苦労は次に進むための糧になる
佐藤文男氏: 安定を求めない生き方は、苦労も少なくありませんが、その分、世の中に役立つ体験を発信することによって、自分の糧が増えます。苦労は次に進むための糧だと捉えると、ちょっと気持ちが変わってきますから、色々な経験は感謝すべきありがたいことであると思います。
人生に、無駄はありません。私は、神様は公平だなと思っています。色々な人、色々な生き様がありますが、当然、皆さんそれぞれ、人生でプラスの経験、マイナスの経験があります。でも、結局、マイナスの経験があるから、プラスにいくのであって。逆にプラスの経験をするためにマイナスの経験がある。そこから改良を重ねていくからプラスに辿り着くのだと思います。新入社員時代は誰でも、ミスをしでかして怒られたりするものですが、それは「失敗」ではありません。自分が成長するために、どうしても通らなければならないプロセスなのです。ですから、そこから学んで、改良すればいいのです。
稲盛和夫さんの『生き方』という本には、とても素晴らしいことが書かれています。とんでもない悪いことが起きた時、あるお寺の住職から「悪いことがあったら、業が祓えたと思って逆にお祝いしなさい」と言われたといいます。究極の言葉ですよ。アミダくじ理論というのがありますが、人生でつまずいたら、別の方向へ行けばいい。人生にゴールがあるとしたら、アミダというのはとても分かりやすくて、色々な生き方でゴールに辿り着けます。それが色々な人の生き方なのです。私は、自分を高めていくというのがゴールだと思っていますが、これは皆さん共通なのではないでしょうか。生き方を通して、自分自身を高めていく。それぞれ色々な道を辿っているわけですから、失敗ではなく、それはあなた自身の究極のゴールを目指す人生なのです。
生き方の基本は、どの時代でも普遍のものだと思います。常に一日一生、常に一歩一歩前進していく、そういうような価値観で歩めたらと。悪いことが起きても、全て前向きに捉えて、なんとか解決していかなければということです。
一日一生 人生はいただきもの
――物事を前向きに捉えた、佐藤さんの新たなチャレンジが続きます。
佐藤文男氏: モットーは生涯現役。これは変わりません(笑)。せっかくシンガポールで経験も積んできたので、もっとグローバルに展開していこうと考えています。今までの経験をもっと広げて、自分を高めていきたいですね。そうして自分の成長を周りの貢献につなげたいと思っています。私も一日一日大事に、努力しています。常に現役であるためには努力が必要です。そこは手を抜いてはいけません。年齢は関係なく、常に上を目指して努力していくことが大切。ただ単に長く続ければいいというものではありません。昨日よりも一歩一歩上がっていく、その想いを大切にしています。
人生とは、与えられたもの。生きているのはなく、生かされているのです。与えられたものの中で、私は使命感を持って生きています。人生をいただいているのですから、幸せです。毎日感謝していて、一日一生と思っています。毎朝、必ずシャワーを浴びるのですが、浴びた後に「今日も一日いただきました、ありがとうございます」と言いながら水をかぶることを習慣にしています。
私の生き方は、ちょっと不器用かもしれません。けれども、このように生をいただいて、こういう生き方が出来て、お陰様で本も今まで15冊も出版することができました。私の本を読んで少しでもプラスに思ってもらえる人がいるならば、この世に生きる存在、証しとして多少なりとも意味があるのではないかと思います。
生き方の本質論というのは、ブレない生き方とよく言われますが、自分自身のブレない生き方は何かと言えば「自分自身の生き様、体験を通じて世の中にプラスな情報発信をすること。」まだまだ研鑚を積まなきゃいけないと思っています。だから、社長という意識よりも自分はプレーヤーだと考えています。50代になっても新たなキャリアにチャレンジすることで、「まだまだ守りに入るなよ」と、みんなに刺激を与えていきたいですね。
(聞き手:沖中幸太郎)
著書一覧『 佐藤文男 』