佐藤秀峰

Profile

1973年、12月8日生まれ。北海道中川郡池田町出身。Web上から数々の漫画を試し読み、購入できる『漫画onWeb』を運営する有限会社佐藤漫画製作所、代表。武蔵野美術大学造形学部映像学科中退。大学在学中より漫画家を志し、福本伸行、高橋ツトムのアシスタントを経て1998年『週刊ヤングサンデー』(小学館)に掲載の『おめでとォ!』でデビュー。『海猿』や『ブラックジャックによろしく』など、綿密な取材に基づいた人間ドラマを描く。2002年、『ブラックジャックによろしく』で第6回文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞受賞。連載中作品 「特攻の島」「Comic Sato」も上記サイトで購入可能。

Book Information

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――無料配布は、電子書籍というコンテンツがまだまだ少ない中で、一石を投じ親しみやすいものに変わりつつあると思いますが、電子書籍の未来、今後どんな方向に進んでいくと思われますか。


佐藤秀峰氏: 壮大な質問ですね。(笑)形状で言うと、たぶん電子ペーパーみたいなものになっていくんじゃないでしょうか。

――みんな、どんどんシフトチェンジしていくのでしょうか。


佐藤秀峰氏: そうですね、当然そうなると思ってます。ずっと前からですが過渡期なだけで、色んなシフトチェンジが今起こっていると思います。今まで、『本』というのは紙のものだって思い込みがあったので、中々その思い込みからみんな離れられないだけで、単に情報を紙に印刷したものを束ねたのが『本』であるとした場合、それを別に紙じゃないものに記録して束ねれば同じ事だと思います、極論ですが。

――例えば、データとして電子化されたものがあって人によっては本屋さんに行ってプリントできる機械で出力したものは、果たして紙の本なのか電子書籍の一種なのか、ということですよね。


佐藤秀峰氏: そうですね、レコードみたいになってくるんだろうなと思ってますけどね。

――音楽と同じような道をたどるということですか。


佐藤秀峰氏: そうですね。漫画でお金取れる時代も続くのかな、と疑問に思う気もしますし。

――10年後20年後どうなっていくのでしょうか。書き手として何か変化は生じそうですか。


佐藤秀峰氏: もう今現時点で、変化はありますね。例えば漫画の場合だと、印刷する時どうしても裁断の時に何ミリかずれちゃう。断ち切りで漫画を描く場合ってどこで切れてもいいように少し大めに絵を描いておくんですね。それがデジタルだと1ピクセル単位でぴったり合わせられるので端っこまで5ミリくらい余計に画面が使えるんですよ。なのでそこまで使っちゃいたいけど印刷の事を考えると、『5ミリ以内に抑えておこう』とか微妙な事なんですけど、そういったことも書き方にちょっとずつ影響するんじゃないかなと思います。

――スペースで制約されるが故の漫画手法、そういった制約が解放されれば劇的な変化ですよね。


佐藤秀峰氏: そうですね。印刷でできる事とデジタルでできる事が違うっていうのもありますし。今ビューアーも色々あるんで画像の中にリンクを埋め込んでおいてその上をマウスオーバーして、クリックしたらそっちに飛べるとか。また1冊の本に留まらないで色んなところに行ったり来たりみたいな使い方も多分できるだろうな、とか考えますね。特性は違うんですけど色々できる事多いですね。

――読まれる先の、特性を意識した書き方ですか。


佐藤秀峰氏: そうですね、特性を想定した書き方ですね。例えば漫画だと当然印刷はカラーとモノクロで値段が全く違います。それがデジタルだと、データの大きさぐらいしか差がなくなるので、カラーのものが作りやすくなるんですよね。(他のコンテンツが)みんなカラーなのに漫画はモノクロでなんかリッチじゃないじゃないですか。なんかウェブ用にはカラーで書いたほうがいいのかなとか思います。でもカラーで書いても印刷の場合はモノクロになっちゃうので、どっちも耐えられる描き方ってないかなとか。色々変わってきますね。

――ちなみに読み手としてご自身で変化ありそうですか。


佐藤秀峰氏: 雑誌も含めてあまり本を読まないんですけど、送られてくる本ぐらいですかね。なので意識の変化はわかりません。

――仕事の資料だと普段どれくらい読まれますか。


佐藤秀峰氏: そうですね、漫画はほぼ0冊ですね。あまり他の作家さんが書かれたものを読まなくて。流行りとか傾向を知っておきたいという理由からパラパラっと絵柄を見て。今こういう感じかって確認する程度です。読み物として追っているものはないですね。

――風潮を確認するんですね。小説は読まれませんか。


佐藤秀峰氏: 小説もほぼ読まないですね。取材で必要なものとか資料的なものは探して取り寄せたりして本でも読みますけど。

――では、その作業の中で最近読んでいる本は何でしょう。


佐藤秀峰氏: 今、読んでるのは渋いですね。老人の性革命、老人施設の性の問題を扱ったようなものです。2、3年前のもんですかね。漫画で描くので知りたいと思ってアマゾンで買って読むみたいな感じですね。

――だいたい参考資料ってどれくらいのものになるんでしょうか。 


佐藤秀峰氏: 量ですか。そんなにないとは思いますね。連載始める前に20冊くらい読んだんですかね。お医者さんの書いた本とかあとは病気に関する本を読んで。あとは各章、癌編を描くとか精神科編を描くっていう時にその都度テーマに関わる本を10冊とか20冊読んでくっていう感じで。

――200冊前後ぐらいですね。


佐藤秀峰氏: そうですね。移植編の時はそのテーマに関する本を50冊くらい読みましたね。全部1人で全巻取材してたので、でもそんなもんですね。

――書き終えた後、資料はどのように保管されているのですか。


佐藤秀峰氏: すべて保管しているわけではないので、残ってるのもあれば読み捨てちゃったのもあります。冊子と一緒に捨てちゃっているかもしれません

著書一覧『 佐藤秀峰

この著者のタグ: 『漫画』 『可能性』 『紙』 『漫画家』 『レコード』 『本棚』 『お金』 『雑誌』 『世代』 『日本語』 『医者』 『書き方』 『レイアウト』 『アシスタント』

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