吉田友和

Profile

1976年、千葉県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。都内出版社で勤務ののち、結婚を機に世界一周新婚旅行に旅立つ。帰国後、妻の松岡絵里と夫婦でまとめた世界一周旅行ガイド『してみたい!世界一周』、会社員生活の中での海外旅行体験をつづった『仕事が忙しいあなたのための週末海外!』が大きな反響を呼び、旅行作家としての活動を本格的に始める。これまでにおよそ80ヶ国を訪問し、現在もほぼ毎月海外へ出かけている。雑誌等への寄稿および記事監修のほか、編集者として旅行ガイドの制作なども手がける。近刊は『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』(講談社)、『自分を探さない旅』(平凡社)など。

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自炊は2009年から、電子化の流れに即対応した


――旅のスタイルについてお聞きしたいと思います。電子書籍やスマートフォンを活用されていらっしゃるんですね。


吉田友和氏: そうですね、使ってますね。1番本格的に使い始めたのが、初代のiPadが出る半年くらい前に、自炊を始めたんです。iPadが出るっていうことが分かってから、電子化の流れになるだろうなって思ったんです。家が本当に本と雑誌だらけなので、何とかしたいなと思ってたのと、ちょうどiPad発売で電子化が良いタイミングで重なったので、捨ててもいいものと残しておきたいものをスキャンしようっていうのでやり出したのが、iPadの発売の半年くらい前でした。iPadは発売日に買いました。

――2009年ですね。全部ご自身でやられたんですか?


吉田友和氏: 裁断もしました。断裁機をAmazonで買いました。特に本っていうよりは、どちらかと言うと雑誌をやりたかったんですよね。

――では、iPadが出る前に着々と準備をされてたんですね。


吉田友和氏: そうですね。iPadが出た時にすぐ見られるようにしたかったので、iPadが出てからじゃ遅いなと思ったんです。そのころはね、すごく楽しくてやってたんですけど、最近はもうやらなくなっちゃっいました。手間が掛かるし、熱しやすく冷めやすいタイプなんです。ある程度雑誌のバックナンバーとかもクラウドにもう上げちゃったんで、新しく買ってきた本を自炊するってこともしてないですし、何より面倒くさいんですよね。

旅先のために、ガイドマップを自炊する


――旅に行かれた時、電子書籍を持って何か役立ったこと、良かったことはありますか?


吉田友和氏: それは、すごくありますね。やっぱり旅先だと、読書欲が普段よりわくんですよね。長い移動とか飛行機の中とかありますし、あとホテルでちょっとリラックスしてる時とかに本を読みたくなる。あと、日ごろ都内で電車の中とかで読むよりも頭に入ってきます。

――旅先ではどんな本を読まれるんですか?


吉田友和氏: 最近は電子書籍をストアで購入するので、売ってるものですね。あと旅に関して言うと、ガイドブックは自炊する時はあります。2年前かな、12日間っていう短期間で世界一周って、2回目の世界一周に行ったんです。その時はもうiPadが出てたんで、パソコンを持っていくのを止めたんです。そこまでは必ずPCを旅先に絶対持参してたんですけど、そこで初めてPCを置いてiPadだけにしたんです。世界一周で、複数の国に行くので、ガイドブックとか全部持っていったらすごい重さになっちゃうので、思い切って全部自炊してiPadに入れて見てたんですよね。スキャンしてPDFになってるだけなので、インタラクティブな要素が何もないんですけど。例えばアプリとかでクリックして地図が開くとかじゃないじゃないですか。ガイドブックを出してるところが最近ちらほらと出てきてますけど、そういうことを出版社とかが、出してくれるといいですよね。自炊したデータより、そういう電子アプリみたいなものが出てきた方がうれしいなっていう感じですね。旅のガイドブックは電子向きだとは思いますけど。

――吉田さんが考える電子書籍の可能性は、どんなものを秘めていると思いますか?


吉田友和氏: 僕の読書は、付せん紙を使いながら読むタイプなんです。今はKindleにしたんですけど、それが出るまではSONYのリーダーを使ってました。ブックマーク機能があるんで、それが今まで付せんをはってたところに、ブックマーク機能で代用出来るので楽ですね。見たい時もすぐ戻れます。

――じゃあそうなるともう、ある程度紙でやっていたことができるようになったんですね。


吉田友和氏: テクニカルな部分ではそうですね。

書き手としては、電子化が進んでも変化はあまり感じない


――今は読み手としてのお話をお伺いしましたけど、書き手として電子書籍の登場によって、書き方のスタイルに変化はございますか?


