大串亜由美

Profile

日本ヒューレット・パッカード株式会社にて14年勤務後、コンサルティング会社勤務を経て、独立。グローバリンクを創立。「国際的規模での人材活用、人材育成」をキーワードに、マネジメント、自己主張など、ビジネスコミュニケーション全般の企業・団体研修、各種コンサルティング業務を手がける。12年連続、年間250日以上の研修を行い、「研修女王」と呼ばれる。 著書に『軽く扱われる人の話し方 影響力のある人の話し方』(フォレスト出版)、『”いい人”すぎて損をしてしまう人の 怒る技術』(大和出版)、『アサーティブ―「自己主張」の技術 』(PHPビジネス新書)『15秒でツカみ90秒でオトすアサーティブ交渉術』(ダイヤモンド社)など。

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80%ルールと120%ルールで仕事をうける


――仕事をしていく上で、大切にしていらっしゃることはどのようなことでしょうか?


大串亜由美氏: 私には「80%ルール」と「120%ルール」と言っているものがあるんです。クライアントから「これをやって」と言われた時は、相手が自分を選んだ目を信じることが大事。できそうもないことを頼んでくる人はあまりいないので、頼まれた時は、100%の自信は無くても、80%大丈夫だと思ったら引き受ける。そして自分の中では120%で返すという気持ちを持っているんです。すごく優秀で慎重な人は、100%の自信がないと受けないのですが、それではもったいなさ過ぎると思うんです。100%は自分の尺度の100%だから、相手にとっての100%じゃないかもしれない。自分の中で30%で引き受けてしまうと無責任だと思うけれど、80%できると思ったら引き受けるんです。そして、120%で返せるような気持ちで頑張ればいいんです。

――独立した時はどのようなお気持ちだったのでしょうか?


大串亜由美氏: 最初は1人で立ち上げて、研修という仕事は在庫もいらないし、「つぶれても死なないし(笑)、借金もしなくていいから」と、気軽にスタートしました。HPに勤めていた時に、ちょっとしたきっかけがあって、「このまま勤めるのはやめて、少し休もう」と思ったんです。でも結局、私は休む体質ではないから、ご縁があって、今まで社内向けにやっていた研修を、10人ぐらいの小さな会社でお金をもらってやるようになったんです。その会社には7年間いたのですが、会社と自分の方向性がだんだん分かれてきたかなと感じていた時に、HP時代の上司から「起業してみたら?」というクリスマスカードが届いたんです。その後に色々な雑誌を見ていたら、「12年に一度のチャンス」などと占いにも書いてありましたし(笑)、私の周りの商売している人たちからも「やった方がいい」と後押しされたのもあって「そうだよね!」という感じで、第一歩を踏み出しました。

壁にぶつかったら、ドアを作って進もう


――新入社員時代から独立を経る間に、辛いことや挫折してしまいそうなことはありませんでしたか?


大串亜由美氏: よく「壁にぶつかったらどうするんですか?」と聞かれるのですが、壁にはぶつかっちゃいけないし、乗り越えてもいけないと思っています。壁に見えても、ドアが閉まっているだけかもしれないから、まずはノックしてみるとか、隣の人からカギを借りてみるとか、違うなと思ったら違う扉を探すんです。壁をよじ登るなんて、はしたないことをしてはいけません(笑)。そういえば、このオフィスも元々は3つの小さな部屋をつなげているんです。最初は1つの小さい部屋からスタートして、壁を外して部屋を広げてきました。それと同じように、ドアさえついていない壁ならドアを作っちゃう。それでも開かなかったら、「ああ、私のドアじゃないんだ」と思えばいいんです。



――大串さんにとって仕事とはどんな存在ですか?


大串亜由美氏: 年間250日ぐらい研修をしていて、その合間も色々なことをやっていて、「なんでそんなに元気なの?」とか、「よっぽど仕事が好きなんだね」と言われるのですが、好きだけではできないです。好きでやっているんだったらそれは趣味だし、お金ももらわない。だから好きか嫌いかと聞かれても分からないというか、自分にとっては息を吸っていることのように、当たり前のことです。当たり前だからこそきちんとやるべきことというがあるでしょ?その1つでもおろそかにすれば、その後がどんどんつまずいちゃいますよね。

――当たり前のことを、当たり前のようにしっかりとこなすことが大事ということですね。


大串亜由美氏: そうなんです。ただ、その当たり前のことを当たり前にするというのが、意外と仕事の中では難しいんです。ついつい「ウルトラCを狙おう」とか、「何か一発逆転を狙おう」と考えてしまう。傾聴という聞くトレーニングにおいても「何か鋭くて、相手がう~んと唸るような質問はないですか?」という話によくなりますが、実際はそんなものないんです。だから本気で相手に興味を示して、観察する。そして相手に聞いてもらえる単語をきちんと拾って、それをぶつけていけばいいだけ。私の本を読むと、言われてみれば当たり前のことが書いてあるのですが、実際やってみるとなかなか難しいし、やってみたら効果があがったと言われることが多いです。

――研修において大事だと思われていることはありますか?


大串亜由美氏: 覚えたことを一生懸命やろうとしていると、目の前の人を無視してしまうことになりかねません。もちろん私も練習と準備をたくさんしますが、「用意してきたから絶対言わなきゃ」とは思わない。最初の頃はもっとたくさん喋っていたと思うのですが、何年もやってきて、言わなくてもいいこととか、「別に、自分がシナリオ通りに喋る場所ではないんだな」ということに、だんだんと気が付いてきたのだと思います。

――伝えることの深みは増していっているけれど、話す言葉の数自体は減っている感じですか?


大串亜由美氏: 少し減らしています。私は「えーと」とか「あのー」といった言葉はあまり言わないので、私が喋っている言葉を書き起こすと、文字数としては多くて、内容の量は多いと思いますが、余計な言葉は少なくなっていると思います。

著書一覧『 大串亜由美

この著者のタグ: 『コミュニケーション』 『海外』 『女性』 『考え方』 『働き方』 『教育』 『起業』 『ルール』

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