目の前の“当たり前”を大切に
「信頼される、スピード感がある、親身になる」がモットーの税理士法人タックス・アイズ代表を務める公認会計士・税理士の五十嵐明彦さん。当たり前を一生懸命に――目の前にあった“縁”を紡いでこの世界に入りました。「難しいものをわかりやすく」という五十嵐さんの本に込められた想いとは。
三つのモットーと二つの目で
――決算申告や経理支援、など税務のプロフェッショナルとして活動されています。
五十嵐明彦氏: 「タックス・アイズ」という名前は、めまぐるしく変化する経済情勢に的確に反応できるように、あらゆる角度から目(eyes)を向けるとともに心(愛s)を込めて仕事をしていくことを宣する意味で名づけました。
法人の決算申告や経理支援、個人の所得税や相続税の申告についてのご相談を受けています。
みなさまに信頼され、安心して仕事を依頼していただくこと、依頼にスピード感のある対応をすること、親身になってみなさまへさまざまな提案をしていくこと、この三つを信条に税務のサポートを取り組んでいます。
「自分の出来ることをやれば良い」 払拭された“大人の世界”への不安
――五十嵐さんが公認会計士になろうと思われたのは。
五十嵐明彦氏: 子どもの頃、活発な野球少年だった私は、夢もプロ野球選手。毎日野球をしているような子どもでした。そんな私が読書好きになったのは、高校生になってからでした。父が本好きで、読んでいた船井幸雄さんの本などを読み始めたんです。時間や約束を守ることなど、当たり前で普通なことが、大人が読む「本」に書かれているのを読んで、少し衝撃を受けました。なんだかよくわからない「大人の世界」に不安を持っていたのですが、価値観や決まり事というのは、子どもの世界とそう大差ないのだと、妙な安心感を覚えました。「自分のできることをやればいい」そう思わせてくれました。
とはいえ、まだ「これがしたい!」という明確な目標があった訳ではありませんでした。高校3年生の進路面談時には、友人の「公認会計士の勉強をするために商学部へ行く」という意見に、特に考えもなく同調し、担任の先生に伝えました。ところが、先生はしっかりと私の意見に対して考えてくださり、知り合いであった公認会計士の石井和人先生を紹介してくれました。
初対面の高校生相手に、公認会計士の魅力を丁寧に私に話してくれました。仕事についての知識は全くありませんでしたが、「よし、やってみよう」と一念発起しました。そのとき、ご馳走になったステーキが、気持ちによりいっそう拍車をかけてくれたのかもしれません(笑)。
そうして、大学入学の少し前から簿記の勉強を始めました。当時は一般教養を経た大学3年生にならなければ公認会計士の試験を受けることはできず、「それまで待とう」と3年合格プランを立てたのです。大学生になってからは、ビジネス書や自己啓発の本を中心に読んで、社会に対する想いをかき立てていましたね(笑)。
大学の付属高校から受験をせずに大学に入学した自分は、どこかで勝負したいという気持ちがあったのだと思います。サークル活動や飲み会などそれなりに普通の大学生活も送っていましたが、余力をぶつけたい、資格試験で勝負したいという気持ちはずっと消えませんでしたね。
――目標通り、3年時に公認会計士の試験に合格されます。
五十嵐明彦氏: 公認会計士の就職活動は、10月の合格者発表後すぐに始まり、就職します。私も、その年の10月に監査法人トーマツに入社し、卒業する3月までは非常勤という形で働かせてもらいました。
社会人1〜2年目は、手取り足取り教えてもらいながら、色々な人の仕事を見ながら覚えていきました。監査法人の魅力は、現場によりチームが違うこと。色々な会社や仕事を見ることもできましたし、その都度、一緒に仕事をする先輩や上司も異なり、良い経験になりました。
自分で何かをやりたいという気持ちもあり、社外でも学ぶ時間を確保するため、2年半務めたのち非常勤に戻り、専門学校で公認会計士受験の講師などをしていました。ある日、私がこの世界に入るきっかけを与えてくれた石井先生から、タックス・アイズの前身となる今尾公認会計士事務所を紹介され、そこから今日に至ります。