竹内薫氏: はい、お願いします。
―― 今回お伺いさせていただく全体的なテーマは、電子書籍にこれから望むもの、未来にどんな風になっていくのかといった内容ですが、まずBOOKSCANはご存知でしたか。
竹内薫氏: ええ、知っていました。twitterで知り合った人が、BOOKSCANで仕事していると言っていたので。自炊ですよね。
―― 蔵書を電子化する、というコンセプトを掲げています。
竹内薫氏: なるほど。裁断された本ってどうなるのですか。
―― BOOKSCANでは破棄、溶解処分となっており返品は不可です。
竹内薫氏: まあいろんな人がいますからね。
―― そうですね、残念なことではありますがそのまま破棄しないという会社も一部あるようです。ところで竹内さんは普段たくさん本を読まれるかとは思いますが、最近読んだ本を伺えますか。
竹内薫氏: 最近読んで面白かったのは、『人生の科学』という本ですね。
―― やはり、科学ですね。
竹内薫氏: ええ。ただそういう名前付いていますが、『人生の科学』という本は、人間の無意識に焦点を当てた本ですね。
―― 無意識ですか。
竹内薫氏: ええ、普通科学の本というと、論理とかIQとか、そちらの方に行くじゃないですか、脳科学とか。しかしそうではなくて、この本では、人間の1番重要な資質として人間の『繋がり』について書かれており、その『繋がり』のバランスが取れているというのは、無意識の部分によるところが大きいと言っているのですね。だから人生の見えていない無意識の部分に焦点を合わせると、生き方も変わってくるのではないか、とそういった内容の本です。
―― 最近の本なんですね。
竹内薫氏: ええ、今年に入ってからのものです。結構分厚い本ですが、物語風になっていて、登場人物がいて、その人たちの『人生』にいろんな事が起きる訳です。会社が潰れたり、再就職してみたり。その際に、やはり家庭、家族の幸せみたいなものを見つけていく話なのです。そこにすごい『科学』が書かれている訳です。心理学の話とかたくさん書かれてあり、バランスが取れていて読みやすかったですね。それが最近読んだ本でちょっと、ベスト1かな。
―― 面白いですよね、そういう無意識について書かれたものは。潜在意識の意味について考えさせられます。ご自著の中で、最初にオーストラリアで発行されている地図をドンと載せられていますよね。人間の考え方は、それこそまさしく無意識下の中で、北半球に住む人間と南半球に住む人間で、思考の回路が違ってくるのではないかと思っているのですが、どう思われますか。
竹内薫氏: あるでしょうね。全然違うでしょうし、北と南に限らず同じ北半球でも、地球の裏側に行ってしまうとやはり違いますよね。僕は小学校3年生の頃、いきなりアメリカに連れて行かれました。当時はまだ日本人学校がなかったのでいきなりニューヨークの現地校に入れられたのですが、その時に、『文化の相対性』というか、それまで何となく固定されて絶対と思っていたルールみたいなものとは、全然違う世界があって。だからわかりますね。自分のカルチャー以外のものを認めないっていう人たちは、僕は基本的にダメだと思っています。
―― 大きな入れ替えがないと自分の立ち位置ってなかなか変わらないですよね。
竹内薫氏: 一旦決まった、固定された位置っていうのは動かないですよね。でも同時に精神的な不安定さも背負い込みますから、まあ良い面ばかりではないですけどね。
―― それはもちろん、言葉に限らず、考え方や精神構造も含めてですか。
竹内薫氏: 全部でしょうね、自分の価値観がゼロになってしまうじゃないですか。それは、やはりショックな部分があると思います。
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