大崎梢

Profile

東京都生まれ。書店勤務を経て、2006年に書店を舞台にしたミステリ『配達赤ずきん』でデビュー。『サイン会はいかが?』『平台がおまちかね』『背表紙は歌う』『夏のくじら』『かがみのもり』など著書多数。8月よりミステリ専門誌『ミステリーズ』にて本屋大賞の一日を、様々な人物の視点で描く『ようこそ書店大賞の夕べに』が好評連載中。また2011年、『スノーフレーク』は桐谷美玲主演で映画化されている。

Book Information

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

書店員、編集者・・・
優れた読み手が、本の文化をもっと豊かにする



大崎梢さんは、デビュー作『配達あかずきん』から続く『成風堂書店事件メモ』シリーズなどで人気の推理作家。同シリーズは書店を舞台に、書店員達が様々な謎を解明していくストーリーで、実は大崎さんも元書店員です。そのほかの多くの作品にも、出版社や編集者が登場し、本への深い愛情が伺えます。大崎さんに、小説家となったきっかけ、電子書籍についてのお考え、書店、編集者の役割などについてお聞きしました。

パソコン通信と公募


――早速ですが、大崎さんの近況を伺えますか?


大崎梢氏: 4月から朝日の『中学生新聞』、通称『朝中』にて連載をすることになりました。

――読者層はほとんど中学生だと思うんですけれども、違った刺激がありますか?


大崎梢氏: 読者層がはっきり分かっているのは、それはそれで面白いかなと思ってます。編集の方はすごく読者さんを意識されてて、私が「こういうのどうかな」と提案すると、「中学生が好きそうです」というように言って下さるので、楽しいです。でも難しいところもあります。文芸誌とかで連載していると、「60枚くらい」とか指定がざっくりなので、数ページ前後しても構わないんですけれども、今度の連載は規定の枠があるので、そこが難しいですね。

――ますます活躍の幅を広げてらっしゃいますが、大崎さんはずっと作家になりたいというお気持ちがあったのでしょうか?


大崎梢氏: いえいえ、全然。作家さんは特別な人がなると思ってましたから、自分がなれるとは思ってないし、どうやってなるのかも分からなかったんです。結婚して子どもがちょっと手を離れて、何かしようかなって考えていた頃に、我が家にもパソコンが導入されて、パソコン通信を始めたんです。
そこには、小説のサークル活動みたいなものがあり、小説を書いてアップすると、見ず知らずの人が感想をくれて、自分も読んだものに感想を書くと相手が喜んでくれる。それが面白くて、くり返し書くようになったんですね。その中にプロ志望っていう人達がいて、初めて『公募ガイド』っていうのを教えてもらいました。大賞が取れたらデビューできるという仕組みがあるっていうのを、初めて知りました。小説スクールに入っているとか、作家とか、編集者の知り合いがいるかとかは関係なく、原稿を送れば読んでもらえると知り、自分も挑戦するようになりました。

――例えば学生時代に小説を書いていたとか、そういったこともありませんでしたか?


大崎梢氏: それまでは読む一方でしたね。でも、オリジナルな話を想像はしてたんです。主人も本は読むんですけれども、全く想像したことがないって言うんです。例えば刑事ドラマを見て、私だったらこういう刑事さんでこういう展開にするなと、想像するのが楽しかったんですが、全く想像しない人もどうやらいるらしいということを知りました。自分で想像したものを外に出したらどうかなと思って初めて書いたんです。

――書いているうちに、どんどんはまってしまったといった感じですか?


大崎梢氏: そうですね。私は飽きっぽい性格ですけど、それだけは続きました。それに公募に出すことを始めると、1年目に応募したらここまで行って、翌年送ると先に行ったり後退したり、数年があっという間に過ぎるんですよ。で、自分にはこのジャンルが良いんじゃないかとか段々分かってくる。お友達の中には、初めての作品や、2回目で書いたものを応募してプロデビューしたって人って結構いて、私は何度も書いて応募していたので「くやしいー」とか言ってます(笑)。でも何度も応募することは苦ではなかったですね。

ごちゃごちゃを整理するための電子書籍もあり


――大崎さんは、電子書籍は利用されてますか?


大崎梢氏: いや、してないんです。自分の本は電子書籍になってるらしくて、その分のお金ももらったりしてるんですけれども、自分は利用してないんですよ。でも、お友達にiPadを持ってる人がいて、「大崎さんの電子書籍も買ったよ」と見せてもらったりしてます。メモをしたり、付せんを貼るようなこともできるとか、色々便利な機能をレクチャーされています。確かにどこでもアクセスできてすぐに購入できるし、かさ張らないし、手持ち無沙汰の時に読めるっていうのは良いんじゃないかなと思います。

――蔵書を裁断、スキャンして電子化することについてはどう思われますか?


大崎梢氏: 自宅に仕事部屋があるんですが、家族から非難されるくらいにごちゃごちゃになんです。各社が文芸誌も送って下さるんですが、そうするとあっという間に本だらけになってしまう。以前、文庫本の解説を頼まれた時に、ハードカバーの本をいただいたんですが、ごちゃごちゃ過ぎて、その本がどこに行ったのか分からなくて、もう1回送ってもらったこともあるんですよね。そういう意味では電子化は便利だと思います。
あとひとつ思い出すのが、書評家さんが言っていたのですが、本が電子書籍になると権利的にややこしくなってしまうからかもしれないのですが、文庫の解説がついてないらしいんですね。だからわざわざ自分の蔵書をスキャンして入れてるそうです。確かにそう言われてみると、文庫を読む楽しみのひとつとして、解説を読むということもありますよね。まして、書評家はそれが仕事ですからね。ブックスキャンさんには、解説ごとスキャンして下さいっていう注文が出せるからいいですね。

著書一覧『 大崎梢

この著者のタグ: 『女性作家』 『可能性』 『作家』 『書店』 『書店員』 『課題』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
利用する(会員登録) すべての本・検索
ページトップに戻る