読者の行動が自然に変わる本を書きたい
柴田英寿さんは、サラリーマンとして勤務しながら、ビジネス書作家として数々のヒットを飛ばしています。執筆テーマは幅広く、物流システムや知的財産権等、エンジニアとしての専門分野のほか、自らの働き方をベースに、朝の時間の有効な使い方や副業など、会社員が自由な活動を行うためのスタイルについての提言をし、広範な支持を受けています。多くのビジネスパーソンに示唆を与え続ける柴田さんに、仕事観や執筆への思いなどを伺いました。
サラリーマンと起業、生き方の選択
――柴田さんは会社に所属しながら、ビジネス書の作家としても活躍されていますね。大変お忙しいのではないでしょうか?
柴田英寿氏: 僕より仕事が早い人はいないんじゃないかと思います。それはそうなれるようにずっとトレーニングしてきたからなれたのです。ただ、そういう能力を100%会社には使っていません。会社の仕事も好きですがもっと好きなこともあるのでそちらに時間とエネルギーを使いたいと思っています。会社員というのは、会社の評価を気にしなければ、けっこう楽な仕事です。昇進したいとかボーナスをたくさんもらいたいとか思うと、やりたくないこともやらないといけない。僕は疲れる程は働きません。やりたくないことをやらずにきて、運もあって本が売れた。中にはめちゃくちゃ働くのが好きな人もいて、それはその人の流儀だから良いと思っていますが、自分はそういうタイプではないです。
――ベンチャーの立ち上げを支援するボランティアもされていますね。
柴田英寿氏: 主に理系の大学院生で、自分の研究していることで、ベンチャーを作ろうと考えている人へ、事業計画や経営戦略に関する講座を開いています。昔からやりたくて、12、3年やっていますが、楽しんでいます。
――ベンチャーに目を向けながらも、ご自身の経験から、サラリーマンの生き方に関する提言をされているのが大きな特徴だと思います。
柴田英寿氏: ベンチャーブームがあって、それをあおっている人たちもいるんですけど、家族ができると、そんなにリスクも取れない。当たった人は良いですけど、当たらない人は大変です。僕の本に『会社の外で稼ぐ術』という本がありますが、まだ世の主流になってないかもしれないですが、僕自身はそういう働き方が良いと思っています。それはもちろん、自分で1発当てることにも賭けたいですが、そんなチャンスは、なかなかない。20何年狙っていますけれど、何回も空振りしています(笑)。
演劇に打ち込んだ大学時代
――読書遍歴についてお伺いしたいのですが、幼少期はどのようなお子さんでしたか?
柴田英寿氏: 小学校の低学年位は元気な子どもではなかったんですが、6年生位からすごく元気になりまして、中学校では部活で野球をやっていました。その時は全然読書家ではありませんでした。本をたくさん読むようになったのは大学生くらいからです。
――どのような本を読まれていましたか?
柴田英寿氏: 大学時代はフランス文学やロシア文学です。会社へ入ってからはビジネス書を大量に読むようになりました。高校から演劇をやっていて、脚本や文学系の読書をしていて、大学はあんまり行かずに、演劇をやっていました。僕らが大学に入ったころは『イカすバンド天国』の影響でバンドブームだったんですが、そのちょっと前の高校生くらいが演劇ブームだった。そういうものに影響を受けていたかもしれません。
――大学は早稲田大学の政治経済ですね。
柴田英寿氏: 僕は今、理系の授業をやっている割に、文系なんです。大学生のころからコンピューターのプログラムをやっていたんですけれど、文系なので試験の時くらいしか学校には行かなかった。学校に行ったら試験が終わっていたこともあって、そこまで行かないとさすがに危ないと思いました(笑)。結局学部を卒業するのに6年かかっています。今はどうか知りませんが、当時は留年してもあんまりお金がかからなかった。取った単位分だけ払えばいいみたいな感じだったので、6年生の時は10万円位しか払わなくてよくて、長居してしまいました。居心地が良かったわけでもなかったですけど、やめる理由もなかった。
著書一覧『 柴田英寿 』