楽しんで学べる本を届ける
古川昭夫氏: 巣立っていった生徒の中から、新たに私たちと一緒に仕事をする人も出てきました。最初に一般向けに出版した『世にも美味しい数学』も、出版社に勤めていた元生徒からの依頼によるもので、その元生徒である編集者が“仲間”になって作り上げてくれたものでした。
この本は、架空のレストラン「マセマチカ」を舞台に、イラストを多用し、楽しんで読めるものにしようと、編集者とアイディアを出しながら仕上げました。極限・整数・複素数の世界を味わうという副題で、内容は決して易しいものではないのですが、数学の訓練をしていない人にも分かりやすいような本を心がけました。
――ページをめくるのが楽しくなってきます。
古川昭夫氏: こちらの『イギリスの小学校教科書で楽しく英語を学ぶ』も、イギリスの学習用図書Oxford Reading Treeを使うことで、通常の英語教育では触れられない生活や文化に密着した「本物の英語」が楽しく学べるようになっています。また、挿絵やイラストを入れ込むことで、知らない単語も推測でき、楽しんで学ぶことが出来ます。こちらもおかげさまで多くの方に手にとって頂き、10年以上経った今でも、版を重ね読まれています。
子どもたちの笑顔を糧に 闘う知恵と自信を育てる
古川昭夫氏: 私は、子どもたちに「楽しく学ぶ」ことで得た自信を、豊かな人生を歩み、社会でチャレンジすることに役立ててほしいと思っています。チャレンジは、立ちはだかる障害との闘いでもあります。時にはそれから逃げたり、耐えたりすることも必要ですが、恐れず闘うことが大切です。
そのための基礎力・知恵、勇気・自信を身につけるサポートをする、未来を生きていく子どもたちの「自分はこれなら出来る」というものを見つける、そして育てることこそが、私の役割だと思っています。
「自分には出来ない」と思ってしまっている子どもたちがいれば、ぜひこの教室で学んで欲しいと思います。未来は変えられます。出来なかったことが分かると、自信がつき、笑顔になります。そうした笑顔を糧に、これからも子どもたちの豊かな未来を学習面からサポートし続けたいと思います。
(聞き手:沖中幸太郎)
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