野村絵理奈

Profile

1975年、兵庫県生まれ。同志社大学法学部を卒業後、NHK松山放送局キャスター、気象予報士を経て2005年株式会社KEE'Sを設立。 独自の教育メソッドを確立し、これまで1万人以上にコミュニケーション、話し方、プレゼンなどの企業研修を行っている。又、アナウンススクールでは105名の新人アナウンサーを輩出。社会人向けのプレゼンやスピーチのセミナー、女性向けの話し方セミナー、結婚式のスピーチ・謝辞レッスンなど、独自の話し方レッスンを開講しメディアでも話題に。 著書に『口ベタでも90分で人生が変わりだす話し方 小さな話し方教室で起きた奇跡』(講談社)、『世界一の美女になる話し方』(PHP文庫)など。

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留学先で痛感したコミュニケーションの重要性


――活発になった野村さんはその後……。


野村絵理奈氏: 言葉、特に英語がすごく好きだったので、英語科のある高校に入りました。職業を意識し始めた頃には、語学を生かした仕事をしたいと思っていました。大学時代にはシアトルに留学するのですが、言葉ではすごく苦労をしました。留学先では、危険な目にも何回か遭いました。ある日、通学バスの路線を間違えてしまったのですが、親切な運転手さんが送ってくれるとことになりました。ほっとしたのも束の間、おろされた場所に地元のおばさん二人が走ってきて、「女の子一人でこの通りに入ったら、絶対に駄目!」と、ものすごい剣幕で怒られたのです。実は、ホームステイ先とは全然違う、危険な場所で降ろされていたことを知りました。その後は、ホストファミリーが私のために、もう一度一緒に通学路をチェックしてくれたり、そういう人たちの支えがあって、なんとかやっていくことができました。そういった経験から、「海外に行って、日本から来る学生さんをサポートするような仕事がしたい」と思うようになったのです。

――そこからアナウンサーへと進まれたのは。


野村絵理奈氏: 留学中に「しゃべっていても面白くない」と言われたことがありました(笑)。なぜかと聞いてみたら、「反論しないから。自分がこうだと思ったことは、イエスかノーかを、はっきりとロジカルに伝えるようにしないと、会話が面白くない」と。外国人の中で自己主張ができないことが、コンプレックスでした。色々と悩んだ結果、「その原因は英語ではなく、話し方なのではないか」という結論に達したのです。



「話し方を根本的になおさないと、私は海外で仕事はできない」ということで、まず話し方教室を探すことから始めました。NHKの初期のアナウンサーであったI先生という「アナウンサーが人生の全てです」というような、すごく厳しい先生に出会いました。最初は「なんで発声をやらなくてはいけないのか」などと思っていましたが、次第に「発声は全てに通じる」ということがわかってきて、面白くなっていきました。そうやっているうちに、アナウンサー試験にも受かることができたのです。どの放送局を受けに行っても、I先生のところで学ばれたのですね。喋り方ですぐにわかりますよ」と言われるくらい、個性の強い先生でした。

アナウンサーになってから教えてもらったことや、自分の経験により培ってきたものを、一般の方にも伝えたいという思いで始めたのが、2005年でした。10年前の日本には、あがり症の人のための話し方教室、アナウンサーになりたい人のためのプロ養成所しかなくて、その中間の人たちのための場所はありませんでした。

――そういった場所を必要としている人は、多いのかもしれませんね。


野村絵理奈氏: 子どもの時に話し方を習う機会がなく、苦労する人も多いのかもしれません。それに日本には、“阿吽(あうん)の呼吸”という独特のものもありますが、その感覚が時には「はっきり物を言い、相手に的確に伝える」ということの妨げにもなります。「これからの社会では必要とされる場所だ」と、アナウンサーの仲間二人と、会社の立ち上げに踏みきりました。でも、最初の頃は、パンフレットを持って会社訪問に行っても、まず「なんで話し方なの?」という説明をするところから始めないといけませんでした。

“話し方”で、本当に人生が変わるの??


――周りがまだ、話し方の重要性を感じていなかったのでしょうか。


野村絵理奈氏: 当時は、外資系の会社のトップのスピーチなどに触れる機会も少なく、スピーチやプレゼンの重要性を感じて下さる企業も、今ほどではありませんでした。「アナウンサーになるわけでもないのに、なんで発音をやるの?」と言われたこともあります。お給料でためた貯金が、どんどんなくなっていって、「缶ジュースを買うお金もないし、別の仕事をしようかな」と母に相談したことを、今でも覚えています。

その時母は、「じゃあお白湯を飲めばいいじゃない。もやしが一番安いから、もやしを炒めて食べたら?」と……(笑)。母の励まし(?)のおかげもあり、地道に続けていくうちに「異業種交流などの場でスピーチをさせられるから、一回、やってみようかな」と言ってくださる方も出てきました。最初に仕事を受けてくれた社長さんとは、今でもお付き合いがあります。その方は「人生が変わったと思う。発声なんかやって、どうするんだって思っていたけど、一生懸命やることによって、全てがうまくいきはじめた」とおっしゃいました。

――実際にやってみて、手ごたえがあったと。


野村絵理奈氏: 私は「だから言ったじゃないですか」と(笑)。「新人から始めて、これから管理職になる候補生にもやってほしい」ということで、その対象はどんどん広がっていくことになりました。私たちも最初は、スピーチだけを教えていましたが、営業の方には営業トーク、新人の方には印象アップできるようなマナーも含めて、そして管理職は、リーダーシップを取れるようなモチベーションの研修といったように、色々とコンテンツを増やしながら、ビジネスに合うようにアレンジして、自分たちで作り上げてきました。

著書一覧『 野村絵理奈

この著者のタグ: 『英語』 『コミュニケーション』 『組織』 『アナウンサー』 『プレゼンテーション』 『スピーチ』 『女子力』 『女性』 『母親』 『国際』 『考え方』 『アドバイス』 『可能性』 『リーダーシップ』 『コンプレックス』 『ビジネス』 『アウトプット』 『モチベーション』 『子ども』 『お金』 『人生』 『法学部』 『仕組み』 『セミナー』 『リーダー』 『ルール』

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