オダギリ展子

Profile

メーカー勤務を経て、特許事務所で外国特許出願事務に携わり、事務業務のリスクヘッジや効率化のノウハウを身につける。その後、派遣スタッフとして貿易事務を担当。業務の効率化と質のアップを追究した結果、過去の担当者の月100時間を超える残業をゼロにした経験を持つ。現在は事務効率化コンサルタントのほか、セミナー講師としても活躍。 著書に『最強の文具活用術』『最強のデスクワーク術』(PHPビジネス新書)、『仕事がはかどる デスクワーク&整理術のルールとマナー』(日本実業出版社)、『仕事が10倍速くなる 事務効率アップ術』(フォレスト出版)など。

Book Information

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メルマガの反響の大きさが出版につながった


――本を発表するようになったきっかけとは?


オダギリ展子氏: ずっと派遣社員として仕事をしていたので、「何かしなければいけない」という気持ちがあったのではないかと思います。それで、メルマガを書くことにしました。
そのメルマガの第2回目の内容が「FAXを送る時は宛名に注意しましょう」とか、「再送する時はこのようにしましょう」といったものでした。私としては普通のことを書いたつもりだったのですが、かなりの反響があったんです。その反響の大きさに、少し不思議な気持ちもありました。
そして、メルマガを書き始めて1ヶ月も経たないうちに出版社から出版のオファーがあったのには、本当に驚きました。2004年のことです。
そのことを知人に相談したら、「最後の最後に、『半額払え』と言われるかもしれないから、気を付けて」と言われました(笑)。
最初は半信半疑という感じもあったのですが、「新入社員に向けて」という、提案されたテーマに基づいて、編集さんと一緒に目次や構成などを考えていきました。

――初めての本を書かれた頃は、会社で働かれていたそうですね。


オダギリ展子氏: フルタイムで働いていたので、本を書くのは大変でした。毎朝4時に起きて、6時前に家を出て、7時前に会社に到着。そこから始業時間までの間に手書きしたものを、週末にパソコン入力するという感じで書き進めました。
本を書く時間を捻出するため、毎日22時に寝ていましたし、本を書いている間は、会社の行事には参加しませんでした。大変でしたが、受けたからには書かないと、と思って4ヶ月強で書き上げました。
そうやってでき上がった本を見た時は、本を書くこととは無縁と思っていただけに、不思議としか言いようのない感覚に包まれました。

――本を書かれてから、周りの環境など変化はありましたか?


オダギリ展子氏: すぐにはありませんでしたが、本を出してから約1年後、日経新聞の夕刊の1面に私のインタビュー記事が大きく掲載されたのです。その日から私の運命が大きく変わったような気がします。
メールボックスを開けるたびに仕事や取材のメールが入っていたりして、「これならフリーでやっていけるかもしれない」と思ったくらいでした。
最初に「本を書きませんか?」と声を掛けてくれた編集長には、足を向けて寝られません(笑)。
私の本はノウハウ本が多いので、「好きに書いていいよ」と言われることが多いのですが、そういう本を書いている時は、無条件で楽しいです。
私は人をビックリさせたり、楽しませたりするのが好きなんですね。で、その反応が良いと、こちらまで嬉しくなる!



本との出会いが人生を変えることもある


――お好きな本、印象に残っている本はありますか?


オダギリ展子氏: 小さい頃はそれほど本を読んでいませんでしたが、本を書くようになってからは、よく本屋さんに足を運ぶようになりましたね。
近所にジュンク堂さんができたので行く機会が増えたのですが、ジュンク堂さんのあの本の並び方はすごいですよね。
そういえば、最近は、本屋さんに行くと、何が売れているのかなどもチェックするようになりましたね(笑)。
印象に残っている本、といえば、私は、推理小説も好きで、松本清張さん、夏樹静子さんなど、実家の本棚にあったものを読んでいました。
夏樹さんの本で連続殺人事件を題材にしたものがあるのですが、被害者の接点が最初は分かりませんでした。後に、病院付近の路上で違法駐車をしていた人たちがターゲットにされていたことが判明したのです。つまり、その車がなければ(救急車で運ばれた)自分の身内が救われたという恨みが動機。すごく怖いなと思いました。
死体が見つからないという謎解きにおいては、庭のアジサイの色が赤に変わったのは、遺棄された死体の影響で、土の成分が酸性に変わり、植わっていた花の色も変わったのではないかと見抜くものや、指輪が植物の成長によって地上に出てきて、死体遺棄の場所を教えてくれたなど、夏樹さんならでは、と思います。
また、松本清張さんの作品には、『ゼロの焦点』がありますが、こちらは、私の生まれ故郷の金沢が舞台となっているので、親近感も湧いて、ますます興味深かったです。
西村京太郎さんも好きです。彼は、湯河原に西村京太郎記念館を建てる際に、館内に死体の模型を置こうと思ったそうなのですが、警察かどこかから「それはやめてください」と怒られたようなことをテレビの対談番組で仰っていました。それを聞いて、本当に面白い人だな、と思いましたね(笑)。

――本の魅力、本の可能性はどのようなところにあると思いますか?


オダギリ展子氏: 私の場合、自分が20年以上かけて得た業務上の経験の1つひとつがネタとなって1冊の本が構成されています。そして、3ヶ月くらいかけて執筆します。けれども、これを読むには、1時間半から2時間くらいあれば、できてしまうのです。
たった数時間読むだけで、それだけの経験が疑似体験できる「本」って、スゴイと思いませんか?
「本で人生が変わった」というような出会いがあっても不思議ではないですよね。

――電子書籍についてはどのようにお考えでしょうか?


オダギリ展子氏: 紙の書籍の場合は、増刷にならなければ、在庫限りで販売終了です。けれども、電子書籍の場合は、そうはならない。これは、ありがたいことだと思います。
また、電子書籍には、物理的な制約がない。置き場所に困らないというのは、大きなメリットですよね。
私の場合は、書籍からリンクで飛んで、私のお薦めする文具などのグッズを買うサイトに直接つながるなど、そういったことも出来るといいなと思います。

――今後はどのようなことに力を入れていきたいと思われていますか?


オダギリ展子氏: コピーやFAXなどに関して本を書く人はあまりいないような気もしますが、今後もそういった、自分にしか書けないことを書いていくと思います。衣食住に関する効率化についても書きたいですね。
出版社からは「事務の効率化、技などを書いてください」というオファーが多いです。次作には、コピーやFAX、ファイリング、それから手帳やノートのことも書いています。
「若手ビジネスマンが入社後に困らないように」ということをテーマとした本で、『完全図解 いちばんわかりやすい ビジネス整理術』というタイトルです。今春、成美堂出版から発売されます。
後は、自分にできることは、できるだけしたいと思っています。
「自分の身を削って本を書いている」という著者さんがいらっしゃいましたが、本当にそうだと思います。
自分にしか書けないことを書いて、読んだ人が良い意味で「コレは誰が書いているんだろう?」と改めて表紙を見返してくれるような本が良いですね。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 オダギリ展子

この著者のタグ: 『アイディア』 『働き方』 『ノウハウ』 『ビジネス』

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