治療院は、ようやく見つけた人生の道
――どのようにして居場所を見つけたのでしょうか?
小池義孝氏: 僕は気やエネルギーに対する感受性がもともと強かったのです。昔、付き合っていた彼女は体が弱かったので、気功の治療のやり方を学んで実行していたということもありました。職業にする気はなかったのですが、「ここはどうかな、もしかしたら向いているのでは」と思ったのです。それでスクールに入りました。卒業する前には治療院のスタッフになり、その中のナンバー2になりました。その間に開業もしたのです。それまでは、流されながらなんとなく生きてきたのですが、ようやく自分の意思で人生の道を1つ決められたのかなというところです。大学にしても、「行かないよりは行っていた方がいいよね」というような気持ちだけでしたから(笑)。
――スクールに通いだしてからは、いかがでしたか?
小池義孝氏: スクールに通いながら知識を得ていく、道を探求していくというように、すごいアンテナを広げて過ごしていたと思います。しかし、まだ「やる気が溢れて絶対にこれで開業する」、という感じでもなかったのです。成功体験があまりないので、自分がやってできるとも思えず、自信もそれほどありませんでした。だから保険として、ゴルフ用品の通販も続けながら、並行して治療院もやっていました。そして、治療院の方がちょっと忙しくなってきた時、エネルギーを集中するために、ようやく通販の仕事をやめたのです。僕は結構、小心者なので、「こうと決めたら全て投げ出して飛び込む」というようなことができるタイプではありません。成功しそうにないメンタリティーでしたね。
――開院して治療するだけではなく、教えようと思ったのはどうしてですか?
小池義孝氏: 正直な話、教室の方は自分のノウハウが流出するのが怖かったので、最初はあまり来て欲しくなかったのです。ですが、教室は患者さんに向けてのメッセージでもあり、自分は「人に教えられるくらいの人ですよ」というのを知って貰えたらいいなと思いました。教えたかったのではなくて、「教える人だと思ってほしかった」というのが、教室を開いた最初の動機です(笑)。習いに来られた人には真剣に教えています。
色々な意味を込めて、本を出版
――本を書こうと思ったきっかけはなんだったのですか?
小池義孝氏: 最初、僕の成功イメージというのは関東圏くらいから人が集まってきて、常に人が絶えず、賑わっている…、というくらいのものでした。そこで「異常反応の解体」というのを開拓すると、今まで太刀打ちできなかった鬱病の人たちが、それ1発でどんどん良くなっていったのです。「ものすごい難関を突破した」と思いましたね。それで成功イメージを、「世界で躍進する」、とか「世界に広げていく」ということに切り替えたのです。ですが、あまりにもその結果が遠かったので、「どうしたらそこに一気に近づけるかな」と考えました。それで、文章を書くのは得意だったので、本を出そうと考えました。本を出して、ベストセラーになれば、世界に近づくだろうと思ったのです。
――本を出版するというのは、大きな意味があるのでしょうか?
小池義孝氏: やはり、本屋さんに並べることで、僕が届けられない人に届けることができるという素晴らしさがあります。ブログやYouTubeを見てくれる人などもいますが、やはり本じゃなければ届けられない年齢層の方たちもいますからね。あと、本を出しているということで、「この人はきちんとしている」と思ってもらえて、そこで初めてブログやYouTubeを見てもらえたりということにつながる事があるのです。
――『ねこ背は治る!』はどのようにして作られたのでしょうか。
小池義孝氏: 当時、文章も全部できあがっていたので、あとは持ち込むだけというような感じでした。それで、手の挙がった3社のなかで1番熱心だった自由国民社に決まりました。イラストについては、最初の原稿の段階で、僕がここにこういうイラストをつける、と全部指示していました。最初からイラストありきで書いていたのです。あとは、編集者の人脈でイラストレーターが決まったというような感じです。直しや、変更などはそんなにはありませんでしたが、イラストに関しては明らかに人体構造上間違っているものなどを直したりはしました(笑)。
――内容はどのようにして決められたのですか?
小池義孝氏: 商業出版で出版社が出してくれそうなものの中で、ベストセラーが狙えるものは何かなと考えた時、「意識するだけで体が変わる」というコンテンツがその答えでした。
意識していなかったものに対して、意識をそこに集中させることができる、というようなことを、読んでいただいたら感じられると思います。
――すごい発行部数のようですね。
小池義孝氏: 『ねこ背は治る!』は19.5万部を突破して、ビジュアル版『ねこ背は治る!』が4万部です。それに派生して出てきた文庫本が13万部なのです。今の時代、10万部をこえることはなかなかないようなので、3万部売れればベストセラーというような感じだそうです。
――これだけ多くの人に読んでいただけた背景には、何か戦略があったのですか?
小池義孝氏: 僕自身の中で、過去に「知るだけで体がこんなに変わるのだ」というサプライズがあったのです。それで、1人1人に細々とセミナーをやっていました。そこで、皆さんこれほど驚かれる、こうすれば理解してもらえるということが分かっていたので、入り口さえ何か取っ掛かりがつけられれば、読んでいただけるのではないかと思っていました。
著書一覧『 小池義孝 』