田原総一朗氏: 何冊か僕のも電子化されています。
――蔵書を電子化したものも電子書籍と呼ばれています。
田原総一朗氏: 蔵書を、紙の本を裁断して電子化しちゃうのは、なんでかな、邪魔だからですか。紙の本を裁断するという事は、面積・空間をとるから裁断しちゃうということですか。
――それと、どこでも読むことができるという利点もあるようです。
田原総一朗氏: 別に裁断せずに電子化すれば、早い話がその紙の本を電子化するのに一種のコピーをすればいい訳でしょ。それをわざわざ裁断する理由は何なんだろう。別に紙の本は紙の本であって、それを電子化すればいいんじゃない。なんで裁断する必要があるの。
――今の技術ですと、裁断しないと、スキャンの機械にかけられないんですね。もちろん『非破壊スキャン』――裁断せずに、ぺらぺらめくるだけでスキャンが出来てしまう――技術も開発されていると思うんですけれども、今のところ実用化まではいかず、だからどうしても裁断してしまうという行為になるわけです。田原さんご自身はどのようにお考えですか。
田原総一朗氏: 時代っていうのは変わるものだからね。それでもいいと思うけど。僕なんかは古い時代で紙の方に慣れているから。それはそれで置いておいたほうがいいと思うけどね。
――紙vs電子じゃなく、両立していければいいなと。
田原総一朗氏: まさにそうだね。
――現在、御自著でも、復刊も含めて電子書籍化されていますが、電子書籍というものに対して親しみは感じられてますか。
田原総一朗氏: 今のところ、電子書籍を読むという事はやっていません。ニュース、情報・新聞みたいな即時性、更新性の高い読み物はiPadやいろいろなもので見ています。
――読み物に関しては紙の物で読まれますか。
田原総一朗氏: うん。習慣ですからね。たぶん電子書籍で読むという習慣がつけば、それはそれでいいんだと思う。別に電子書籍がダメだなんて思っていません、全く。
――もし望まれるとしたら、どんな感じになれば読みやすいなという風に思われますか。書籍に限らず、先程おっしゃったようなニュースなども。
田原総一朗氏: iPadでも活字は大きくしたり小さくしたりできるわけね、これはもちろん出来る訳ね、電子書籍は。特に文庫本なんていうのは、昔のやつは小さい字だから、読みにくいんだよね。それで電子書籍になって、大きく出来たりすると、とても便利だと思う。例えばメモが書けるんだよね。
――メモは書けるソフトもありますね、注釈として。
田原総一朗氏: 例えばね、こんな本を読んでいるんだけど、気になる文章に線をひっぱって、行間にメモする。これは電子書籍はできるのかな。
――出来るソフトもあります。できたり、書き込んだりできる物もあります。
田原総一朗氏: こういう事が出来ないと不便だと思うんです。紙は書き込めるじゃん、簡単にね。今紙の場合こういう風に行間に書き込んでいるんだけども、それができればいいんですよ。
――今『ツイパブβ』でたくさん本を公開されていますが、いわゆるソーシャルリーディング、誰々が、この本のこの箇所が面白かっただとか、そのメモと一緒のように、ここは私はこう思ったという風にみんなで共有できますが、以前と比べて読者の顔は伝わってきますか。
田原総一朗氏: うん。僕はtwitterをやっていまして、新しいコミュニケーションツールとしては面白い。今僕のtwitterは36万ぐらいフォロアーがいますね。その数は今や週刊誌の読者の数よりも多いと言われるわけですから。週刊誌でそれを超えているのは『週刊文春』ぐらいじゃないかな。
――週刊誌以上に、しかも即時に広まるわけですよね。面白い現象ですよね。
田原総一朗氏: それは面白いですよ。僕はもちろん週刊誌に寄稿していますが、反応が来るのが1週間以上経ってからですよ。でもtwitterの場合つぶやいたその瞬間に来るわけだからね、いろんな反応が。
――この間のメイド喫茶に行かれたときも、すごい反響でしたよね。
田原総一朗氏: 『AKB48』の総選挙の件では100件、200件があっという間に来るからね。そういうのはとても速いね。
――そういった速報性のあるtwitterも含め、電子書籍は我々にどのような変化をもたらすと思いますか。
田原総一朗氏: 色々な情報が、欲しいものが瞬時に手に入るっていうのは、いいんじゃない。今だって例えば僕の場合、売っていない、絶版された本を買おうとすると、二つしか方法が無くて。一つは国会図書館に行ってコピーする。もう一つはAmazonに頼んで古い本を見つけてもらう。いずれにしても相当時間がかかる。こういうのは電子書籍だとすぐでしょう。
著書一覧『 田原総一朗 』