想いと熱意を伝える本づくり
豊田圭一氏: 会社は潤い始めましたが、それでもまだ留学業界の中でだけと限定的なものでした。業界の枠を超えて、もっと多くの人に自分の考えた方法論を伝えたいという気持ちから、書籍を出したいと思うに至ったのですが、そんな矢先に出逢ったのが、クロスメディア・パブリッシングの小早川幸一郎社長でした。早速、「自分も本を出したい」と言ったら「豊田さんなら出せるのではないですか?」と言われて、いよいよ始まったのです。
ようやく、本に出来ると思ったのですが、そうスンナリとはいきませんでした(笑)。最初に出した企画は「留学のすすめ」でした。留学はニッチだし、海外ネタはダメですと、あっさり断られます。それならと、次の日に「海外のすすめ」という企画で出したら、やはり「海外はダメです」と。さらに、今度は同じ中身で「アウェイに行こう」に変えたのです。
――手を変え、品を変え……。
豊田圭一氏: 相手が嫌がるくらい……(笑)。そしたら「申し訳ないけど豊田さん、二度と出版企画書を出さないでください」と。参ったなー、と思っていたら「でも、豊田さんの本をうちから出すことを決めましたので、次回ふたりで会って飲みながらでも、どんな本にするか考えませんか」と言ってくださいました。ふたりでお会いしたとき、A4の紙に「実行力のポイント」と、ただ一言書いた紙を出されて。そこから『とにかくすぐやる人の考え方・仕事のやり方』の本作りがスタートしました。
本は著者だけでなく、営業そして編集の三人で作るものだと思っています。営業がマーケットを知り、その上でテーマを一緒に考えます。著者は自分のエピソードを盛り込みながら書く役割で、それを作品にするのが編集者だと思っています。だから、ぼくも著者という役割を担うチームの一員という気持ちで、ずっとやっています。編集者の意見も必ず聞きます。修正や意見が出ても、変なプライドを持ったり、自分の考えに固執したりしていては、読者に届きませんし、良い本は出来ないと思っています。
世界のどこかで、また会おう
――『毎日がつまらないのは、どうしようもないことにくよくよしないラテンマインドが足りないからだ』が出版されました。
豊田圭一氏: 8年前にデビュー作『とにかくすぐやる人の考え方・仕事のやり方』を出した頃から、いつか「日本人ラテン化計画をテーマにした本を出したい!」と言い続けてきましたが、それがようやく実現しました。日本人ラテン化計画と聞くとふざけてると思われるかもしれませんが、「やると言った事はきちんとやる」「時間を守る」「相手に対して誠実である」といった、すごく良いところをたくさん持っている日本人が、躊躇して最初の一歩が出なかったり、ちょっとしたことで精神的に参ってしまうのは「どうしようもないことにくよくよしないマインド」(それをラテンマインドと呼んでいます)が足りないのではないか、日本人にラテンマインドをちょっと注入したら、もっと世界で活躍できるのではないか、と思ったことが本書を書くことになったきっかけです。今日お話したように、ぼく自身も、けっして順風満帆ではないですが、ラテンマインドで今まで乗り越えてきました。
ぼくが常に思っているのは、世界における日本の存在感を上げるということです。今回の本もそうしたぼくの想いを詰め込んだ本に仕上がっています。世界は楽しいところです。本やぼくの活動を通して、日本にいる時と同じように楽しめる姿を見てもらうことで、世界で、自分のフィールドで活躍できる人が育ってほしいと思っています。
ぼくは、研修の最後に「研修は今日で終わりだけど、人間関係はこれで終わりじゃないので、これからもつながっていこう」「じゃあまた世界のどこかで会おう」と言っています。日本も世界の一部で、東京から大阪に行くように、バンコクでもデリーにでも、アフリカ、南米だって行くことができるのです。ぼく自身大いに楽しんでいますが、素晴らしい日本人が、色々な国や地域で活躍できるよう、もっともっとこの仕事に情熱を注ぎ込みたいですね。
(聞き手:沖中幸太郎)
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