文章が書けないため、全て会話調に
――執筆に対する思いをお聞かせ下さい。
森下裕道氏: 実は、執筆が本当に苦手なんです。去年7月に出さなきゃいけない本を、まだ書いてないぐらいですから(笑)、ほんとうに苦手で、文章が全く書けないんですよ。
――そんな森下さんが、どのようにして本を書くようになったんですか?
森下裕道氏: どうして書くようになったかと言うと、お店をやっていた時に、本部に行ったんです。本部に行って教育をする立場になった時に、上手く教育ができなかったんです。それは何故かと言うと、お店の部下たちには感覚で教えていたというところがあったんです。同じ現場にいたので、匂いで「これはこうだ」という感覚的に教えていたんです。でも「どういう仕組みで売り上げが上げられるのか?」とか、「こういうお客様にはどうやって褒めればいいのか?」というのが論理的に説明できなかったんです。それをよく考え、論理的に説明できるようになって、「こういうのって面白いな」と思うようになりました。本部では社員研修もたくさんやったんですが、それよりも、アルバイトさんたちの研修を多く行いました。店長たちに言っても、なかなかそれを下に伝える能力がなかったりするので変化に時間がかかるのですが、アルバイトさんたちはモロ現場に反映しているので即変わっていくんです。不採算店舗のアルバイトさんたちは、教育を受けていないのもありますが、みんなからできないと言われていたりしている人が結構多かったんです。だから、そういった人たちが変わってできる人になっていく様子を見て、「これは面白いな」と思いました。でも、独立するために講演をしたいと思いました。講演をやるためには本を書かないといけない、と思ったところもあります。
――執筆が苦手だとおっしゃっていましたが、どのようにして書き始めたのですか?
森下裕道氏: 自分でしゃべった音声を自分で文字に起こしたんです。なので、僕の本は全て会話調。だから、本を読むのが苦手な人や、なかなか本に馴染みが無いという人、活字から離れている人でも少しは読みやすいのかなとは思います。
――執筆に対する思いはありますか?
森下裕道氏: 自分の思いを伝えたいっていう思いがあるんですが、人は変わりたいと思えば変われるんだとか、ちょっとしたことを心掛けるだけでこんなにもハッピーになれるんだとか、これだけ接客って面白いんだよとか、そういったことを伝えたいんです。
本を読んでくださって、「変わった」とか言ってくれたりお手紙をもらえたりすることもあって、僕はそれが凄くうれしいんです。
意識を変えることで、全てが変わる
――良い編集者さんというのはどういった方だと思いますか?
森下裕道氏: 「すごく上手だな」と感じる編集の方もいます。“1章10日間で締め切ります”と言われたことがあるのですが、「ちょっとくらいなら延びてもいいかな」って思ってたんです。でも、その編集者さんが僕をうまく褒めるんです。「ああ~!これはとても勉強になりました。次はどうなるんですか?」と盛り上げてくれる。そうすると、早く続きを書こうという気になりますよね(笑)。「その編集者さんのためにも頑張ろう」と思い、書きあげました。一読者として褒めてくれるのは、やっぱりうれしいですよね。
――森下さんの使命は、どのようなことだと感じられていますか?
森下裕道氏: やっぱり変わりたいと思っている人たちを変えるお手伝いをしてあげること。自分のことをダメだと思っている人、自分のことをアンハッピーだと思っている人を、僕は一緒になって変えていきたいんです。本人たちが変わりたいと望んでいるなら、変わっていけると思っています。僕と触れ合った人が少しでも明るくなってくれたりだとか、少しでも自分のことを好きになったりだとか、少しでも自分の身近な人を大切にしようと思ってくれれば、全てが変わってくると思うんです。今、人間関係などで悩んでいる人ってすごく多いじゃないですか。もちろんそういう時代だということもありますが、ちょっとした考え方や立ち位置を変えるだけで、すごく変わってくるんです。ただそれだけの気づきで変えていけるというのを、教えたいし、一緒になって考えていきたい。また、僕も一緒に学びたいなと考えています。
(聞き手:沖中幸太郎)
著書一覧『 森下裕道 』