廣瀬裕子

Profile

1965年東京生まれ。単行本の編集者を経て作家に。こころとからだ、日々の時間、目に見えるものも見えないものも大切に思い、表現している。神奈川県葉山町での暮らしを経て、2012年夏に香川県へ移住。現在、仮住まい中。『できることからはじめています』(文藝春秋)、『まいにちのなかにオーガニック』(地球丸)、『HEART BOOK』(PHP研究所)、『LOVE BOOK』(PHP研究所)など著書多数。近著に『あたらしいわたし (禅 100のメッセージ) 』(佼成出版社)がある。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

将来を考えた時、大切な本の存在に気づいた


――廣瀬さんは、どのような幼少期を過ごされていましたか?


廣瀬裕子氏: 子どもの時はすごく活発で、外で遊ぶのが大好きでした。かけっこも速かったし、運動神経が良かったんです。でも図書室で本を読むのも好きでした。親が本に関しては制限をしなかったので、欲しい本は買ってくれる環境ではありました。 父は教員だったんですけど、岩波書店の『ドリトル先生』のシリーズを毎月買ってきてくれていましたね。だから、本が身近にあったんです。自然に本に接していた感じです。中学一年生になったら文庫本を読み始めて、『赤毛のアン』などの海外シリーズを読み、やがて日本文学へ、という流れです。

――作家になりたいという希望はありましたか?


廣瀬裕子氏: まったくなかったです。書くのは好きで、中学校の時に半年だけ文芸部に入っていましたけれど。仕事にしようとは思っていませんでした。

――ほかに将来になりたい職業はありましたか?


廣瀬裕子氏: 本当に何もなかったですね。中学から受験のない学校に行って、学生の時に皆がやるはずの勉強もせずに、のんびり過ごしていました。学生の時は本を読んで、映画を見てばかりでした。受験がなかったので授業中もずっと本を読んでるようなタイプでした。それで短大を出て就職したんですが、就職したら、社会ってこういうものなのかと。仕事はずっと続けていきたかったので、好きなことでないと続かないなと思ったんです。



それで、「自分は何が好きなのだろう」とその時初めて考えました。でも、わからなかった。だからある日消去法をしてみたんですね。したくないことと好きなことをリストアップしていって、それぞれの共通項は何だろうと考えた時に、「編集者」という職業が浮かんだんです。社会に出て働くということを初めて真剣に考えて、「編集者だったらできるかもしれない」と思ったんですね。でも、編集者にどうやってなるのかがわからなくて、「編集者になる方法」のような本を読んで、出版社に入ればいいんだと思いました。実際なろうと思ったら色々条件があって、簡単にはなれないということがわかったんですが、何とかちいさな出版社に入りました。

――本が好きだという気持ちがずっと心にあったんですね。


廣瀬裕子氏: 全然気がつかなかったんですけれど、好きでした。気づくのが遅いタイプなんです。

今だったらもっと良い編集者になれると思う


――編集者としては単行本の仕事をされたのですか?


廣瀬裕子氏: 編集者になろうと思った時は、雑誌の編集者と書籍の編集者って何が違うかもわからなかったし、自分がどちらに向いてるか、どちらがやりたいかもわからなかった。たまたま書籍の方の仕事を始めて、やり出したら本を作るのはとても面白いことだとわかりました。当時、青山ブックセンターがすごい好きで、ブックセンターに平積みされる本を作ろうと思っていました。雑誌の仕事もしたのですが雑誌の仕事をすればする程、書籍の方が向いているなと思いましたね。

――雑誌と書籍ではどのような違いがあるのでしょうか?


廣瀬裕子氏: スピードでしょうか。書籍は、時間をかけて作ることもできます。でも雑誌は刊行日が決まってるので、そこまでにやらなければいけない。皆で力を合わせて一気に作る感じですよね。わたしは、それよりも著者の人とゆっくり作っていくという方が向いていました。時間切れみたいなやり方はしたくないと思っていましたし。 ただ、若かったから、今思うと本当に至らないことがいっぱいありました。今の方が絶対良い編集者になれると思います。辞めて、自分が著者の立場になって、こういうことを言われたらうれしいとか、こういうやり方のほうがやりやすいというのがわかりましたしね。

――編集者の役割とはどういったところにあるのでしょうか?


廣瀬裕子氏: 単行本は、その人のその時の状態、生活や気持ちの部分が全て出るものだと思います。そういったことも含めて見守ってくれる人だと有り難いですね。でも今は、そんなことを言っていられない位スピードが速いし、昔の編集者と著者の付き合いはむずかしいのかもしれません。

私が編集者の時は、最初のアプローチは手紙を書くことでした。手紙を書いて、電話をして仕事を依頼する流れを教わりました。メールができてから、そういうこともあまり必要なくなり、アプローチも全然違います。 今も著者と編集者の付き合いはありますが、以前とはちがうかもしれません。

著書一覧『 廣瀬裕子

この著者のタグ: 『書籍』 『女性作家』 『デザイン』 『地方』 『子ども』 『雑誌』 『メッセージ』 『仕事』 『変化』 『水』 『向き合う』 『結婚』 『禅』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
利用する(会員登録) すべての本・検索
ページトップに戻る