本に対する信頼感
――実際にお会いして、本当にパワーを感じますが、どこからそういうバイタリティーがわいてくるのでしょうか?
有吉与志恵氏: 人を元気にするのが仕事ですから(笑)。でも自分のバイタリティーに関しては、あまり考えたことがないですね。ただ、小さい頃は体が弱かったけれど、頑張って運動したら皆が注目してくれた、という経験は自分の中では大きかったのかもしれません。でも、競技をして勝つという喜びがあるとしても、スポーツというのは、プレッシャーなどから結構ストレスがたまるじゃないですか。だから私の中では、読書は“1人になれる”という意味でも好きで、また読書とスポーツは表裏一体という感じなのかもしれません。だから今でも移動中なども含めて1週間に1、2冊は読みます。でも最近は、移動中はFacebookを眺めていることも多いので、昔と比べると本を読む量は若干減っているかもしれません。
――情報を仕入れる元として、本以外ではどのようなものがありますか?
有吉与志恵氏: 今でも情報を仕入れるのは本ですね。ただ、Facebookは色々な意見をもらえますし、色んな方々とのお付き合いといった感じなんですが、気が付くと、意外に時間を取られているんです。今でも調べたりする時はネットではなく、絶対的に信頼のおける本から情報を得ています。
―― 本という媒体に、情報源としても娯楽としても信頼を置かれているわけですが、普段から書店には行かれますか?
有吉与志恵氏: そうですね。長津田という駅で乗り換えることがあるのですが、あそこには大きな本屋があるんです。だから予定の時間より少し早めに行って、今流行っている本などを大人買いしたりすることもあります。最近、夢中になっているのは東野圭吾さんの本なのですが、出ている作品は全て読んでいます。最近は『疾風ロンド』の文庫書き下ろしを読みました。
――Amazonなどのようにネット上で電子書籍や本などを買う人が増えてきていますが、書店に出向くということの意義はなんでしょうか?
有吉与志恵氏: 私が行くのはブックファースト、紀伊国屋さん、あとは用賀の下辺りにも、いくつか本屋さんがあるので、よく行くんですが、例えばブックファーストだと順位が発表されていたりするので、「世の中は今、どんな事に興味があるんだろう」とか、本屋に行くとその傾向が分かるんです。書店は、そういった情報を得られる場としての機能も持っていると思います。
『HEAPS』を活用中
――電子書籍などをお使いになったりしますか?
有吉与志恵氏: 使っています。iPad miniで見られる『HEAPS』(ヒープス)をプロデュースしている人がうちの会社のサポートもしてくださっているんです。『HEAPS』が出たのは昨年なのですが、このiPadをくださったんです。専ら電子書籍用となっていますが、すごく便利なので、結構使っています。でも私の手はなぜだか上手く反応しないので、タッチペンをうちのスタッフが買ってくれました(笑)。私は、堂場瞬一さんの本、池井戸潤さんの『下町ロケット』だけは本で持っていますが、それ以降の『ロスジェネの逆襲』などは、全部この中に入っています。結構読みやすいですよね。私は同じ料金で買えるんだったら、例えば電子書籍屋さんが作家に対して、印税をきちんと10%なら10%払ってあげればいいと私は思います。きちんと著者にも還元されていればいいんじゃないでしょうか。著者に還元されないから怒っている人もいるのではないかという気がします。やっぱり著者を大切にしてあげるべきだというのはすごく思います。でも読み手としては、やっぱり小説などの文芸ものは、結構ボリュームがあったりするので、iPadなどで持ち歩けるのは、便利ですよね。