福澤英弘

Profile

1963年生まれ。上智大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院経営管理研究科修了、ストックホルム商科大学国際経営プログラム修了。(株)富士銀行、(株)コーポレイト ディレクションを経て、(株)グロービスの設立に参加。創業時より企業研修部門の責任者を務める。2007年、戦略実行のための人材・組織能力開発を支援する(株)アダットを設立。 著書に『図解で学ぶビジネス理論 戦略編』(日本能率協会マネジメントセンター)、『不確実性分析 実践講座』(共著。ファーストプレス)、『人材開発マネジメントブック 学習が企業を強くする』(日本経済新聞出版社)、『定量分析 実践講座』(ファーストプレス)など。

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新しい切り口で、企業をもっと強くする



人材開発・研修ビジネスの革新に取り組み、企業に対して組織能力強化の支援を行っている福澤英弘さん。ある研修がきっかけではじまった執筆、本と読者、また編集者と著者の関係性を、これまでの歩みと展望を交えて、語っていただきました。

組織能力を高める


――株式会社アダットが設立されて8年になりますね。


福澤英弘氏: はい。企業の人材・組織能力開発の研修やコンサルティングを行っています。研修というと、論理思考を学ぶだとか、会計の知識を学ぶというようなことをイメージする方も多いかもしれませんが、うちは企業全体が強くなるためにはどうすればいいのかという方向で取り組んでいます。戦略がどんなに素晴らしくても、それが実行されないと会社としては勝てない。

じゃあどうすれば上手く実行されるのか。情報システムを良くするとか、良い人事制度を作るだとか、あるいはマニュアルをとても上手く作るとか、色々なアプローチがありますが、一番重要なのは、組織の能力をどれだけ高められるかということだと思うのです。また、その企業の戦略とフィットした方向性で高まるということが大切。

組織に属する個人の能力をその方向に高めるとか、意識をそちらにもっていくというのが、一番わかりやすい方法かもしれませんね。そして、個人だけではなく、集合体としても強くないといけないという組織能力。2009年に書いた『人材開発マネジメントブック』は、個人の能力をいかに高めて、会社の戦略の方に向けていくかという内容のものですが、今やっているのは、個人の能力をベースとして、それプラス組織の能力を高めるというものです。

――客観的な視点を持ちつつ、理念や戦略も理解しないといけないですね。


福澤英弘氏: そうですね。でも、企業の中にいると、客観的にものが見られないというか、自分のことが一番わからないものです。人間みんなそうですよね。過去の歴史や、上司や社長など、色々なフィルターがかかってしまいますが、外部の者はそれらにはあまりとらわれません。外にいるからこそ、企業が抱える問題や、組織の能力の特徴などがわかるんです。私の場合は、幸い過去の引き出し、蓄積がたくさんあるので、例えば「今こういうことが起きているのは、きっと裏でこういうことが起きているからに違いない」という推測ができるわけです。企業は千差万別ですが、やっぱり問題が起こるメカニズムにはなんらかの共通項があります。会社や業界、あるいは歴史によって展開の仕方が変わるということがあっても、その本質においては共通している部分が実は多いのです。多くの企業を見てきたので、「このパターンに近いんじゃないか」というように認識し、「こういう手を打った方が、より良くなるかもしれませんね」という風に、一緒にディスカッションをしながら作っていくのです。ラーニングカーブを速く下っていくという感じで、学習効果があるので、やればやるほど自分の中でできあがっていくのです。

経済に関心を持つようになった高校時代


――本はお好きでしたか。


福澤英弘氏: 本は昔からけっこう好きで、本代だけは比較的自由に使えましたね。小学生の頃はマンガも好きでした。当時、『週刊少年ジャンプ』と『週刊少年チャンピオン』が流行っていて、みんな毎週買っていました。でもそれでは勿体ないので、10人くらいで仲間を作って、順番に『ジャンプ』と『チャンピオン』を買う人を決めて、回し読みをしたりしていました。あと、カブトムシとかクワガタを獲って売ったりもしましたね。それから、近くに古墳がたくさんあったのもあって、小学生の時の私の趣味は古墳掘りでした。刀や高坏などが出てきて面白かったですね。6年生ぐらいになると、私が先生を従えて、古墳に見学に行ったりもしていました。インディ・ジョーンズみたいになりたいなと思っていて、将来の夢は、中学生ぐらいまでは考古学者だったんです。もちろん当時はまだインディ・ジョーンズは存在していませんでしたが。

――経済の方へと進まれることになったのは。


福澤英弘氏: 歴史も好きだったのですが、高校に行く頃から、一種のゲーム感覚だったのか「どうすれば金を稼げるか」と考えるようになり、そこから経済の方に興味が向かっていきました。高校生の時には、「福澤宝くじ」を作っていました(笑)。紙にナンバーをふって、ダーツで当たりを決めるという半分遊びのようなものでしたが、クラスのイベントになっていましたね。私は元締めだったので、例えば1000円集まったら、100円は手数料として貰うことにしていました。でも次第に、「期待値はいくらなんだ」とか、「お前が儲かっているんだったら買わない」というような声が上がり、集めたお金は全部、賞金で配ることになってしまいましたが。

――大学では、テニスもされていたそうですね。


福澤英弘氏: 当時、上智にはテニスサークルがたくさんありました。4月に勧誘、フレッシュマンウィークというのがあって、その後、四谷から赤坂の方を、ビールなどを飲みながら提灯を持って歩くという提灯行列というイベントがありました。今思えば、のどかですよね。先輩たちに勧誘されて、赤坂の高級そうなスナックに連れられ、思わずサークルに入りますと言ってしまいました(笑)。
体育会は別格でしたが、上智の中にもテニスサークルのヒエラルキーがありました。割と伝統のあるサークルが幾つかあって、そこが一種の連盟を作って、試合をやったりしていました。ソフィアオープンにも、連盟に属していない我々は、「出させてもらう」という立場でした。段々とそれに嫌気がさして、マイナーなサークルだけを集めて、自分でリーグを作ることにしました。メジャーリーグは個人戦だったのに対して、マイナーリーグは団体戦。対抗戦というのを私が中心になって作ったのですが、今でもまだそのリーグは続いているようですね。今思えば、その頃からメインストリームに抵抗感があったのかもしれませんね。

著書一覧『 福澤英弘

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