大串亜由美

Profile

日本ヒューレット・パッカード株式会社にて14年勤務後、コンサルティング会社勤務を経て、独立。グローバリンクを創立。「国際的規模での人材活用、人材育成」をキーワードに、マネジメント、自己主張など、ビジネスコミュニケーション全般の企業・団体研修、各種コンサルティング業務を手がける。12年連続、年間250日以上の研修を行い、「研修女王」と呼ばれる。 著書に『軽く扱われる人の話し方 影響力のある人の話し方』(フォレスト出版)、『”いい人”すぎて損をしてしまう人の 怒る技術』(大和出版)、『アサーティブ―「自己主張」の技術 』(PHPビジネス新書)『15秒でツカみ90秒でオトすアサーティブ交渉術』(ダイヤモンド社)など。

Book Information

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本の中の情報を自分で取捨選択して、きっかけをつかんでほしい


――本を書かれる時は、どのような感じなのでしょうか?


大串亜由美氏: 書く時は、基本的に自分の研修でお教えしていることを本にしているので、自分がしゃべっているのをテープに録音したりしながら、編集の人と一緒に作り上げていきます。私が一から全部書いているわけではなくて、自分が研修で伝えていることを、順番を変えたりします。研修の会場で直接話せば通じることでも、「本で読む場合にはこれじゃ通じないな」と思う部分は後から書き足したりしながら作業します。だから私の研修を受けた人からは、本を読んだ後「大串さんがしゃべっているみたい」とよく言われます。

――出版のきっかけとはどのようなことだったのでしょうか?


大串亜由美氏: 研修を始めて色々なことをやっていくうちに、なんとなく「いつかは本を出したいな」と思うようになったんです。たまたま週刊誌から取材を受けたりとか、リクルートの雑誌に載ったりしているうちに、ある時、すごく熱いタイプの編集者を紹介されたんです。「研修を受けられる人には限りがあるわけだから、色々な人に伝えていきましょうよ」と言われました。編集者の目利きという部分もあったと思いますが、その人との出会いがたまたまいいマッチングだったんです。やっぱり人との出会いが重要ですね。



――本を書く時に、考えられていることはありますか?


大串亜由美氏: 私はリアルな研修に勝る物は無いと思っていますが、そのほんの少しのエッセンスだけでも本で伝えられたらいいなと思っています。私はビジネスコミュニケーションの本を書いているのですが、ビジネスにおいて、やっぱりコミュニケーションは大事です。難しくはないけれど、ナメていたらいけないと考えているんです。だから「意識すれば、今の状態からワンランク、ツーランクは必ずレベルが高まるものなんだ」ということを知ってもらいたいと思っています。それが私の本の狙いです。

――自分を変えていけるかも、と考えるきっかけにもなりそうですね。


大串亜由美氏: そうですね。研修を通してお会いする皆さんは凄く一生懸命で、熱心。地力があるのに、ほんの少し言い方が上手くいかないとか、ほんの少し聞き方が上手くないだけで評価されていなかったり、そういった上司との間で悩んでいる人を目の当たりにすることもあります。そういうことを解消できる道があるんだということを私の本を読んで知ってもらいたい。ただ、私が研修でお伝えしているのは、「本は鵜呑みにしちゃいけない」ということ。全てが目からウロコというのもなんだかおかしな話だし、かといって何も吸収しないで本を読み終えてしまったら、時間を無駄にしてしまうことになる。だから、何かしら得られるなとか、「ここは自分とは違うな」とか、両方の目線で読んでくださいと伝えています。

――テレビのように受動的に見るのではなくて、能動的に本を読むということですね。


大串亜由美氏: そうですね。自分の中で選んでいく。「これは頂こう」という人もいるかもしれないけど「私はやらない」とか、取捨選択してほしい。それは研修でも同じで、研修で言っていることが全て正解ではないのです。大事なのは自分で何をすべきか考えるということです。

本を作るのは共同作業。主役はいない。


――本が出た時は、どのようなお気持ちでしたか?


大串亜由美氏: 凄くうれしかったです。書いている時もとても楽しかったけれど、最初に本屋さんに本が並んだ時は、のぞき見をしたくらいうれしかった。本を持っている人に、買って
買って買ってー!と念力を送ることもありました(笑)。本屋さんに行って、「サインください」といきなり言われて、その場で子供が書いたみたいな字のサインをしてしまいました。あの時は、「きちんとサインを考えておけばよかった」と思いましたね(笑)。今でも毎回本が出る度に、すごく楽しいです。

――大串さんにとって、理想の編集者像というのはございますか?


大串亜由美氏: 本を作る時には、編集者、著者、時には文章を整えてくれるライターさん、あとは装丁作るデザイナーさんなど、色々な人がいますよね。本を作るのは共同作業なので、誰が主役ということはないと思うんです。どの仕事でもそうだと思うのですが、かけ算の成果になることが大事。「先生のおっしゃる通り」とかいうのはNGだと思うし、一方で変に職人気質で「譲れない」とか、「ここは絶対こうだ」などというのもいけないと思うので、お互いにいいものを作ろうという思いと、意見を戦わせあって、最後にきちんとコンセンサスをとっていこうといった、情熱と伝える力。そういうものを持っている人がいいかなと思います。

――今でも本屋さんへ行かれることは多いですか?


大串亜由美氏: もちろん行きます。私はここ最近本を出していないので、平積みにはないですけど、自分の本を覗いてみたりもします。本屋に行くと、まずは新刊を見て、それからビジネス書のところを見て、あと私も何冊か出しましたが、最近は新書が面白いと思っているので、新書のところを見ます。

――電子書籍に関してはどのようにお考えでしょうか?


大串亜由美氏: 上手く使えれば私の仕事と親和性があるのだろうとは思いますが、電子書籍の使い方がまだ全然分からない状態です。

――ウェブの連載も含めて、今後の展望をお聞かせください。


大串亜由美氏: 最初の本以降は、出した本を読んでくださった方からのコンタクトに応えたものが多いんです。私は基本的には声を掛けて下さった方の目を信じるタイプなので、声が掛かればまた考えるかもしれません。ただ、アサーティブとプレゼンテーション、それから傾聴力に関しては、もう相当本を出したなと自分でも思っています。今私は、高級ブランドの研修もたくさんしていますがそういうところは、品物ももちろん大事ですが、接客の時のコミュニケーションはもっと大事。お客様はダイヤを買いに来ているわけではなくて、例えば、結婚記念日を彩るメモリーを買いに来ているわけだから、そういうものを引き出していかないといけない、といった内容の研修です。だから「何サイズをお探しですか?」ではなく「今日はどんなイベントがあったんですか?」とか、「何色がお好きですか?」ではなく「普段はどんな物をお召しになるんですか?」と聞かなくてはいけない。結婚記念日のお祝いを買いに来たのなら、「何カラットですか?」ではなくて「素敵なご主人様ですね」と言わなければいけないんです。そういう風に接すると、また行こうかなと思ってくださるかもしれないし、敷居は上がらないですよね。そういったことを、本にしたいなと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 大串亜由美

この著者のタグ: 『コミュニケーション』 『海外』 『女性』 『考え方』 『働き方』 『教育』 『起業』 『ルール』

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