本田直之

Profile

明治大学商学部産業経営学科卒業。シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、経営戦略、IR、IT戦略担当常務取締役として2001年にJASDAQへの上場に導き、売上15億円から100億円へ成長させる。現在は、 日米のベンチャー企業への投資育成事業を行うと同時に、少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジマネジメントのアドバイスを行う。また累計著書は200万部を超え、ベストセラーになった「レバレッジ」シリーズの著者でもある。東京、ハワイに拠点を構え、年の半分をハワイで生活するデュアルライフを送っている。

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本田直之さんは小さい力で大きな成果を得る「てこ」を意味し、社名にもなった「レバレッジ」をタイトルに冠した『レバレッジ・リーディング』で一躍ベストセラー作家の仲間入りを果たし、そのシリーズも軒並みヒットしたという経歴の持ち主です。またトライアスロンチーム『Team Alapa』の主宰者としても知られ、ビジネスでも、スポーツでも大活躍されています。そんな本田さんに、執筆や読書スタイル、人脈の築き方、仕事観などをお聞きしました。

大量の本をスーツケースに、世界中を旅する


――本田さんは、ハワイをはじめとして世界中を飛び回られていますが、執筆のお仕事はどのようにされていますか?


本田直之氏: 執筆するのは、たくさんアイデアが浮かぶので移動中が多いですね。あとはハワイにいるときです。移動生活というのがクリエイティビティにとってもすごくいいんです。環境が常に変わるじゃないですか。だからアイデアが浮かぶことが多いんですよね。机に座って考えていても何も出てこない。移動し続けることで、アイデアが浮かぶ。あとはトレーニングをしているときだとか。日本にいるときは大体、午前中トレーニングして、お昼に誰かとご飯を食べて、午後2時から6時くらいまで人と会って、その後また会食して、というパターンですが、ハワイにいるときは人が頻繁に来るわけじゃないので、トレーニングの時間を増やして、午後は本を書くことが多いですね。

――本田さんは1日1冊本を読まれるそうですが、今もそのくらい読まれるのですか?


本田直之氏: もうちょっと読みますね。海外に行って本を買うことが多いんです。ハワイには日本の書店があまりないので、Amazonを使います。Amazonでは10冊か20冊くらいまとめて買いますね。最近は4、50冊買って、大きい段ボールで2箱くらい届いていましたね。移動することが異常に多くて、旅行へ行くときには本をいっぱい持っていくから、荷物自体は少ないのに大型のスーツケースが必要だったんですよ。最後には捨てて帰っちゃったりするんですけれど。そんなときに電子書籍のサービスって素晴らしいなと思いましたね。今のiPadだったら、Retinaディスプレイなのですごくきれいで、これなら本を読めるなと思っています。僕みたいに移動する人間にとってみるとすごくありがたい。本は相当捨てたんですよ。『レバレッジ・リーディング』の表紙は僕の本棚の写真だったんだけど、今はほとんど捨ててしまった。自炊するのはめんどくさいからやっていなかったんだけど、なにかいい方法がないかなと思っていたところです。

便利なものを規制してもしょうがない


――例えば読者の方が、本田さんの本を電子書籍化するために裁断することに抵抗はありますか?


本田直之氏: 全くないですね。電子書籍もオッケーでしょ。デバイスが出てきているんだから、世の中の流れであって、だめだって言ってもしょうがない。ちゃんとルールは作らないといけないけれど、やみくもに規制してもだめですよね。皆勝手にやるからね。これだけ世の中が便利になっているんだから、それに乗らない手はないと思いますよ。

――ご著書の中で、文字だけではなく音声、映像も収録するなど、未来の書籍の可能性について言及されていましたが、未来の電子書籍はそのようになると思われますか?


