自分の“畑”を耕そう
――その知識や洞察力を培う、読書とは。
中原圭介氏: 自分がまだまだ成長できるような知識を、吸収するための手段が読書だと考えています。一冊の本を読んで、一つでも二つでも得るものがあれば良いと思っています。自分が、客観的に見て正しいと思ったところだけを取り入れる、あるいは自分の血と肉にしていけばいいわけです。
新聞を読むことも大事です。新聞を読み始めて10年ほど経ってから、ようやく私も世の中のことが分かってきました。ですから、大学生にもよく「新聞は読みましょう」と言っています。良くも悪くも雑多な情報が氾濫しているネットと違って、新聞は記者のフィルターがかかっていますよね。なるべく公正な視点を保つためには、色々な新聞を読み比べてみる事が大切です。情報源を一つだけに絞るのではなくて、色々なものを色々な見方で見て、自分の頭で考えなければ、思考停止状態に陥ってしまうのです。
またネットだと、自分の好きな記事しか読まず、知識が偏ってしまいます。新聞であれば、経済面、政治面、国際面、企業面、文化面そして科学面と色々な面がありますし、週に1回読者が特集をしていたりもします。あとは、客観的に事実だけ読んでいけば、新聞を読むことは、そんなに難しいものではありません。
――幅広く、知識を吸収することで色々な視点が培われていくのですね。
中原圭介氏: 自己啓発の本が売れていますが、そこには著者の努力の蓄積、過去の蓄積が記されています。過去の蓄積がない人間がパッと読んで、実行することは難しいでしょう。私は、自分の畑を耕さずに、自己啓発本を読んでも、スキルアップはしませんと、冒頭にお話しした『未来予測の超プロが教える 本質を見極める勉強法』にも書いています。自身の畑を耕す道具、肥料は色々試してみないと分かりません。一つのことを追求するよりも、幅広く、様々な知識を持っていたほうが、社会に出てから成功します。これからも、その畑の収穫物は、執筆や講演を通じて、政策立案のもととなる「社会」へ還元したいと思っています。
(聞き手:沖中幸太郎)
著書一覧『 中原圭介 』