日本人を元気に、強くする『蘇り』の本に新境地
株式会社ペリエ社長の和田裕美さんは、営業やコミュニケーションに関するセミナー主催や講演会、執筆活動などを行っています。2004年から毎年行われている、エンターテインメントとセミナーを融合したイベント『わくわく伝染ツアー』も好評を博し、2012年は熊野で開催します。インタビューは、『わくわく伝染ツアー』直前、また新しいテーマである『神社』に関する本を執筆中の多忙な中お邪魔しました。
熊野本宮大社でイベントをプロデュース
――講演、執筆とお忙しい日々だと思いますが、今、取り組まれていることについて簡単にご紹介頂けますか?
和田裕美氏: 今は本の執筆と、ほぼ毎日メルマガを書いている事と、商品開発のCDやDVDを作ったり、ラジオの収録をしたり、取材をしたりですね。あとは、熊野でやるイベントの準備で時間をかけています。
――熊野では『わくわく伝染ツアー』のほかに、『熊野本宮大社正遷座120年大祭』の特別イベントがありますね。どのようなイベントなのでしょうか?
和田裕美氏: 和歌山県田辺市にある熊野本宮大社という世界遺産になっている神社が、明治22年に水害で流されて、今の場所に移ってからちょうど120年の大祭ということで、その中で一つのイベントを任せていただいて、企画プロデュースをしています。熊野って「蘇りの場所」や「再生の場所」と呼ばれているんです。だからその場所に人が行って、日本人の良さを知って、意識を切り替えて、「さあ、頑張ろう」という気持ちになっていって貰えればいいなというイベントで、茂木健一郎さんと『ジョジョの奇妙な冒険』の作者の荒木飛呂彦さんをお招きして、3人で対談するイベントを企画しました。凄くVIPでBIGな人たちが来るから大変です。
――特別イベントをプロデュースするきっかけは何だったのですか?
和田裕美氏: 熊野の宮司と話をしていて、120年大祭で『古事記』を読み合わせる会や、舞をする会を4月からされるという話を聞いていた時に、「私も何かやりますよ」ということを言ったんです。それは一緒にやろうとか、お手伝いをさせてくださいというイメージでお話したのですが、「じゃあ全部お願いしますね。何日は和田さんの日になるから企画書を出してくれ」と言われ、「え、企画書…」と思った所から始まりました。宮司の解釈が違っていた事から始まったんですね。
――熊野へは何度も行かれているんですか?
和田裕美氏: 30回は行っていますね。好きなので、何回も行きます。スピリチュアルな事や霊を感じる事はなくても、日本人だったら大体の人がそこに行くと、山の神様というか、「何か」を感じるようです。
――神社本庁に電話すると、自分の神社、氏神様を教えくれるそうですね。生まれた場所や住んでいる場所で、自分の神様が分かるそうです。
和田裕美氏: 産まれた場所は産土の神様と言って、今の自分を守ってくださっているのが氏神様です。今の住所を言えば氏神様を教えてくれて、産まれた場所を言うと産土の神様を教えてくれます。産土の神様は産まれてから一生日々の活動を近くで見守り下さると言われている神様なのですが、出生地がとても分かりづらくて、例えば病院で見るのか、出生の家で見るのか色々な意見があってアバウトなんです。神棚に入れるのは天照様と、氏神様と崇敬神社ですね。それはぜひ知っておきたいことですね。
日本人はもっと神話を知るべき。
――神社についてお詳しいですね。
和田裕美氏: 私の周りにはそんな人ばかりですよ。「どうしたの」というくらい、神社好きが大量に私の周りに集合していて、恐ろしい位です(笑)。来年はちょうど、伊勢で『式年遷宮』なんです。『式年遷宮』を知らない方はとても多くて、教科書にも入っていません。なぜかというと、戦争に負けた後に日本から神道というスピリットを取る事が、アメリカの「日本人を無くす100年計画」なんです。勤勉で真面目な日本人を堕落させる計画みたいなものを進行させた時に、神棚を廃止するとか無神教にさせた。それは今も続いていて、あと30年後は日本人じゃ無くなってしまう。皆さんあまり知らないので、ラジオで竹田恒泰さんをお呼びした時に、私が「100年位で日本人無くなっちゃいますよね」と言ったら彼が、「いや、30年で無くなっちゃいますよ、このまま行くと」って。竹田さんからお聞きしたんですけど、「その国の神話を学んでいない国は必ず滅びる」と唱えた学者がいるそうです。GHQが『古事記』を日本の教科書から省いたのですが、日本では神話や信ぴょう性のないものを省いておいて、一方、世界中の人はみんな神話を学んでいるんです。ギリシャ神話やキリストの話とか。滅びるのが分かっていて奪ったんでしょう。
竹田先生は今、自分で寄付を集めて『古事記』をホテルに1冊ずつ置いているんです。今までホテルって『聖書』だったでしょ。あれはタダで配布してるからなんです。それが結局宗教活動に繋がっているんですね。私たちは無宗教だって言っているから、そこに聖書がある事を不思議に思わなかったのも不思議なことです。言われて初めて「なんでクリスチャンでもないのに聖書がホテルにあるんだろう」って気づきますよね。だから古事記を置いていってるんだけど、追いつかないと言っていましたね。
――今でもその影響が続いているとすると恐ろしいですね。
和田裕美氏: 先進国で自殺が一番多いのは日本ですから。自分のルーツを知らないことが「うつ」を発生させたり、神話を知らないということが影響しているということはありますね。いじめ等も、自然に触れていないということで、いじめから自殺になるという見解を持っています。昔だと、山とか川があって、自然に触れていると自然の中のものに目がいくので、いじめられても自分の生活や人生の10分の1くらいのことだと捉えられました。けれど、今は「誰にこう言われた」とか「こんなことをされた」ということが人生の全てになってしまって、自殺してしまう。日本の神様というのは、山とか川とか「自然そのものが神様」という意識があったので、その意識が根付かないことには自殺は止まらないのではという考え方もあり、大事なことだと思っています。
――そのような問題も外国からの働きかけによって起こっているのかもしれないと言うことですか?