本田直之氏: なると思いますね。ただ、電子書籍が100%になるかというと、そんなことはないのかなとも思います。例えば、音楽プロデューサーの人と話すと、「ネットで音楽をダウンロードできるようになったから、CDはある程度売れなくなったけれど、その代わりライブにたくさんの人が来るようになった」と言っていました。リアル感が求められたってことでしょう。本にもそういう効果があり得るかなと思うんですけれどね。だから、単純に電子書籍だけがだめだという風に考えない方がいいのかなと思うんです。

――紙の本と電子書籍は、今後共存していくと思われますか?


本田直之氏: うん、紙は永遠に残ると思いますね。Amazonができたからといって、書店はなくならないのと同じです。少なくなってはいるけど、それはAmazonがなくてもそういう流れはあったわけで、別にAmazonが悪いわけでもない。皆便利な方がいいわけだから。

――電子書籍の課題は何でしょうか?


本田直之氏: もうちょっとプラットフォームが統一されてしっかりしてこないといけないですね。例えばKindleとかiBooksみたいなものに統一してほしいんです。バラバラやってる間はうまく普及しない。音楽のプレーヤーもそうだった。昔、とにかくCDを持ち歩くのが嫌だったから、MP3プレーヤーは便利だなと思ったけど、「この曲はSONYにあるけどこっちはない」とか不便だった。iTunesができてプラットフォームが一つになったことによって一気に普及したわけですよね。だからやっぱりプラットフォームを1個大きいところがやらないといけないと。特に日本の電子書籍は完全にそうだと思います。

無名の人でも「デビュー」が容易になる電子書籍の可能性とは


――電子書籍も含めて、出版業界はこれからどう変わっていくとお考えですか?




本田直之氏: 今Amazonでは無名の著者も本を出せるようになった。電子書籍だったら出版社を通さないのでコストもかからないし、自主出版のハードルがものすごく下がりましたよね。それで、とりあえず無料でわーっと本を配って、そこで評価された人のほかの本がめちゃくちゃ売れるっていうのが出てきています。要するにデビューしやすい。今までは出版社のハードルを越えないと本にならなかったけれど、出版社じゃなくて消費者が「こいつ、面白いじゃん」って評価されるというのがやりやすくなりました。変わった本が出せるようになったのは面白いことじゃないかと思いますね。

――色々な本がたくさん、出版社を通さず出てくることで、粗雑な内容の本が増えることもあるのではないでしょうか?


本田直之氏: ある意味、株式投資みたいなものだと思っています。今までは、出版社が認めたものが本になって販売されていたわけだから、スクリーニング機関があったわけじゃないですか。株式なら、ちゃんと証券取引所が認めた会社が上場できる。まあ変な会社はないわけじゃないし、もちろんリスクはあるんだけども。これがどの会社でも投資できますよってなったら、詐欺する会社もあるし、すぐ潰れちゃう会社もあるし、一般の人は選べないわけですよね。これからは、本を買うのが、上場企業の株を買うのと一緒じゃなくなるってことですよ。出版社の目が通ってないってことは、トンデモ本とか、「釣る」ための本とか色々出てくると思うので、自分自身の「本を見る目」が必要になってくると思うんですよね。スクリーニングがかかってない、上場してない企業に投資するのはものすごいリスクもあるわけじゃないですか。だけどそこにも面白いものがあったりするわけですよ。

――読み手がそのような質の悪い本に惑わされないようにするにはどうしたらよいのでしょうか?


本田直之氏: 未上場の株を買うのと一緒で、なにか新しい評価機関みたいなものが必要になってくるんじゃないかと思いますね。あとは、読んだ本のいいところを参考にするのはいいんだけど、うのみにするんじゃなくて、本当にそれが自分に合っているのかとか、自分に向いているのかとか、それを判断して実際に落とし込む能力が必要です。自主出版のインチキみたいな本を読んで、何でも真に受けちゃう人っているじゃないですか。活字になっているとそれっぽく見えるんですよ、本って。本をたくさん読むのもいいけれど、ちゃんと自分で吟味して判断する能力が必要だと思うんですよね。

著書一覧『 本田直之

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