近藤典子

Profile

神戸生まれの大阪育ち。21歳より東京在住。2000軒以上の暮らしの悩みを解決し、その経験から生み出された近藤流のわかりやすい暮らし提案が好評。 TVやラジオ・新聞・雑誌などメディアでの活動や、講演会、企業との商品開発の他、自ら講師を務める「近藤典子の暮らしアカデミー」では、これまでの基礎コースに加え、「プロコース」開設の準備中。また個人宅の図面監修など、「暮らし目線」の空間提案にも力を注いでいる。近著に『40歳からの人生を輝かせる50のヒント』(光文社)、『50歳をすぎたら家の整理を始めなさい』(ポプラ社)など。

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後世に伝えたい「気働き」の精神


――近藤さんご自身が「心の栄養」とされている本はありますか?


近藤典子氏: 義理の妹、主人の弟のお嫁さんと、結婚以来ずっと本当に姉妹みたいにしているんですけど、20年ぐらい前に、「暮らしの仕事をしているお義姉さんの役に立てば」ってと言って、誕生日に『暮らしの手帖』をくれたんです。1月のこと、2月のことというように暮らしのポイントが書かれていて、この本を見ると、血はつながってないけれども実の妹みたいにしている子が私を応援してくれている、だから頑張ろうと思えるんです。これは私のお守りみたいなものですね。

――他によく読まれる本はありますか?


近藤典子氏: 日頃からいろいろな方の本をまんべんなく読みたいなあという気持ちはあるのですが…。宮部みゆきさんの本、特に時代ものが心に残っています。その中で頻繁に出てくる「気働き」っていう言葉が大好きなんです。例えば、商人の女将さんの事を「あの人はよく働くだけでなく、いつも周りの人に気働きを忘れない優しい心根の人だ」、子供を奉公へ出すときに親が「旦那様のお役にたつには体を使って働くだけでなくしっかり気働きそして本当にお役に立てるように頑張りなさい」などと表現されるんですが。一般にはよく「気を使う」という言葉を使うことが多いと思いますが、何となく「使う」だけではなくなってしまう気がするんですよね(笑)。気は「使う」より「配る」方が確実に相手に伝えることができると思うんです。さらに「気働き」の方が何かとっても活気を感じるんですよね。宮部さんの本の中には他にも時々自分のなかでしっくりくる表現と出会う時があって、そんな時はストーリーから感じることだけでなく、もうひとつ自分の中に引き出しができた気がしてすごくラッキー、って思います。

日本の「ホスピタリティ」を世界へ


――最後に、近藤さんの今後の活動のご予定をお聞かせください。


近藤典子氏: 先程もお話しましたが、今一番力を入れているのはアメニティアドバイザーを資格制度にするための学校づくりですね。これは、高校の教科書で紹介されるからとか、私の知識や技術を伝え広めて世の中の役に立てたいということはもちろんですが、それだけではありません。この日本の「暮らし」に根付いている日本の細やかなホスピタリティが、海外への輸出産業として充分成り立つんじゃないかなと思っているからです。実は、少し前から海外でも仕事をしていますが、韓国の方からも、日本人の暮らしに対する細やかさや豊かさを評価していただき、共感を得ることができました。そしてその暮らしに根付いた思いやり、心配りの精神は、これからの韓国にとって重要な要素だと言っていただきました。でも、思いが通じるまで山あり谷あり、4年かかりましたけどね(笑)。今は、中国からも声をかけていただいています。先日中国の方々が来日された時、お互いの仕事についていろいろと話をしたのですが、だんだん打ち解けてくる中で「島や国レベルの問題はあったとしても、人が快適に暮らすことには中国人も日本人もない!同じ地球人として協力し合いましょう」と、予想もしなかった言葉をいただきました。このことがきっかけになり、秋頃には私の理想のコンセプトキッチンを中国で発表することになりそうなのですが…。文化や習慣を超えて「質のよい暮らし」を軸に、日本と中国、さらには他の国々とも文化交流が生まれ、お互いを理解する土台づくりをしていく。そんな流れに少しでもお役に立てることがあればいいなと思っています。

――これからも新しいチャレンジを続けていかれるんですね。




近藤典子氏: そうですね。この仕事に終わりはありません。だって「暮らしは止まらない」ですから。家具や家電はこれからも進化していくでしょうし、情報の入手方法だってインターネットに代わるものが出てくるかもしれませんよ。想像つかない未来なんていくらでも起こり得るでしょうね。その時その時の変化に柔軟に対応していくことは必要でしょうね。でも、どんなに変化しても、それでも変わらない暮らしの根っこのような基本はあると確信しています。それを伝え続けていきたいですね。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 近藤典子

この著者のタグ: 『考え方』 『紙』 『家事』 『暮らし』 『片付け』 『基本』 『気持ち』

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