和田裕美氏: それを100年計画と言うのであれば、戦後から今までの精神性の変化や「うつ」の増加、自殺の増加、犯罪の種類の変化というのを考えると、あり得ることではあります。ただ全てが海外のせいではなくて人間の弱さというのが影響しているとも思います。ちょうど今神社の本も2冊目を書いていますが、今回の内容は結構ど真ん中で、きっと「和田さんがそっちの世界に行った」と言われるような本になっています。大変なことになるかもしれないという覚悟を持っていますけどね。
『ぺちゃ顔』ボストンテリアに夢中
――移動もとても多いと思いますが、執筆は普段どういったところでされていますか?
和田裕美氏: 以前はホテルにこもって書く事もありましたが、自宅で書くことが多いです。犬を飼ったので、傍に居ないといけないから家で書くようになりました。
――犬のためにご自宅で執筆されるんですね。なんという種類の犬ですか?
和田裕美氏: ボストンテリアという、黒と白のフレンチブルドッグみたいな顔をした細身の犬です。前からずっと「ぺちゃ顔」の犬が欲しくて、人に「ぺちゃ顔」の犬を借りて写真まで撮っていたんです。それで疑似体験をして、やっと飼いました。目が出てて、べちゃっとしていて、ほっぺたが垂れているブルドックみたいな顔が好きなんです。引っ越す前の場所は飼っちゃいけなくて、犬が飼えるところに引っ越して実現しました。これは4、5年越しの夢ですね。長いことかかってしまいました。もうそろそろしたら会社に連れてこようと思っています。可愛くってハマっちゃいますよ。
『今絶対に必要な情報』だけにアンテナを張っている
――執筆される際に読まれる本の数は多いかと思いますが、1冊の本を書き上げる時に参考図書は何冊位ありますか?
和田裕美氏: 本を書く時の参考図書はそんなに多くありません。書いている本は実体験に基づいたり自分で感じたりしたことを中心に書いています。後は実際に会った人から聞いた生の話を自分で咀嚼して書くことが多いので、引用文を使うことは無いです。ですが、今回の神社の本に関してはさすがに歴史の事等を、正しいか正しくないか含めて調べなければいけないので、5、6冊は併せて同時進行で見ながら書いていたりします。
――普段読まれるものを含めて、本はどういったところで購入していますか?
和田裕美氏: Amazonが多いですね。人に薦められたりとか、たまたま新聞や雑誌で紹介している紹介文を見て、選ぶ参考にしてます。あとは献本が多いです。人から貰う本が月2,30冊ぐらいあるので追いつかないですよ。その中で読みたいなと思ったものをピックアップするとか、出版社さんとの関係で直接貰うものもあって、そこからものすごくいい本に巡りあったりすることもあります。
――最近読んだ本の中で面白かったものは何でしょうか?
和田裕美氏: 最近読んだ本では、久石譲さんと養老孟司さんが対談した、『耳で考える――脳は名曲を欲する』っていう対談本ですね。人間が音に対してどういう反応をするとか、人が心地良い音があるとか、悪い音があるとか、例えば人間っていうのは音全てを聞いているわけではなくて都合のいい音だけしか聞かないとか。目で見るものは見てしまうから、制御できないけど、耳は集中していると好きな人の声だけ聞き分けたりとか、聞き分け能力が自然に備わっている事とか。映画等の挿入歌を作るときに、シーンのどまんなかじゃなくて0コンマ何秒か分からないけれど、ずらすのだそうです。何故かというと、耳のほうが先に反応するからということなんです。視覚と聴覚は同時じゃなくてちょっとのずれがあるから、そのずれを生かしたほうが、感動的に心に届くみたいなことが書いてあって感心しました。あとは竹田恒泰さんと私が好きな塩沼亮潤さんっていうお坊さんの『日本人の宝』という対談本がありますが、感動する内容の本でした。私はノウハウ系より、深みのあるものが好きですね。この2冊は対談本ですけど、対談本以外にも小説なども読んでいます。流行っているもの、売れているものはちゃんと読んでおこうというのはあります。
――読書にはかなり時間を割かれているのですか?
