三つのコンセプトで伝える
水野俊哉氏: そうして歩いていると、だんだん体力も戻ってきて、体重も少し減りました(笑)。本を書き始めたのは、ちょうどその頃です。何百冊も読んで、編集部が納得する内容の書評を、一日二冊書き続けるということを、一ヶ月弱、続けていました。極限の締め切りにも耐えられるだけの体力・精神力が身についていて、編集部の人も驚いていました。それで出版した本が『成功本50冊「勝ち抜け」案内』。これが好評でした。すると、次々と出版社から依頼が来るようになり、ビジネス書作家として再出発することになりました。
――様々なテーマ、手法で書かれています。
水野俊哉氏: 世の中を元気づける本を書く。失敗した人を元気づける本を書く。子どもの役に立つ本を書く。という三つのコンセプトで書いています。『幸福の商社、不幸のデパート』は私小説風。『誰もが無理なく夢を引き寄せる365の法則(気づき)』は成功本。あと『「ビジネス書」のトリセツ』はビジネス書の解説本という感じですね。
最初の、『成功本50冊「勝ち抜け」案内』を書く途中、様々な名著を読み返しながら「こうしたら良かったな」ということに気づいて、習慣作りや目標の立て方を意識するようになりノートに日記と共に書いていました。今日は何時から何時まで本を読んで、これだけ書いたとか。ドル/円の為替レート、日経平均と、ダイエットのため、食べたものと体重増減表とか(笑)。あと、「将来、こういう風になりたい」という目標も書いていました。これは今も続けていて、成功本の目線っぽく、元日の朝4時に起きて、仕事・健康・家族・教養などの6項目に関して、一年間の目標を立てるようになりました。次の年にそれが達成できたかどうかを書いて、また新しく翌年分を書く。初日の出までにそれを書いて、初日の出を拝んでから、神社にお参りしています。家族での初詣は二回目に行って、大吉だと、よし今年は勝ったみたいな(笑)。
『成功本50冊「勝ち抜け」案内』には、“成功したい人のためのベストテン”といったもの書いてありますが、それを自分でも実行するようにしました。それが更新されながら、『「4分割」ですべてがうまくいく マトリックス図解思考』という本には、仕事、余暇や家族をバランスよく頑張った方が、効率良くうまくいくということを書きました。自分もそれを忘れないようにしています。
自分という“卵”食材を活用してほしい
――水野さんの本に多くの人が勇気づけられています。
水野俊哉氏: 自分が卵だとしたら、それを割ってスクランブルエッグにしたり、目玉焼きにして、みんなで食べて欲しいと思っています。本を書きだしてから今までに、凄くたくさんのノウハウがたまってきています。それをシェアして広めていったほうが、自分もハッピーになれると考えています。今、協力してくれる人たちが周りに集まっているので、その人たちと一緒に、どんどん広めていきたいと思っています。一緒に本づくりをする編集者の方からも、磨き抜かれたスキルや本作りに対する哲学など、とても勉強になりますね。野球のキャッチャーのような存在だと思っています。著者がピッチャーだとすれば、どこにどんな球を投げろと、キャッチャーがリードしてくれないと投げられません。キャッチャーが新人のピッチャーを育てるのと同じで、ピッチングの組み立てや配球とか、ランナーがいる時のけん制球とか、そういうリードをしてほしいわけです。ノーリードでとにかく投げるから受け止めてほしい、というような時もありますけどね。
――水野さんにとって、本とは。
水野俊哉氏: 昔も、今も、これからも活動の源泉ですね。今、家の中は本棚から本が溢れ返り、それでも収まらなくて、レンタルルームを借りています。小田原に移住した理由の一つが、都内の家に収納できなくなったからなのです。家にある本だけでも、たぶん一生過ごすことができるだろうということに気づきました(笑)。それらを整理して、自分のフィルターに通して、新たなものを発信していきたいですね。
最初の本の出版から七年くらい。一冊書くために何百冊という資料をまとめて、もうこれ以上のものは書けないという想いで書いてきました。『「ビジネス書」のトリセツ』は出版から四年経過していて、時流なども変わっているので、「読んで、書いて、しゃべって、教える」というテーマを盛り込んで出版しようと思っています。。『幸福の商社、不幸のデパート』もおかげさまで読者の方々より良い反響もあったので、続編も書きたいと思います。
(聞き手:沖中幸太郎)
著書一覧『 水野俊哉 』