田口ランディ

Profile

東京生まれ。作家。2000年に長編小説「コンセント」でデビュー。以来、人間の心や家族問題、社会事件を題材にした作品を執筆している。「できればムカつかずに生きたい」で婦人公論文芸賞を受賞。小説以外にも、ノンフィクションや旅行記、対談など多彩な著述活動を展開。08年には父親の看取りをきっかけに終末医療とエリザベス・キューブラー・ロスの死生観を描いた「パピヨン」(角川学芸出版)を発表。2010年より対話のできる世代の育成のため「ダイアローグ研究会(明治大学)」を開催、また、地元湯河原で「個性をだいじにする会 色えんぴつ」を立ち上げ、発達に問題を抱える当事者、家族と様々なイベントを企画している。

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屋久島に行く人に、田口ランディファンが多いワケ


――田口さんは旅行もお好きなんですよね。特に屋久島がお好きだと伺いました。


田口ランディ氏: そうなんです。本当に屋久島が大好きで。屋久島の本も2冊ぐらい書いていて、よく旅行に行くんですよ。屋久島では、昔から知っている素泊まりの民宿に泊まって、自炊するんです。

――エッセイ集『癒しの森 The forest of grace ひかりのあめふるしま屋久島』と、写真家・山下大明さんとコラボなさった『いつか森で会う日まで』ですね。


田口ランディ氏: だから、私の本を読んで、屋久島に行かれる方も多くて。それで私が泊まった時に民宿の奥さんが「あのね、今日、田口さんの本を読んで、屋久島に来たという人がいっぱい泊まっているから、夕ご飯の時に、みんなに田口ランディさんが今日ここに泊まっているんですよって、紹介してもいいかな」って言うから、「ああ、いいですよ」みたいな事を言ってね。

そして、夕ご飯の席に宿泊客が15、6人並んだんですよ。奥さんが「みんな今日は大ニュースがあるのよ! なんとあの小説家の田口ランディさんが泊まっているんですよ!」と言ったんです。お客さんは私の本を読んでいるわけですよ。それなら、私が女性だという事も書いてあるから分かっているはずですよ。日本人で女性だというのは、私のエッセイを読めばわかるでしょう。それなのに、「えぇぇ!」ってみんなが驚いて、一斉にそこに一人で泊まっていたフランス人の男性を見たんです(笑)。そこで、彼は、「違います!」って否定していて。そこで、「でもランディさんは日本人だし」となって、「あ、そうだよね!」って納得していました(笑)。

それを見たとき、「人間の条件反射って、すごいな」と、ビックリしたんですよね。

――それは、宿泊者にとってサプライズでしたね。屋久島にはいろいろなお酒がありますけど、何か楽しまれたりはしますか。


田口ランディ氏: 「三岳」という焼酎があります。おいしいんですよ。いつも「三岳」を飲むのを楽しみにしていたんですが、屋久島がとっても有名になってしまったでしょ? 私が通っていた初めの頃って本当に人がいなかったんですよ。森に入っても私しかいないということが多かったんです。いつもそんな感じだったんですけど、ところが、あっという間にこの10年で有名になってしまって、「三岳」も最近、1人1本までとか、売り切れが多くて「えぇぇ!!地元なのに」って。ちょっと残念なんです。

でも、屋久島は水が美味しいからね。何かあそこで飲むとね、普通のインスタントコーヒーでも美味しいんだよね。

――屋久島は結構雨が多いと聞きますね。


田口ランディ氏: 雨は多いですね。雨は本当によく降るけど、1日中降るということはあまり無くてね。島のこっち側が降っていると反対側は晴れていたりということが多いんですよ。
高い山があって、気流がそこにぶつかるので、天気が分かれるんですよね。だから晴れている所を探してぐるぐるしているとか。

――面白いですね。屋久島へはどういうルートで行かれるんですか。


田口ランディ氏: 大概は鹿児島から乗り継ぎして、飛行機で行っちゃうけど、時々鹿児島港からフェリーで行くというのもあります。フェリーもまた楽しいんだけどね。ただ、滞在時間が短いときは早く着きたいので、飛行機で行っちゃう感じです。鹿児島から35分~40分ぐらいかな。

――屋久島といえば、「首折れ鯖」(※鹿児島県屋久島で水揚げされるゴマサバ)が有名ですが、食べたことありますか。


田口ランディ氏: ああ、首折れ鯖ね。まあ、ただの鯖ですけど(笑)。要するに新鮮という事なんですよね。首を折って血抜きするんです。「鯖スキ」っていう、すき焼きの肉のかわりに鯖を使う料理があって。生の鯖を、すき焼きみたいにして食べるんです。

――新鮮だからこそできる料理なんでしょうね。


田口ランディ氏: 鯖は走りが早いですからね。

――今年は屋久島には行かれる予定はありますか。


田口ランディ氏: 今年は、何も予定を入れていないですね。去年は海外に2回行って、とっても疲れちゃって。去年はしんどかったな。震災があって原発事故があって……。今年はあまり予定を入れずに、ちょっとゆっくりしたいんです。後半は仕事場も新しくなったし、執筆に専念しようかなと思っているんです。

湯河原が好き。一目で気に入って、18年間住んじゃいました


――今は湯河原に住んでいらっしゃいますが、ここに決められたきっかけみたいなのはあるんですか。


田口ランディ氏: 駅を降りた時にすごく気に入ってしまって。「絶対ここに住もう」って決めてから、すぐに物件を探して。それ以来、18年住んでいるんですけど。

――素晴らしいところですよね。18年というと、執筆、デビューの作品の前から住まわれているということですよね。


田口ランディ氏: そうです。ここで子どもを産んで育てている時に、デビューしたので。

――お子様にとっての環境も抜群じゃないですか。


田口ランディ氏: そうなんですけど、学齢期になると学校が全然無くて(笑)。

東京だと、いろいろな学校や、いろいろな専門学校があって、何にしようかという選択肢がいっぱいあるじゃないですか。湯河原にいると本当にボケちゃいますよね。物欲を刺激するものも何もないし、お金を全然使わない。だから、吉祥寺に越したら急に小金使いが荒くなって荒くなっちゃいました(笑)。なにかちょっとしたものが可愛いから、つい買っちゃう。100円ショップですら、凄くおしゃれで。外観も普通のアクセサリー店みたいな感じで、レイアウトもこっていて。でも100円ショップなんですよ。100円だと思うとつい毎日何かをちょこちょこ買っちゃって、すごく小金を使うようになっちゃった。「物欲が肥大する場所だなー、都会は」と思いましたね。

湯河原は湿度がすごく高いんですよ。海が近いから。だから私は湯河原に帰ってくると、髪がしっとりしてくるんですけど、吉祥寺にいるとカッサカサになっちゃうんですよ。こんなにも違うんだと思ってビックリしました。

――ちょっとお話が変わるのですが、ご自宅もステキですね! こちらのお部屋の本棚はオーダーメイドで作られたんですか。


田口ランディ氏: はい、これは作りつけです。こんなに広いところがあるにも関わらず、吉祥寺は1Kに住んでいるんですよ。すっごい狭いですよ。この3分の1ぐらいしかないんじゃないのかな。

――先ほど拝見したんですが、こちらのマンションにはプールがあるんですか?


田口ランディ氏: ここは温泉がついているんです。プールは子ども用なんですけど、大浴場がついていて。リゾートマンションということになっているので、温泉には住民は無料で入れるんです。この辺のマンションは、ほとんど大浴場付きになっていますね。みんなお風呂を掃除する手間が省けるので凄く喜んでいます。

著書一覧『 田口ランディ

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