内山昭一

Profile

1950年長野県生まれ。昆虫料理研究家、昆虫料理研究会代表、食用昆虫科学研究会会員。幼少より昆虫食に親しみ、99年より本格的に研究活動に入る。どうすれば昆虫はよりおいしく食べられるのか、味や食感、栄養をはじめ、あらゆる角度から食材としての可能性を追究。著書に、その成果をまとめた『楽しい昆虫料理』(ビジネス社)、『昆虫食入門』(平凡社新書)があるほか、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、インターネットなどあらゆるメディアで昆虫食の普及・啓蒙に努めている。東京都日野市在住。
昆虫食彩館】(昆虫料理研究会ホームページ)

Book Information

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ずっと虫を食べてきた人類。昆虫食は「食」を見つめ直す営みである。



内山昭一さんは、「昆虫料理研究家」として、昆虫を調理して食べる会を定期的に開催するなど、日本の伝統の食文化でもある昆虫食を一般に紹介する活動を行っています。また、出版社に勤務している内山さんは本にも造詣が深く、ロシア文学の翻訳者としての経歴もあります。内山さんに昆虫食との出会い、食文化における昆虫食の意義、本への想いなどを伺いました。

昆虫食に広がる理解、女性参加者の積極性に驚き


――昆虫料理を紹介する「虫フェス」が大盛況だったそうですね。


内山昭一氏: 虫フェスはもう4回目で、第4回は勤労感謝の日、11月23日にやったんですけれども、予想を上回る参加者に来ていただいて本当にうれしく思っています。160人ぐらいですかね。会場は中野で比較的広かったですけど、そこが満杯になったということで昆虫食もなかなか広がりを見せてきているんじゃないかなと思っています。

――そのほかに毎月定期的な会も開催されているとお聞きしました。


内山昭一氏: 毎月、「昆虫食のひるべ」というのを阿佐ヶ谷でやっています。「ひるべ」っていうのは造語かもしれませんけれども、昼間2時から5時ぐらいまで駅のそばの店を借りてやっています。昆虫っていうのはなかなか入手しにくいので、基本的にはこちらから提供して、レシピをコピーして持って行きまして、皆さんで分担して調理をしてもらうという、料理講習会みたいなものですね。注文して食べるというパターンじゃなくて、実際に昆虫がどういうプロセスで食べられるものになっていくかというのも非常に重要ですので、そこらへんも体験してもらおうというやり方をしています。日常の活動による積み重ねでどんどん昆虫食に関して理解される方が増えると思っています。

――会にはどのような方が参加されるんですか?


内山昭一氏: ほとんど若い方です。20代、30代、学生さんもいらっしゃいますね。年配の方は、昆虫食というと、ほかに食うものがないからどうしても食うとか、戦中、戦後の食糧難のサバイバル食というマイナスのイメージがどうしてもあるので、わざわざ虫を食いたくないというのがあるのではないかと思いますが、若い方はそういうのが全然ないんです。むしろ好奇心が強いので珍しがって、話のタネにという方がほとんどですね。男女比も同じぐらいな感じで、むしろ女性の方が非常に積極的ですよね。女性は最近、強いですね。男女2人で来る場合も、女の子が男の子に「食べないの?」とか言って、女性はパクパク食べるんだけど男どもがどうも引いちゃうとか、そういう光景がよく見られますよね。

伝統食を再発見、「バッタ会」から活動開始


――内山さんは、虫を食べるということは昔からされていたのでしょうか?


内山昭一氏: 僕は信州、長野県の生まれなんですね。長野県というのは昔から昆虫食が比較的盛んで、イナゴとかハチの子、カイコのサナギ、ザザムシが4大珍味と言われて、今も土産店で売られています。だから僕自身もちっちゃいころ食べた経験があって、もともとなじみがあったんです。やっぱり山国なんでしょうね。自然にそこにあるものとして、普通に食べられていたと思います。

――昆虫食を紹介する活動を始められたのはどのようなきっかけでしたか?


内山昭一氏: 東京へ来てから虫に関してブランクがあったのですが、男の子が生まれて、やっぱり昆虫とかが好きじゃないですか。子どもに付き合って虫捕りをして、彼とお菓子の箱で標本を作ったりしているうちに、昆虫好きだったのを思い出したんですね。食べることはそのころ、全然していませんでしたが、多摩動物公園で1998年に、世界の食べられる昆虫展というイベントがあって、近いし面白そうなので仲間とちょっと行ってみましょうということで行ったんですよ。で、行ってみたら今でも世界各国で場所によってはすごく昆虫が美味しそうに食べられているし、肉とかに比べても非常に値段も高いんですよね。取れる時期が限られていますので、高級食材みたいな感じなんです。



それを見て久しぶりに、そういえば昔、長野でも食べたことがあるねって話になって、仲間と河原でバッタでも捕って食べてみましょうかって話になったんですよね。多摩川水系の浅川に行ってバッタを捕って、どうやって食べようってことになったんですが、とにかく揚げて食べたら一番、衛生上問題ないだろうということで、素揚げにして、ドキドキハラハラしながら食べたら、すごく美味しかったんですよ。まあ、とれたてで新鮮ですからね(笑)。それで、これ意外と面白そうだねということで、だんだんブログとかで紹介するうちに仲間が増えてきて、じゃあ定期的にやりましょう、ということで「バッタ会」を作って、かなり大勢集まってくるようになったんです。

――バッタは食用としてはかなり食べられているのでしょうか?


内山昭一氏: バッタの仲間では、イナゴは結構食べていますよね。全国区、国民食といってもいいぐらいですが、イナゴはちっちゃいからお肉の部分が少ない。美味しい部分って少ないんです。でも、トノサマバッタは大きいじゃないですか。だから肉が結構たくさん入っているので、うまみがすごく感じられるし、食べ応えもある。タイとかラオスでは特にコオロギの養殖が今盛んにされています。で、「コオロギ御殿」を建てたという農家さんもいるみたいで、もともと、食べる文化がありますね。

著書一覧『 内山昭一

この著者のタグ: 『考え方』 『食』 『きっかけ』 『昆虫』 『理解』 『食文化』

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