内田治

Profile

静岡県生まれ。東京理科大学大学院修士課程修了。現在、東京情報大学総合情報学部環境情報学科准教授、東京農業大学兼任講師。品質管理およびアンケート調査におけるデータ解析の研究とパソコンを活用した統計解析を専門としている。著書に『ビジュアル品質管理の基本』(日本経済新聞出版社)、『すぐわかるEXCELによる統計解析』『すぐわかるEXCELによる回帰分析』『すぐわかるSPSSによるアンケートの調査・集計・解析』(以上、東京図書出版)、『SPSSによる回帰分析』(オーム社)などがあり、最新刊では『主成分分析の基本と活用』(日科技連出版社)が10月25日発売予定。

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昔からの縁が本を書くきっかけに


――学生の頃、読書はお好きでしたか?


内田治氏: 全く読みませんでした。読書感想文を書く宿題なんか大嫌いでした。しかし、『少年マガジン』、『少年サンデー』あたりの漫画はよく読みました。

――どういうきっかけで本を書こうと思ったのですか?


内田治氏: 立教大学の名誉教授で小林龍一という統計学の大先生がおられまして、当時で、もう30冊くらい本を書いておられたんです。その小林先生が、日本経済新聞社から本を書いてくれと依頼があったんですけど、「自分は十分有名になった、いまさら名誉はどうでも良いんだ、もちろんお金もどうでも良い。どうしても書いてくれって言うなら、共著として、誰か若手と一緒に書かせてくれ。もちろん、赤ペンは入れる」と。その若手に選ばれたのが、僕だったんです。たまたま父親と同じ歳なもんですから、前から可愛がってくれていたもので、そういうきっかけで書くことになりました。それがデビューです。

――その後、一人で書くようになったのですね


内田治氏: その本は共著ですので、もちろん小林先生が第一著者でした。その時の日経の担当者が原稿を見て、「結構書けるじゃん。今度1人でやってみたら」と言われました。それがきっかけです。その時の題材がLotus 1-2-3による統計っていうものだったんですが、それが、お蔭さまでそこそこ売れて、シリーズ的に4冊くらい出たかな。でも爆発的に売れたのは、Excelになってからなんです。
Lotus1-2-3の統計本を出したあとで、東京図書の方からExcelの統計本を書かないかとお誘いがあったのです。

――東京図書さんからのお声掛けがあったんですね


内田治氏: これは偶然の出会いからだったんです。東京理科大学時代の同級生と、たまたま秋葉原でばったり会いまして、僕はソフトを買いに行ったんですけど、彼はソフトを売り込みに来ていたんです。「久しぶりだから喫茶店に入ろう」と、話をすることになり、「何を売ってるんだ」と聞くと、「数学ソフトを売ってる」と。ソフトっていうのはやっぱり本がないと売れないんだそうで、「本を出したいんで丁度良いや、お前が書け」と言うわけです。「でも、出版社はどうするんだ」と聞くと、「話はついてる」と言うのです。それが東京図書さんだったんですよ。
その本は「Mathcadによる統計解析」という本で、これは残念ながら、あまり売れなかったのですが、そこで僕と東京図書さんとの繋がりができ、「Excelによる統計解析っていうのはどうだ」という話になり、その後はとんとん拍子で話が進みました。

電子書籍も紙の本もそれぞれに良さがある


――ソフトを使った統計の本は電子書籍との親和性が高いのではないかと感じます。


内田治氏: そうですね。確かに電子書籍に移行させやすいです。ただ簡単にコピーペーストは出来ないですよね。コピーペーストでExcelに貼り付けると動いてくれる、というなら申し分ないですね。そこは著作権の問題もありますので、難しいとは思います。電子書籍は問題集なんかには非常に良いんじゃないかと思うんですよね。もう一つ、電子書籍の可能性として魅力を感じるのは、専門分野の本だと1冊の本を読むのに5冊読まなきゃいけないようなところがある訳ですよ。この意味が分かんないからこっちの本を読み、それでわかれば良いんだけど、さらにわからなければ、また別の本で、という作業がありますよね。電子書籍だったら、その時にぱっぱっぱっと5冊抱えないですむ仕組みを作れるんじゃないかと思います。

――ご自身は電子書籍を利用されていますか?


内田治氏: はい、Amazonで、何冊か購入しました。私は本が汚くなり線が引いてあると、読んだっていう満足感が得られるタイプなので、電子書籍については反対派だったんです。しかし、ある本を書くのに絶版になっていた本のある箇所をどうしても参考にしたいという状況になりまして、それが電子書籍で簡単に手に入ったのです。しかも、すごく安かった。急いでいたので、早く読みたいと思い、買いました。電子書籍も結構良いなと思うきっかけになりました。もうひとつ電子書籍の良さを実感した経験があります。それは、読まなきゃいけないなと思っていた本が3冊あったのです。それを、大学と家の行き帰りの電車の中で読んでいたんですが、3冊持ち歩くと、専門書ですから、重いのです。なんとか、かばんを軽くしていたんです。それが電子書籍のおかげで、iPhoneやスマホの中に全部入っちゃってる。これでメリットをすごく感じたんですよね。

――逆に、本の良さはどういったところにあるのでしょうか?


内田治氏: 本っていうのは、本棚が埋まっていくっていう楽しさがありますよね。また、本が良い意味で汚れていくという楽しさもあります。これが味わえるということですね。

――日頃、どのような本を読まれますか?


内田治氏: 僕は枕元に本がないと寝られない。読みながら寝ちゃう。枕元で読む本は専ら、小説です。医者と患者のその生と死の葛藤のような、医学小説が好きです。

――「こんな機能があれば、もっと電子書籍が普及するんじゃないか」という部分はありますか?


内田治氏: 自分でマーカーを引ける機能があるといいですね。マーカーを引くと、それが自分の本だという所有感が生まれる。そこを味わいたいですよね。
また、例えば、文中で何か分からないことがみつかった時に、その読者からの質問が、さっとダイレクトに出版者に繋がるとまた良いかもしれないですね。

著書一覧『 内田治

この著者のタグ: 『大学教授』 『教育』 『本棚』 『統計』

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