挑戦の軌跡を記す
本山勝寛氏: 将来は途上国支援を、と思う一方でそうして韓国で得た気づきから、学部時代よりもさらに学びを深めたいと思うようになりました。どうせなら、とことん学びたいということで、ハーバードに進みました。英語が本当に苦手で大変でしたが、一緒に行った妻に支えられました。
――『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』にまとめられています。
本山勝寛氏: 大学時代は、読んだ本の気に入った部分を自分のノートにメモしたり、詩やエッセイのようなものを書いたり、書くことに興味を持っていました。ちょうど世の中にブログが出てきて、アルクの「東大よりハーバードに行こう」というプロジェクトで公式ブログを書くようになりました。そこでハーバードへ行くまでの準備過程をリアルタイムで書いていったんです。当時、そういった留学の体験記などはありませんでした。
僕も東大受験の時、東大受験の体験記をひたすら読んで、研究し、東大の試験対策の戦略を練りました。塾などには行けなかったので、どうすればよいか分からなかったのですが、体験記を通じて、自分で勉強ができました。そういう参考書が、留学においても必要だと思い書きました。
“学びのエバンジェリスト”として
――どのような想いで書かれていますか。
本山勝寛氏: 本を書くということも、社会を良くするという、人生を通して自分がやりたいことの一貫だと思っています。ハーバードへ行ってみると、日本人はとても少なくて、周りは中国人とインド人と韓国人ばかり。このままでは日本はやばいなと肌で実感しました。だからこそ、自分が見て体験したことをまとめ伝えなければ、と思って書きました。それ以降も、それぞれテーマを持って、自分が書いたものを通してどう読者のためになるか、あるいは日本の社会が少しでも前進すればということを考えながら書いています。
例えば、勉強法の本を通して勉強のやり方を多くの人に知って実践してほしいという気持ちもありますし、『YouTube英語勉強法』という本も、IT技術が発展していく中で、とても良い学習素材がタダで手に入る時代になりました。教育と学びによって世界が開ける、あるいは夢がかなうということを本を通して伝えたいと思っています。僕にとって本は「どこでもドア」。世界につながるツール、秘密道具だと思うんですね。大学時代は哲学や歴史、世界各国の話などを、本を通して学び、考え、感じることができました。2000年前の話であっても、本を通して知ることができる。当時の人と会話することができるんです。
――いつでもどこでも学べるツールは、教育格差の是正にもつながりそうですね。
本山勝寛氏: そこにとても可能性を感じています。持ち運べる媒体に無限の本が入るなんて、本当にドラえもんの世界ですよ。無限に、学びにアクセスできることで、教育そのものも変わっていきます。お金がなくても本を読める、情報にアクセスできる、学ぶことができることが、とても大事だと思っています。僕自身、学ぶことで一つ一つ人生が開けてきました。僕の使命は、学びの革命を起こすことだと思っています。これからも「学びのエバンジェリスト(伝道師)」として、学びの素晴らしさ、楽しさを本や活動を通じて日本にも世界にも伝えていきたいと思います。
(聞き手:沖中幸太郎)
著書一覧『 本山勝寛 』