田原総一朗

Profile

1934年4月15日 近江商人の末裔として滋賀県彦根市に生まれる。テレビ東京のディレクターや映画監督の経験を経て、ジャーナリスト、評論家、ニュースキャスターとして活躍中。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。現在、早稲田大学特命教授として大学院で講義をするほか、「大隈塾」塾頭も務める。「朝まで生テレビ!」「激論!クロスファイア」の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。鋭い眼差しとは裏腹に政治経済はもちろんの事、バラエティ番組にも出演するなど幅広く活躍する。氏のtwitter上の発言も老若男女問わず社会現象になるほど強い影響力を持つ。

Book Information

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――何処で買うんですか。


田原総一朗氏: アマゾンです、全部。

――買った本は、どんな読み方をされますか。




田原総一朗氏: 精読です、ほとんど。斜め読みは僕はできません、できなくなった。前は斜め読みしていましたけど。同時に4冊か5冊精読していますけども。

――その中で読んでいて、あ、これちょっと違うなという物も最後まで読まれるんですか。


田原総一朗氏: いやいや、つまらないのは読みません。(笑)つまんないかどうかというのは、書いてある事が深いか浅いかです。ああ、これは知っているからいいやと。

――独自の見解とか新しい切り込みがあると深いというか、面白いというのがありますよね。


田原総一朗氏: そうですね。

――そんなお忙しい田原さんですが、しっかりとした睡眠時間はあるんですか。


田原総一朗氏: とってますよ。7時間が目標ですね。実際は6時間から7時間の間ぐらいじゃないですかね。

――しっかり睡眠時間は確保されているんですね。テレビを見てもお忙しいんだな、と感じていましたが。


田原総一朗氏: 今テレビがね、『朝まで生テレビ』と、土曜日に『激論!クロスファイア』と、それからテレビ東京で『仰天歴史塾』というのをやっていまして、1回2時間版。これは近代史をやっているんですよ。明治からね。

――職業柄多くの本を読まれていると思うんですけど、昔の本と今の本って違いってありますか。装丁についても中身の書き方についてもそうなんですけど、何か変わったなというのはありますか。


田原総一朗氏: 読みやすくしなくちゃいけないと思っているでしょうね、誰もがね。中には読みにくいから売れるという本もありますね。だからこれなんかを書いたのは、前の、『日本の戦争』が売れたんですよね。ちょっと難しいという人がいるんで、それで『誰も書かなかった日本の戦争』を書いたんですよね。

――では、昔と違う点は優しく読者に伝えようとしているということでしょうか。


田原総一朗氏: うん。例えば池上さんの番組がウケるのは、分かりやすいからでしょう。みんな分かりやすい分かりやすいって。本だって2時間で分かるとかあるじゃん、広告で。『1時間でわかる』なんていうのもある。そういうのいっぱい出てるじゃない。だから分かりやすいっていうのは、今、ひとつの売り方なんですよね。

――それがいいか悪いかは全く別として、実際どうなんでしょうか。実際、情報だったり知識の判断レベルが、もっと大衆化するのって、何かメリットってあるんでしょうか。


田原総一朗氏: いまその逆サインは出ていますね。抽象的なものが売れていますね。

――明らかに昔と今では書き方が変わっていますよね、そうなると。


田原総一朗氏: うん。内田樹さんの『街場の~』っていう本も、むしろ抽象論で売っていますよね。まあ、本なんていうのはそうは言ったってテレビと比べりゃケタが全く違うんだから。例えば『サンデープロジェクト』なんて平均視聴率がだいたい7%ですよ。1%=40万人とすると300万人じゃないですか。で、300万人というのは日常での数字なんですよね。本で300万部って言ったら超ベストセラーでしょ。1年に1冊あるかどうかでしょ。本てだいたいね、1万部から2万部売れれば、まあいいやって感じなの。桁がちがう、全くね。だからテレビと本は全く別の物になってくるでしょうね。

――沢山の著書がありますが、どれくらい時間をかけるものなんですか。


田原総一朗氏: もちろん本によって違ってくるけれど、『原子力戦争』なんてのはやっぱり半年ぐらいかかっているんですよね。これは筑摩書房の『展望』という雑誌に連載されたんですよ。4ヶ月連載したのかな。その前に多分3ヶ月ぐらい取材していますから。もちろんやっている間も取材して。まあ、6ヶ月7ヶ月ぐらいじゃないですか。『日本の戦争』というのは、小学館の『SAPIO』という雑誌に連載されていたんですけど、1年ぐらい連載ですね。その前に1年ぐらいかけていますから、2年ぐらいじゃないですか。『大転換』(大転換 「BOP」ビジネスの新潮流)の場合は、潮出版社の『潮』に連載していたもので、これは1年連載ですね。

