといけないんですよ。だからどうしても割れちゃうんですよね。だから住所隠しておくとか電話番号隠しておくとかできないんですよ。そうすると自宅の電話番号書くから電話番号バレちゃうんですよね。隠せないですね。今はうちは表札はないのですが、それでも「武田先生あそこに住んでいる」というのが大体わかりますからね。

――大学でご自分の職務において「妨害されているな」と感じることはありますか。


武田邦彦氏: 大学はギリギリ(セーフ)ね。まだ僕がクビにならないくらいだから。「僕をクビにしろ」というのは2回ほど大学の理事会にかかっていますからね。クレームが山ほど来るわけじゃないですか。だからそういう点では、まだまだあまり民主主義とはいえないけれど。


取材場所:日比谷パレスにて取材を行いました。 HP:http://www.hibiyapalace.co.jp/

(聞き手:沖中幸太郎)

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