さくら剛

Profile

1976年生まれ、静岡県出身。中京大学中退。 「『中程度』の引きこもり」生活を送っていたが、アメリカ合衆国やへのインド旅行、南アフリカ共和国から中華人民共和国までのほぼ陸路による旅行記を自身のサイトに書き連ね、最終地の北京からの帰国後『インドなんて二度と行くかボケ!』(アルファポリス)を出版。 以降、自身の海外体験を扱った旅行記をはじめとする著書を多く執筆している。 その他の著書に『三国志男』『感じる科学』(サンクチュアリパプリッシング)など。 近著に、初の小説『俺は絶対探偵に向いてない』(ワニブックス)。 インターネットラジオ「さくら通信」配信中。
http://sakuratsushin.com/

Book Information

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

電子書籍は旅のスタイルを劇的に変える


――さくらさんは電子書籍を利用されていますか?


さくら剛氏: タブレットを持っていないので使ってないです。ただ、7月に僕の旅行記全部を1シリーズまるまる、アフリカから中国まで電子書籍化するようです。僕の旅行記は、電子向きな気がしています。もともとホームページから出ているということもあって、写真とかフォントとか、ネット的な見せ方をしているので。電子書籍だと、ページをめくった所で、面白い写真をバーンと出して、それに突っ込みを入れるとか、「写真ネタ」がやりやすい。紙の本だと、ページをめくって見開きでバーンと出したいのに、調整がうまく行かずに左側のページに出る場合があるんです。それだといまいち効果が薄い。前の文章を読んでいる時点で次のネタがちょっと見えちゃう。電子書籍で1ページずつ作れれば、より面白く見られるかもしれないな、と思います。

――読者として電子書籍に期待されていることはありますか?


さくら剛氏: これはもう皆さんおっしゃることだと思いますが、旅という視点で考えると、持っていく荷物が減るのはいいと思います。紙の重さというのは半端じゃない。長旅だと持っていく本の冊数が多くて、中国に行った時には吉川英治の『三国志』を8冊まとめて持っていきましたし、『地球の歩き方』も各国分ある。本を持っていくのは旅の宿ってやることがないからです。エチオピアの宿に泊まった時なんか、周りに何もないから瞑想ぐらいしかやることがなかった(笑)。だから本をたくさん持っていきたい。人によっては文庫本を50冊ぐらい入れて運んでいる人もいました。それがタブレットに全部入るとしたら、荷物が劇的に減ります。そのメリットはデカいと思います。

――逆に、紙の本の方が良い面はあるでしょうか?


さくら剛氏: 旅先で紙の本を持っていると交換ができる。同じ宿で知り合った旅行者と読み終わった本を交換して、その本の巻末の余白に、自分の名前とどこで交換したかということを書く。それを見てみると、アジアを本が何往復もしていたり、何人もの手を渡ってすごい距離を旅している本に出会ったりして面白い。一緒に旅をした本はボロボロになるんですけれど、そのボロボロさが感慨深かったりするので、それも紙の本の良さかなと思います。あと、ケニアのナイロビとかでタブレットを持ちながら歩いていたらもう一瞬で強盗に襲われると思います。装飾品を身に付けたら襲われるので腕時計もしてはいけないくらいですから。強盗も石でいきなり頭を殴ってきたりします。「ツーリストアタック」という強盗もあって、いきなりタックルをガーンとして、ぶっ倒れている間に荷物を取っていく(笑)。知り合いの人はそれで肩の骨を折って帰ってきました。こちらとしては、ちゃんと脅してくれれば素直に渡すから、体だけ無事で帰してくれと言いたいですが・・・(笑)

「笑い」を作り上げるセンスを試したい


――さくらさんは、旅行記を通して伝えたい想い、メッセージはありますか?


さくら剛氏: 僕と同じように、ニートとか引きこもりで苦しんでいる人が「こいつでできるなら自分でもできそうだな」と思ってくれればいい。行ってみたら案外できちゃうものです。最初の一歩、決断をするまで、航空券を買うまでが難しい。その1歩は自分で踏み出すしかない。そして、何か1つやりきると「やりきるクセ」が付くと思います。「やりきらないクセ」が付いている人は何を言ってもだめで、何か1つだめな人って全部だめだったりする。ダイエットにしても、1個やりきったら次のこともやりきれると思う。「自分ってやりきることができる人間だったんだ」ということに気付いたら人生がすこし変わるのではないかなと思っています。
30年前とか『深夜特急』の時代だったら海外旅行も難しいと思うんですけれど、今は簡単です。女の子でも一人で世界一周をしている人がたくさんいます。それに、ほかの国に比べれば、日本は何か1つやりきるのは簡単です。発展途上国はやっぱり生活がすごく苦しいし、ハングリー精神がものすごくて,みんなグイグイ前に出て行く。だから競争が激しいと思う。でも日本は、苦しくても案外生活できているし、そんなに頑張らなくても、日々の生活に困ることがない。何かを成し遂げようとする時の頑張り度が、ほかの国より少なくて済むお得な国だと思います。ちょっと頑張れば成功に近づけるという点ではいい国だなと思います。

――最後に、今後のお仕事の展望をお聞かせください。


さくら剛氏: 僕が旅行記でやりたかったことは「笑えるもの」を作るということです。だから必ずしも旅行でなくても良くて、笑わせる材料の1つとして旅行があった。最近は、科学の本や小説を書いています。旅行記のジャンルは直木賞のような賞もないし、ドラマ化するようなものでもない。広がりようがあんまりないですから、もっと多くの人に目にしてほしいので、ほかのメディアに展開できるようなジャンルを書いて、自分のセンスをどこまで受け入れられるかというのを試してみたいです。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 さくら剛

この著者のタグ: 『ゲーム』 『漫画』 『旅』 『作家』 『きっかけ』 『変化』 『笑い』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
利用する(会員登録) すべての本・検索
ページトップに戻る