――どんどん書かれてくんですね。お仕事をされる場所はどこが多いんですか。


田原総一朗氏: 家です。だけど僕は人に会うのが好きなんですよ。人に会うのが趣味なんですよ。幸いなことに趣味が仕事になっちゃったんだけど。どの本を書くにもいっぱい人に会っています。

――普段どれぐらい家にいらっしゃるんですか。ほとんど外にいるイメージがあるんですけど。


田原総一朗氏: 昼間はいないですよ、だから夜ですね。場合によっては午前中とかね。

――仕事場はどんな様子なんですか。


田原総一朗氏: むちゃくちゃ。本や雑誌でむちゃくちゃ。(笑)場所とか自分では分かりますけども。

――インターネット環境もあるんですよね。パソコンは何を使われているんですか。


田原総一朗氏: あります。それからiPadもありますね。今使っているパソコンはね、Apple社のものです。慣れているからね。

――テレビを通して、『インタビューの巨人』とか、色々なイメージを持たれていると思うんですけど、。テレビで見るいわゆる『田原総一朗』という人物と、自分が思う自分とに大きな差はありますか。


田原総一朗氏: それはね、活字とテレビでも性格は全く違うと思ってる。特にね『朝まで生テレビ』を通して自分自身気づくのは、僕なんか凡人だから、ディスカッションする中でどんどんイメージが湧いてくるんですよ。その人の言葉に刺激されて。どんどんイメージが湧いて、広がっていくのがテレビですね。活字はどうかというと、ひとつのことがわからないと、単純に言うと、2日でも3日でも考えればいいんだから、深まっていくんですね、考えが。どんどん深まり、深まることで一種の抽象化も起きると。イメージがふくらんでいくのがテレビであって、どんどん考えが深まっていくのが活字であり、そこでまた違う性格の自分がいると思っています。

――そうすると、活字の田原総一朗さん、テレビの田原総一朗と性格は違うんですね。勘違いされているんだろうなと思うことはありますか。


田原総一朗氏: ああ、それは別に勘違いされてもいいじゃない。それからもうひとつテレビと活字の違いはね、活字は100%言葉ですよね。テレビでは言葉は表現のone of themです。声の大きさってあるでしょ。強さ、怒り声、目の力。目がね、光っているか、怒っているか、笑っているか。ジェスチャー、色々な事があってね。テレビでは言葉っていうのは表現のone of themです。活字は言葉が全て。ここが全く違う。だからその良さが活字にはあるし、テレビにはまたその良さがある。

――政治経済と文化も含めて、色々なメディアでご活躍されていますが、あるバラエティ番組で100個の質問に答えたりだとか、メイド喫茶に行かれたりだとか、『AKB48』についての言及もあったりだとか。『人生は好きな事探しだ』とおっしゃっていたかと思いますが、その座右の銘そのままのような形でお仕事されていると思うんですけど、今後のどんな野望を持っていますか。


田原総一朗氏: 今、映画を作りたいなと思っています。今割と本気で考えています。

――どういったテーマの映画なんですか。


田原総一朗氏: 内容に関しては、ちょっとまだ。テーマはしっかりあるんだけど、今はまだ公表できません。(笑)

――楽しみにしています。


田原総一朗氏: うん。でもね映画って金がかかるんですよね。今回構想しているのもやっぱり少なくとも5億円ぐらいかかる。それをどうやって集めるか。

――触れ込みとしては『田原総一朗、再びメガホンをとる』という感じになりそうですね。(笑)


田原総一朗氏: どうでしょうかね(笑)。まあ、実現するかどうかはわかりませんけど、今は本気でやろうとしています。

――最後に、田原総一朗さんにとって『本』とは、どういう存在ですか。


田原総一朗氏: 書くっていうのは、自分の考えを深めていくのが書くという行為だと思う。それを深めるというのは自己確認をするということです。『俺って何だ』と。何を考えているんだという事を確認している。例えば今だと、原子力発電が問題になっていて、日本人の70%以上が脱原発とも言われているとして、『本当はどうなんだ』という事を考えなきゃいけない。そういう問題がいっぱいあります。安全保障の問題も、今まで日本人は平和というのは安全保障を考えないことが平和であり、安全保障を考える奴は右翼だという考え。そうはいかないですよね。そういう問題、いっぱいあるよね。少子化の問題とかね。今一番大事なのは少子化だと思っているんですけどね。人口減少ね。そういう『色んな問題を深く考えさせてくれる』行為に、本が深く関わっていると思いますね。

――読者としては、『本』はどういう存在だと思いますか。


田原総一朗氏: 一種の宝物じゃないですか。どういう風に自分を刺激してくれるだろうかという事ですね。これからもどんどん新しい宝物に出会いたいと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

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