吉田友和氏: 本の内容によると思うんですけど、全く変化がないですね。例えば写真が主体だったりとか、単行本とかでちょっと凝った装丁で作ったりしたものに関しては、むしろ電子化する意味がないかなと思ってるんですよ。一方で新書とか文庫とか、主に活字中心で読み物であれば、定型ですし、電子で読みやすくていいかなとは思います。

――紙と電子とを、内容によって使い分ける様な感じですか?


吉田友和氏: そうですね。だから出す本出す本、全部電子化するっていう考えはないんですよ、今のところは。もしかしたらそういうのも突破出来るようなことが将来的にあるかもしれないですけど、今の時点では全部を電子化しようとは思ってないです。

――旅先でまだネットが通じない場所に行く時に地図が役立つという声もあると思いますが、読者側が電子書籍で読みたいというニーズはすごく多いのかなと思いますが、いかがですか?


吉田友和氏: 恐らく1番合いそうなのが旅行記。例えばタイに旅行に行く時にタイの旅行記とかって飛行機とかで読むと、予習にもなるし気持ちも盛り上がるじゃないですか。だからそういう用途でもし電子のラインナップが充実してくれば良いんじゃないかなと思います。旅行記って自分が書いてると、ほかの人のは読まないっていう著者の人もいると思うんですけど、僕は割と読むのも好きなんですね。自分がそういうのを書き始める前から読んでましたし。旅行本みたいなのって、小説とか実用書とかとまた違うジャンルとしての1つだと思うんですよね。旅ものを読みたい気分の時とかあると思います。ただ最近そういう本が減ってるんで寂しいですね。

歯医者へ行って次の旅の目的を見つけた!


――今後行きたい国はありますか?


吉田友和氏: 来年春にヨーロッパに行こうと思ってるんですけど、ヨーロッパの鉄道を乗り継いで旅をしようと思っていまして。今のところパリから始めてイタリアとかドイツとか回ろうかなと。まだ計画段階なんで具体的には決まってないんですけど。それを思いついたのが歯医者さんなんです。歯医者さんに行っていて、最近の歯医者さんってハイテクで、椅子ごとに液晶モニターが付いてる。そこでなぜかヨーロッパの映像が流れてるんですよね。そこの先生が鉄道旅行好きらしくて。ヨーロッパの、パリ北駅とかから電車が発車する映像とかが延々流れてるんですよ。それをずっとぼうっと口開けながら見てたんで、洗脳されたんでしょうね(笑)。



でも旅って基本的には行きたいとこに行くのが良いと思うんです。行きたいと思う理由は人それぞれでしょうし、本当に本能のままにじゃないですけど、色んなしがらみにしばられて生活している中で、旅くらい別にそういうしがらみとかと解放されてもいいのかなと。

――今後、そういう旅というものを通じてどんなことを皆さんに伝えていきたいと思われますか?


吉田友和氏: 旅の内容がどんどん多様化してきていると思うんですよ。遺跡に行く人がいたり、海で楽しむ人がいたり、お祭りばっかり行く人がいたり。要はテーマ性なのかなと。人によって志向は様々ですし、当然と言えば当然なんですよね。だから、まずは新しい旅のテーマみたいなものをさらに提案できればと思ってます。そしてそれは旅に限らず、考え方や生き方にも言えることなのかなと。ライフスタイルが多様化してきていると言いますか。そういうのも書いてみたいですね。ポジティブな感じで。。。実は最近、何か色々書いてみたいなっていう執筆欲みたいなのがすごくあるんです。旅の本だと内容がある程度限定されちゃうので、旅じゃないものも含めて挑戦していきたいです。あと僕は編集者でもあるので、出版業界自体の動きに興味があります。色々電子書籍とかも出てきて、今すごく動いている時期だと思うんですけど、なにか面白いものをやっていきたいですね。

(聞き手:沖中幸太郎)

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この著者のタグ: 『旅』 『チャレンジ』 『海外』 『考え方』 『働き方』 『紙』 『テーマ』 『世界一周』

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