嶋津良智

Profile

大学卒業後、IT系ベンチャー企業に入社。同期100名の中でトップセールスマンとして活躍、その功績が認められ24歳の若さで最年少営業部長に抜擢。その後28歳で独立・起業し代表取締役に就任。その3年後、出資会社3社を吸収合併、実質5年で52憶の会社まで育て、2004年5月株式上場(IPO)を果たす。企業不祥事が相次ぐ中、日本のリーダーの在り方に警鐘を鳴らし、次世代を担うリーダーを育成することを目的とした教育機関、『 リーダーズアカデミー 』を設立。主な著書としてベストセラーにもなった『 怒らない技術 』、『 あたりまえだけどなかなかできない 上司のルール 』、『 だから、部下がついてこない! 』などがあり、累計90万部を超える。

Book Information

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机上と現場の学習、どちらが吸収が多いか。


――ビジネスの現場では、色々な所から知識や経験を吸収していくものだとは思いますが、現場のほうが吸収が多いでしょうか?


嶋津良智氏: 自分はずっと机の上で学ぶことはないと思っていた人間なんですよ。学びはすべて現場にあると思っていた。だから、会社時代に研修を受けさせられるじゃないですか?偉そうに先生がしゃべったりすると、「お前、偉そうに話してるけど、今一緒に営業しに行って、どっちが売れるか試してみるか?」ぐらい生意気に先生の話を聞いていたわけですよ(笑)。「もう現場しかない」と。それで、独立をして社員を雇うようになって、その社員教育をしなきゃと行き詰った時に、ある人に相談したんです。そしたら、「いい研修があるから1回受けてみたら?」と勧められて、内容は営業研修だと言うのでちょうどよかったし、その方が「1回だけ無料でやってあげてもいいですよ」と言ってくださって、全社員土曜日に出社させて研修したんです。そしたら、それがよかった(笑)。やっぱり机の上で学ぶこともあったんだと思いましたね。そこから僕は机の上で学ぶということを覚えたんですね。僕は基本的な学びは現場にあると思ってますから、さっき言ったように本を読んだりセミナーを受けたりして学んだことを、どう現場に落とし込むかということが大切です。机の上で学ぶことは大切なんだけども、でもそれを使ってどうなるかという答えはやはり現場にあると思っています。やはり「先人の知恵を借りる」とか「自分にない知恵を借りる」という意味では、本を読み、セミナーを受けることは大切。これは間違いないです。机の上で学ぶことはないと思っていた僕が言うんですから間違いないです。机の上で学ぶことはあります。ただ、それだけじゃだめということですよね。机の上で学ぶことも10、現場も10。ただし机の上で学んだ10をそのままにしておいたら、それは単なる0になっちゃうよということですよね

――行動しないと意味がないということですね。


嶋津良智氏: そうですね。現場での学びが0になるということはないと思うんですけれど、そういう机上で学んだことは、行動に移したりということをしないと0になる確率がありますね。

なぜ売れるかが知りたくて、『ONE PIECE』を全巻読破。


――最近読んだ本で面白かったものはありますか?


嶋津良智氏: 最近読んだ本というと、『ONE PIECE』64巻全部読破しました。これも僕なりに目的があったんですね。『ONE PIECE』が初版で450万部。累計2億6千万部だったかな?僕ら著者からするとバケモノみたいな売れ行きですよね。漫画という特性はありますけど、ビジネス書だったら、海千山千の著者だったら初版5千とかあったりするわけじゃないですか。それが450万部ですよ。「何じゃそりゃあ」と(笑)。どんな魅力があるのか1回読んでみようと思って、色々調べました。自分の中で読む目的を明確にしたかったので、『ONE PIECE』について書かれているビジネス書を最初に読んだんですね。例えば、『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』(朝日新聞出版刊)という本や、『ルフィの仲間力』(アスコム刊)という本など、『ONE PIECE』について書かれたビジネス書を読んで、それで『ONE PIECE』というのはどんな本かということが、なんとなくわかった。次に何をしたかというと、僕はリーダー系の仕事をしているので、『ONE PIECE』の中でのルフィのリーダーとしての在り方や役割、リーダーシップの発揮の仕方などをちょっと研究しようかなと思って読みました。

――64巻を読むのはあっという間でしたか?


嶋津良智氏: 寝る前にちょこちょこちょこちょこ10巻ずつ読んだんです。面白いですね。64巻もあると波があって、つまらない10巻もあったし、面白い10巻もあったし、思わず本当に涙がうるっと出そうな場面があったり。今の若者の思考や「なぜこれが売れたのか」などを色々知りたかったので、読んでよかったと思いますね。勉強にもなりましたし。

経営者の自伝に、自分を重ね試行錯誤する。


――嶋津さんの人生の中で影響を受けた本などはありますか?


嶋津良智氏: 意外と僕、ミーハーなんだよね(笑)。売れた本は1回読んでみようというのがあって、『七つの習慣』(キングベアー出版刊)はよかった。経営の本で言うと、『ビジョナリーカンパニー』(日経BP社刊)がよかったですね。あとは経営者の自伝が好きなんですよ。例えば、柳井さんの『一勝九敗』(新潮社刊)やゴーンさんの『ルネッサンス‐再生への挑戦』(ダイヤモンド社)、ジャック・ウェルチ『わが経営』(日本経済新聞社刊)とか、ああいった自伝を読むのが好きです。本の世界なんてどこまで本当かどうかわからないんですけど、この経営者はこんな人生でこんな時期もあったんだというのをね、経営者として共感して読むのが好きですね。

――そういった自伝の中には『一勝九敗』のような負け続けだったというエピソードが綴られているものもありますが、嶋津さんご自身の人生の中で大きな失敗などはございましたか?


嶋津良智氏: この間、かみさんと話してたんですが、僕の経歴やプロフィールがあったとしたら、山の部分だけ切り取って見せているわけじゃないですか。谷の部分がないわけですよ。だから、プロフィールだけ見るとサクセスストーリーを生きてるみたいに感じる部分があるんですけど、じゃあ実際の人生を振り返ってみて、「どうして今の自分があるのかな?」ということを考えた時に、ものすごい連戦連敗なんですけど、致命傷となる大きな失敗をしてこなかったことが、たぶん僕の「今」を支えているんじゃないかな?と思う。小さな失敗を死ぬほど繰り返したおかげで、大きな失敗をせずに済んだ。大きな失敗も時にはしているけれど、致命傷となるくらいの大きな失敗をしないで済んでいるんです。金がなくてどん底の時もありましたけど、でも借金はしなかったり、そういう風に致命傷となるような所に足を踏み入れなかったということが大きかったのかもしれないですね。

――昔からご自身が守られている「教え」のようなものはあるんでしょうか?


嶋津良智氏: 僕は独立をする時に、おやじに「別に好きにすればいいけど、2つだけ守れ」と言われました。1つは『絶対、人の保証人になるな』と。もう1つは、『人に貸した金は返ってこないと思って貸せ』と。その2つは結構役に立ったアドバイスでしたよね。

著書一覧『 嶋津良智

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