平野秀典

Profile

一部上場企業のビジネスマンの傍ら、「演劇」の舞台俳優として10年間活動。その経験からビジネスと演劇の関連性に気づき、独自の感動創造手法を開発。二足の草鞋で勤務していた企業の劇的なV字回復に貢献する。独立後は、日本で唯一の感動プロデューサー(R)として、規模や業種を超えた様々な企業へ、講演(公演)・指導を行い、誰にでもできる感動創造の極意を伝え歩いている。音楽の殿堂サントリーホールや紀伊國屋劇場でも公演会を開催し大きな感動と反響を呼ぶ。講演・指導企業は一流企業を中心に数百社、受講体験者は累計で20万人を超え、リピーターとなるファンが多い。
【平野秀典公式サイト】http://www.kandou-gift.com
【メールマガジン】(週刊無料配信)
http://www.mag2.com/m/0000118235.html

Book Information

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平野式執筆法「離れ技」とは?


――文章にもファンが多い平野さんですが、執筆のスタイルをお聞かせください。


平野秀典氏: 私は8年で12冊本を出していますが、本当は1年に1冊ペースで行きたいです。それ以上出すと、自分では書ききれなくなりますから。ただ書くのは早い。1番早い時で200ページを2週間で書いたことがあります。パソコンで書きますけれど、頭の中にアイデアがあふれるどころか、もう、画面に文字が出てくる(笑)。私の書き方は、調子が悪い時でもとにかく書く。そうするととりあえず文章ができる。書いた原稿を、2、3日熟成させてから修正する。いったん書いたものから離れて、自分を自分の校正者にして、書き加え、書き直し、上書きしていく。私はそれを「離れ技」と呼んでいます(笑)。
でも実は、読者には言っていますが、メルマガで次の本の下書きをすることがあるんです。毎週出しますので、その時の直感で書いたものを、直せるところまでは直して出す。すると読者の感想が届いて、その時の自分のレベルがわかる。それから旬な感覚を損なわないように書き直していくんです。ゼロから1っていうのはすごく力を使うけど、1を書いておけば、あと2、3とスムーズに進む。メルマガで書いたものをFacebookで、さらに言葉を削って本質が見られるような文章にして出す。そうすると、自分の中で「あ、これはいい文章だな」というのが残って、人に頼らず自分の表現ができる。ちょうど役者が稽古によって自分の芝居を練っていくのと一緒で、いわば私の場合は公開稽古にしている。プロセスを見せますけど、それはそれで旬の魅力があると思っています。

――メルマガやSNSのタイムリーさという特性に合わせた表現ですね。


平野秀典氏: つい最近メルマガに書いたのは、「表現っていうのは意味付けをするアートだ」という言葉です。つまり、事実だけをしゃべっているとたぶん相当つまらない会話になる。でも事実に対して自分なりの意味付けをすることで、私たちは共感したり反発したりする。
例えば最近、車を洗車してピカピカになって、外にさっそうと出たら雨が降っていた。「オーマイゴッド」じゃないですか。でも、空気がずっと乾燥していて、せき込んでいた人は恵みの雨になる。その意味付けは人によって異なります。他の例えだと、桜が満開な時に、桜に対する思いも意味付けですよね。Facebookで「上に向かって咲く梅と、下に向かって咲く桜、どちらも自然のアーティスト」という言葉を出してみた。そしたらそれにコメントで「天をめでる梅と、地をめでる桜」という表現をした女性がいた。すてきでしょう?さらに私がコメントで、「すてきな表現ですね。今幸せになりました」って書いたんですよ。そしたら、「平野さんがまいた種がこれを作りました」ってまた返ってくるわけです。これって、共同作業じゃないですか。意味付けのやりとりで、1つの事実がとっても印象深く残る。それが表現です。そんなことを、一著者として本を通じてやっているんだなということに気づいたんですよ。

表現は100通り、伝えたいことは1つ



平野秀典氏: 私にとって本も講演もセミナーも、表現する手段です。で、自分が表現したことで世の中のお役に立つ、誰かに影響を与える、アーティストの生き方をしたいと思っています。自己満足の表現ではなくて、「表現力って誰にでもあるよ」という私なりのメッセージを送っているんです。子どものころに標準装備で持っていて、それを磨くことを続けるか続けないか、その違いだけです。だから一緒に磨きませんかと投げかけている。磨く時間と思いの強さで上達していく。すべてにおいてそうではないかなと思います。

――表現することの大切さを、自らの表現によって人に伝えているのですね。




平野秀典氏: 1人の人間が自分の人生で本気で伝えたいことってそんなに多くない。私が伝えたいのは、誰でも表現力を持っていて、人を感動させる表現力の使い手になれるというメッセージです。それをそのままの形で伝えるのではなくて、最低100通りのバリエーションで伝えないと伝わらないと思う。でも、まだ本は12冊、88冊残っている(笑)。だから本質は一緒ですけど、1%違えたり、進化させたりすることをやっていきたいですね。3日前の自分と今日では違っている。ただし微妙な変化です。私はこれを「101%」と呼んでいます。120%やろうとして何にもできないですから。だから新しい本にも前の本と同じことが書いてあることがある。リピーターにだけ向けて書くと、仲間内だけの本になって、「これは前に言ったと思うけど」みたいな言い方になってくる。でも初めて読む読者にとってそれは関係ない。初めて読んで理解できるように、全体のストーリーがちゃんと完結するように、毎回自分の代表作になるようにと思って作っています。

ハウツーを超えたビジネス書を書きたい



平野秀典氏: ただ、本を売ろうと思ったら微差を書いても売れない。もっと派手なことの方がみんな目に留まって、インパクトがある。でも、売れているビジネス書を読んでみると、タイトルと中身が合っていない本があります。それでビジネス書に悪い印象を持たれる。出版社は自ら首を絞めているように感じます。インパクトのあるタイトル自体は、別にやってもいいかなと思いますが、私の本は編集者さんがそういうタイトルを付けなくなった。「こいつには合わないな」ということでしょうか(笑)。文章も「平野節」になっているということで直せないと言います。

――書き手として、ビジネス書に必要なことは何だと思われますか?


平野秀典氏: 私は「人を幸せにするビジネス書」というジャンルを作りたい。テクニックとかノウハウを超えたい。最近、「伝え方」のノウハウを書いた本がベストセラーになっています。ベストセラーになるということは役に立つということのはずです。でもたくさんの人が読んでいるということは、知っている人がたくさんいる。今こうやって会話している時に、どこかで読んだような伝え方のノウハウをお互いが使っていると知ったら、急に会話が色彩を失います。表現力をスポイルしてしまうというか、せっかくのビジネス書がなぜそうなるのかなと感じます。もちろんハウツーが入っていてもいいですが、周りの人を幸せにするノウハウが書いてある本を書きたいです。

著書一覧『 平野秀典

この著者のタグ: 『考え方』 『感動』 『表現』 『人生』 『メッセージ』 『変化』 『価値』 『プロデューサー』 『共同作業』

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