吉山勇樹

Profile

年間200日を超える企業・団体での研修・講演をはじめ、業務改善・プロジェクトコンサルティング、大学や官公庁からの受託プロジェクト等を手掛ける。同時にNPO法人日本教育再興連盟では陰山英男氏らとともに教育のベストプラクティスの収集と普及に努める。また、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等、多数のメディア出演・執筆活動も精力的に行い、新規出版も続々決定。数々のベストセラーをリリース。過去に共著も含め20冊の出版。海外翻訳本も4冊。 アジア圏を中心に好調なセールスを記録。若手ビジネスパーソンのベンチマーク的存在として支持を受けている。DJ・仏シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。

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オープンに広げていくことも必要



――今後電子書籍が普及していく中で、書き手としては、紙の書籍と電子書籍で、書き方に変化は生じそうですか?


吉山勇樹氏: 電子書籍の場合、動画を張りつけたり図式化するなど、ビジュアル的な優位性、ITを活用できる優位性はすごくあると思いますので、メディアミックスということを考えなければいけないなと思っています。新たなプラットフォームになりうることは十分に考えられるので、ビジネスチャンスだと思っています。出版社でも、本当に戦略的にかじを切っているところはまだ少ないとは思いますが、いいものをいい形で届けるような体制は着々と進んでいるなという印象はありますね。

――電子書籍が普及する中で、出版社はどんなところに注力していくべきだと思いますか?


吉山勇樹氏: 読者に対してフロントでアプローチするのは出版社ですけど、僕の場合は、出版社の担当編集の方だけでなく、営業さんとお付き合いします。営業さんは、売り場で実際にデータを見られて、紙でも電子でも、顧客動向やニーズを最も察知している。やはり、顧客の声をどれだけ吸い上げられるかが、非常に大事だと思っています。出版社によっては、読者と近づくための企画をたくさんやっているところもあります。顧客・読者の声をきちんと収集・編集してそれを著者にフィードバックし、新たなことを考えていく。単純に編集作業だけやっていては自己満足の世界になってしまうと思います。変化、時流を敏感に察知しながらリアルな声を収集できるかどうか。結局それが、読者への訴求力につながったりすると思うんです。

――紙の書籍の電子化についてはどう思われますか?


吉山勇樹氏: 権利については、非常に敏感な問題だとは思います。ただ、僕自身は作家ではないので、本を売って食べているっていう意識はないですし、本は、あくまで本業につながるコミュニケーションツールだと思っています。名刺代わりになっている部分も大きいので、そこに制限をかけたいとはあまり思わないですね。むしろ、そういう形で広がれば、読者との会合や講演会を増やして、リアルな熱を伝える機会を持ちたいですね。僕は普段、BtoBの仕事しかしていないので、BtoCで講演するとか、お話しすることがあまりないんです。ですから、読者の集まりなどに呼ばれると、実際の声を聞けてうれしい。書籍の電子化などで、書籍がどんどん広まって、その中で皆さんがつながりを持って、より「気づき」の輪を広げていくことができたら、幸せだなと思います。音楽業界もそうだと思いますが、欧米だと、権利どうこうはとにかく後で、プロモーションビデオなんかでも、とにかく拡散する。拡散した後に、例えばライブに来てもらう。そういう形での収益モデルってあると思うんです。僕は16年ほどDJをしていますが、欧米などだと、You Tubeにどんどん楽曲をフリーで提供して、10万人、50万人とかのフェスをしょっちゅうやっているわけです。そういうところでガッと集客をしたり、発信することでグローバルな展開が生まれるという話もあるので、オープンソース的に広げて、触れていただく度数を増やすことは大事だと思っています。本も同じで、権利ばかりを主張していると、非常にクローズになってしまうので、それってある意味機会損失だなと感じることがあるんですよね。いいものはいいと、どんどん広げていく。当然セールスの部分、著作的な観点ではシビアになるかもしれないですが、それはそれで違う展開を著者自身も考えていかないとダメなのかなと思いますね。

ワークライフバランスではなくワークライフシナジー


――吉山さんはDJもされていらっしゃるんですね。




吉山勇樹氏: 16年やっています。今年も海外アーティストの数百人規模のジャパンツアーで複数回プレイしました。

――忙しい中、趣味を続けていくというのは、やはり段取り力が必要でしょうか?


吉山勇樹氏: あとは職場の仲間や家族の理解が必要だと思っています。「ワークライフバランス」と言いますが、僕は「ワークライフシナジー」だと思っています。ワークとライフってシナジー(相乗効果)を生んでいくものだから、一生の枠組みで考えなきゃと思っているんです。そういう部分を、ウチのメンバーにしろ、家族は、分かってくれている。

――何か将来の夢はございますか?


吉山勇樹氏: この間、早稲田大学で講演した時にも、学生さんから「夢って何ですか?」って聞かれました。インタビューでも、よく聞かれますが、いつも「夢はないです」って答えるんです。あえて言うなら、短期的な夢があると思うんです。今日の夜、仲間と評判のうまいラーメンを食べに行くとかでもいい。週末にちょっとボーナスが入るからスーツを新調しに行くっていうような話でもいい。これをどんどん伸ばしていくと、色々なベクトルが出てくる。短期でも長期でも、これを全部夢だと考えていくと、全体で同じベクトルで動いている。要は自分が好きなことだから、「自分軸」で同じ方向でベクトルが向いてくる。
夢があるのではなく、いつも夢の中にいる。要は「夢中」っていうこと。常に自分がクレイジーになれる、ハマっている状態を持てることは、すごく大事だと思います。

――今後の野望、事業展開などあればお教えください。


吉山勇樹氏: 今は、「アジア」がキーワードです。アジアの中における日本のプレゼンス(存在感)を上げていきたい。自分のビジネスをどうこうするというより、日本という自分の国をもっともっと盛り上げたいという思いが強いですね。今、20代の経営者や頑張っている面々を集めて、「20代から日本を元気に」をテーマにJapan Innovationというプロジェクトを立ち上げているんです。このプロジェクトには、多数の日本企業の経営者が賛同してくれています。アジアは、これから間違いなく世界の中心になっていきます。その中で、日本の存在感を出して行けるようなことを手がけていきたい。そのために、日本のビジネスパーソンの方たちのスキルアップも一つの手段としてやっていきたいと思っています。
これもワークでもあり、ライフでもある。やはりワークライフシナジーなんですよね。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 吉山勇樹

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