電子書籍の話題を、もっと
――先生はイラストやマンガを使って分かりやすく本を書かれていますが、電子書籍についてはどのように感じておられますか。
小池義孝氏: 出版業界がうまくやれば、電子書籍はもっと広がると思います。電子書籍リーダーを数万円出して買うことはまだ難しいかもしれませんが、スマホで読むことができます。もうインフラは整っているのです。あとは、電子書籍で本を簡単に買えて読むことができるということを知るだけの段階です。だから、本当はもっとブレイクしていなければおかしいと思います。
――知るためには何が足りないと思いますか?
小池義孝氏: 話題だと思います。例えば、まず1冊で10万ダウンロードをこえているような、シンデレラボーイ、シンデレラガールが誕生すれば、「これはすごい」とマスコミにも取り上げられると思います。そういう話題が、まだ何もないです。だから、まず話題づくりとして、Amazon、Kindleの方で何人かの人気作家さんにお話を持っていって、同時にKindle限定で出版して、「これが読めるのはKindleだけ」とテレビで宣伝するなどすれば、そこで一気にブレイクするのではと思いますね。
価値あるものと、売れるもの
――先生は出版社や編集者に、どのようなことを期待しますか?
小池義孝氏: コンテンツを持っているけれど本にできない人たちがたくさんいると思います。そこを繋ぐということですね。例えば、インタビューして、「ここ素晴らしいですよ、これをこういう構成にしたらニーズとマッチしているからいけますよ」という風にし、本などは書けなくて当たり前なので、専門のライターさんをつけてあげるのです。編集者は今後ますます「素材を見つけて世に出す」という、パイプ役として期待されると思います。
――あとは売れる本にしていくということでしょうか。
小池義孝氏: そうですね。コンテンツとして価値があっても、売れる、売れない、というのは違います。潜在ニーズではなくて、そこに明確なニーズがあり、さらに荒らされていないことが必要条件だと思います。『ねこ背は治る!』も、“ねこ背”というキーワードにニーズがあったのです。“ねこ背”のタイトルだと、原幸夫さんの『ねこ背がすっきり治る本』は文庫本が4万部、5万部くらい出ていた感じでした。そうするとまだほとんど世の中は知らないわけです。世の人たちは、「自分は姿勢が悪い」、「ねこ背だ」と思っていたのです。それで、その“姿勢”というタイトルの本は出ていたのですが、みんな姿勢の本の前は通りすぎてしまっていたのです。自分はねこ背だと思っているので、タイトルをみてワンクッション置いてしまっているのです。ところが、ねこ背だと思っている人は、ねこ背というタイトルであれば、「あっ、ねこ背の本だ」「治る?えっ何?」と思って手に取ってくれると思ったのです。姿勢というタイトルでは止まってくれなかった、その辺の戦略ですよね。
「ねこ背をタイトルに」というのは、出版社が決めたのです。けれど、『ねこ背は治る!』は、ねこ背の本ではないのです。本当は、4つの意識の本なのです。コンセプトは、「意識をかえれば体がこのように変わる」ということなので、そのための重要なことを4つ紹介しています。ねこ背に集約すると潜在ニーズとして拾えるところは狭くなってしまいますから。
死ぬまでに、僕の技術を世界中に
――『ねこ背は治る!』は台湾、韓国と外国語にも翻訳されて、いよいよ世界へという感じですが、どんな心境ですか?
小池義孝氏: やはり、自分のストロングポイントは鬱病とか、対メンタルなのです。そこで色々なもの、例えば「異常反応の解体」などが開拓されて、結果も出ています。これを広めないと、死ぬ時に申し訳ないという気持ちがあります。だから僕が死ぬまでに、世界中で多くの人がこの技術を受けることができる状況まで持っていきたいと思っています。インターネット環境も世界中に繋がってきて、どんどん整っていくと思いますので。
――そういう時に電子書籍で出版していくのはどうですか?
小池義孝氏: 電子書籍はどんな感じかなと思って、『許し方』という本をKindle限定で出してみたのです。今、英語翻訳をかけるように依頼してあります。電子書籍だと英語にさえすれば、個人で海外にも出していけます。「異常反応の解体」のような技術をオンライン上で世界中に伝えていきたい、死ぬ時に、もう十分やれたという気持ちになれるまで持っていきたいと思います。
ホームランを連発しないと間に合わない
――患者さんと触れ合ったり、本の反響なども聞くと思いますが、どんな時に喜びを感じますか?
小池義孝氏: 治療や施術は、その場で結果が出るので、患者さんに良くなってもらった時はもちろん嬉しいです。ですが、先程の世界中に伝えることもそうですが、自分自身のことではいつも先のことしか見ていないので、それを達成する喜びももちろんありますが、達成するとまた直ぐに先のことを見始めてしまいます。自分の喜びということを考えているわけではありませんが、自分が何か達成することで、患者さんや、体が良くなった方たちの喜びがあるのだと思います。
――治療や本の出版とお忙しいですが、これからはどんな展望を描かれていますか?
小池義孝氏: やはり先の目標に向けて、地道にやっていたのでは自分の人生のなかでは間に合わないのです。だから、やはり影響力の大きい人に認められて、そこから波及させていくような流れを作りたいと思っています。そのツールとして、Kindleでの新刊『許し方』も英語翻訳にしようとしています。初めて本気で書いた本なので。『ねこ背は治る!』も、もちろん本気なのですが、自分にとっては分かりきっていることをどうしたら分かってくれるか、という伝え方を考えるという書き方でした。『許し方』は書くために、自分のなかでより深めなければいけない、考えなければいけないということがあったので、そういう意味では『許し方』は初めて本気で書いたのです。自分が届いていない境地のものを、書きながらそこに手を伸ばしていったという感じです。『許し方』、是非読んでもらいたいですね。
(聞き手:沖中幸太郎)
著書一覧『 小池義孝 』