和田裕美氏: テレビをほとんど観ないので、そうなりますね。テレビを観ないとニュースに意識が向かなくて、自分が今絶対に必要なことだけにアンテナを張ると、そこだけ鋭くなって要らないものが無くなってしまうのです。とても忙しい時はそういう生き方をしないとキャパシティが足りなくなってしまうかなと。でも、話が合わなくなってしまうと大変ですから、色々雑誌などを見てキャッチアップするようには努力しています。また、周りに愛国者みたいな人ばかり集まっているから、結構過激な話が飛び交う世界なので、逆に偏った情報が入っているとも思います。博識と呼ばれている人たちが周りにいるので、私の情報が偏ってきているのは事実ですね。客観的に見ないといけないなというのはあります。
心が元気になる『本当に良い本』を出して欲しい。
――沢山の本を読まれているとのことですが、その中で電子書籍はご利用されていますか?
和田裕美氏: 紙のほうが多いですが、電子書籍も読みます。でもiPadを購入したんですけども、重くて持ち運べなくて、要らなくなって悩みの種になっています。今は、iPhoneに戻りましたね。
――読みやすさ、操作性はどうですか?
和田裕美氏: 私の本も何冊か電子書籍があるんですが、そんなに読みづらいということはないんです。読みやすい読みにくいっていうのは、閲覧ソフトの問題なんですよね。だから自分の本のレビューで「ここをめくったら一気にページが飛んで残念だった」等書いてあったのを読んだ時に、読みづらいソフトだったのかな、と思ったり。ダイヤモンド社で作ったときは、とても読みやすいソフトでしたね。
――電子書籍が普及していく中で、本作りにおける出版社や編集者の役割はどういった所が重要になってくると思いますか?
和田裕美氏: ソフトがあれば本が簡単にできるということだと思うんですが、精査する目というものは必要ではないでしょうか。本当にいいものを見極めていかなくてはならないので、本は多ければいいという世界じゃないと思うんです。タイトルの響きだけで選んだりしがちですが、さすがに量が多すぎて選べない。一生読める本の数も、自分が研究者になろうと思わない限り多くはないから、本当にいいものを出して貰いたいと思います。編集担当の価値観で構わないのですが、著者の造詣の深いものとか、出すのだったら日本人が元気になって強くなっていくとか、心が元気になるようなものを出来る限り出してもらいたいですね。言論の自由があるとはいえ、書籍って教育ですから、教育が変われば人間が変わるのでそういうことは大事かなと思いますね。とりあえずやっつけ仕事でやっちゃったみたいな事は嫌だなと思います。
著書はディスカッション重ね、最高の一冊に。
――和田さんが本を書かれる時は、どういった書き方をされますか?
和田裕美氏: まず本を作る前の段階で、何回もインタビューを繰り返すことや、ディスカッション等をしながら、一人でこもっていたら出てこないことを出していきます。ネタを一人じゃつくらないという感じです。今日から本を作りますよってなると、編集の人とか粗書きするライターの人とかと3、4人で、今日はこの3つの質問について解決していこうといったディスカッションとか会議みたいなものを何回か繰り返していきます。例えばさっきのいじめの話とかでもそうなんですけど。「いじめって自然が無いからだと思うんですけど、どう思いますか」と質問から始める。そうすると、「私はこう思う、ああ思う」という話をもらえます。それが私の情報収集なんですね。打ち合わせから始まっています。そこでの話をまた膨らませていきます。それでも足りなかったら、また違う人に聞きに行ったりします。そこからテープ起こしをしたり、編集の方で粗い原稿にしてもらったりして、それを頂いて上から全部書き直すという感じですね。
――出版されている本は、和田さんと関わりになった方々との集大成のようなものですね。
和田裕美氏: そうですね。例えば誰かに質問しないと出てこない答えというのは沢山あります。だから編集の人に私に聞いてみたい事を、とことん質問させたりするんです。それで私が一所懸命考えながら、話していくという感じですね。
――最後の質問になりますが、今2冊目の神社の本を書かれているということなんですが、今後はどのようなテーマの本を書かれるのでしょうか?
和田裕美氏: 神社の本はたまたま話をいただいて「やるやる」と言って書いているんですが、他にも『自信の持ち方』という本を書いています。今、2つの本を同時進行で書いているので、神社の本が終わったらすぐそっちを書かないと、と今ドキドキしています。2冊とも絶対期限内に書かないといけないので、日々どうしようかと思って生きています。今神社の方がやっと半分書けた段階ですので、あと1.5冊ですね。『自信の持ち方』は、まだ1ページも書けてないのに表紙のイメージが来たりして、恐々としてます(笑)。
(聞き手:沖中幸太郎)
著書一覧『 和田裕美 』