オダギリ展子

Profile

メーカー勤務を経て、特許事務所で外国特許出願事務に携わり、事務業務のリスクヘッジや効率化のノウハウを身につける。その後、派遣スタッフとして貿易事務を担当。業務の効率化と質のアップを追究した結果、過去の担当者の月100時間を超える残業をゼロにした経験を持つ。現在は事務効率化コンサルタントのほか、セミナー講師としても活躍。 著書に『最強の文具活用術』『最強のデスクワーク術』(PHPビジネス新書)、『仕事がはかどる デスクワーク&整理術のルールとマナー』(日本実業出版社)、『仕事が10倍速くなる 事務効率アップ術』(フォレスト出版)など。

Book Information

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

高校での、英語の先生との衝撃的な出会い


――中学・高校時代にはどのような思い出がありますか?


オダギリ展子氏: 高校1年の時の担任は英語の教諭で、ものすごく素敵な先生でした。見た目も素敵だったのですが、言うことがほかの先生と違ったんですね。一番ビックリしたのが、「どうしてもそのアーティストのコンサートに行きたいとか、(そのことに対して自分が)信念を持っているなら、僕は、(学校を)休んでもいいと思うよ」と仰ったことです。もう目からウロコという感じで、それだけで先生が大好きになりました。
卒業後もずっと気になっていて、少し前にインターネットで先生を探して再会することができ、良い思い出となりました。

――その後、大妻女子大学に進まれましたね。その先生の影響もあったのでしょうか?


オダギリ展子氏: 先生が大好きで英語だけ勉強していたので、英語の成績はさすがに伸びました。それで、進学するなら英文科に行こうと決めました。私が受験した短期大学部の英文科は、試験科目が英語と国語で、赤本を買って受験勉強したのを覚えています。
父は、滑り止め受験はさせないという教育方針だったので、「この短大1本」というプレッシャーがありました。担任の先生からも「本当にいいのか?」と心配され、弱りました(笑)。自信は全然なかったですし、怖かったですね。
後で父に聞いたら、「そうしないと頑張らなかっただろう?」と言われて、「やられた~!」と思いました(笑)。厳格だけどやさしい父でした。

自分が楽しいことを仕事に


――本を書こうと思ったのはいつ頃でしょうか?


オダギリ展子氏: 英語と言っても文学的なことは好きではなかったし、当時就職に有利だったということもあって、短大では商業英語を勉強しました。
本を書くことは、特に考えておらず、私が最初に就職したのはメーカーでした。英語の書類がいっぱいくるということで、楽しみにしていたのですが、英語の書類がきたのは、残念ながら、最初だけ……。
それで、転職活動をして、特許事務所での英文事務という仕事を見つけたのです。特許のことはよく分からないけれど、英文事務という仕事に大きな魅力を感じたのでしょうね。
仕事をしている時間は、1日の中で一番長い時間です。その間自分の好きな英語に携われたら、こんなにうれしいことはないじゃないですか。
後に派遣社員として貿易事務の仕事をしたのですが、その時に一緒に組んだ方も「働いている時間は一番長いから、僕は楽しく働きたい」と私と同じようなことを仰っていて、実際その職場では良い仕事ができたように思います。

――特許事務所でのお仕事は、どのようなものでしたか?


オダギリ展子氏: 外国に特許を出願するという仕事で、英語ばかりだったので本当にうれしかったです。当時の私は水を得た魚のように生き生きと仕事をしていたのではないでしょうか。
でも、特許事務所に入った時に「ちょっと変わったルールあるから」と言われていて、就業して少し落ち着くと、その風変わりなところもわかるようになりました。
例えば、郵便物が届いたら、普通は封筒の上部だけを切って、その封筒は社内便用に再利用したり、そのまま捨てたりしますよね。でも、その特許事務所では、封筒が全開できるように三辺を切って、書類を取り出した後何も残存物がないと確認して初めて封筒を捨てても良いとなるのです。
封筒の再利用などという考えは全く頭になく、リスクを回避するためにはお金をいとわない、というところは徹底していましたね。とにかく「ミスを防ぐこと」を一番に考えていたと思います。
後に商社で貿易事務の仕事をした時に、社内便の封筒を整理していたら、かなり重要そうな書類がその中から見つかったことがありました。幸い大きな問題には至らなかったようですが、その時に特許事務所のやり方は正しかったのだな、と思いました。特許事務所では本当に良い経験をさせてもらいました。

――『仕事がはかどる デスクワーク&整理術のルールとマナー』にもそういったノウハウを書かれていますね。


オダギリ展子氏: 封筒の開封方法やコピーのとり方などを書きました。
例えば20枚とか30枚くらいの書類が複数ある時、書類は大体ホチキスで留まっています。私の先輩は、それを書類ごとにコピーするのではなく、最初にホチキスのハリを取って、各書類のトップページの左上のところにA、B、C、D……と順番に書いて、一気にコピーをしていたのです。合理的でしょ?
でも、それを本に書いた後、セミナーで「書類にABCとは書けないのですが……」と言われたことがあったんです。それで、ホチキスを外した跡に点を1個、2個、3個……と書いてから一気にコピーして、その点を隠すようにホチキスでとめるという方法を考えました。
それからも、作業を容易にする方法を模索し、最終的には、ホチキスを全部外して書類ごとに上下の向きを交互に変えてセットしてコピーをすればいい、という方法へとたどりつきました。

――そういった発想は、どこから湧いてくるのでしょうか?


オダギリ展子氏: 例えば道具でも、既存のものでいいものもあると思いますが、意図しなかったであろう方法を考えるのが面白いのです。
以前、「壁掛け時計がほしいな」と思っていたのですが、賃貸だからこの家の壁に釘は打てません。それで私はバナナスタンドを使うことをひらめいたのです。
特許が取れるような発明をするのは難しいですが、こういった小さなアイデアを考えるのは楽しいですよね。朝起きた時にフッと浮かぶこともあるので、そのときは、書きとめるようにしています。
あと、私は「何かに似ている」という共通点を発見するのがすごく好き。間違い探しも大好きですが、識別することが好きなのです。魚の図鑑などを見るのも好きですね。
父も母も金沢出身で、魚が食卓に上ることが多く、親に「この魚は何だ?」とよく聞かれました。でも、正確に答えることができなかったんですね。その悔しさが根本にあるのかもしれません(笑)。
例えば、ブリとヒラマサは似ているけれど、旬が違うので店先で比較することはできません。でも、この図鑑でなら比べることができます。違いを見つけて、区別がつけられるようになることほど、面白いものはありません。

著書一覧『 オダギリ展子

この著者のタグ: 『アイディア』 『働き方』 『ノウハウ』 『ビジネス』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
利用する(会員登録) すべての本・検索
ページトップに戻る