――幼少期、学生時代を含めて、どんな本を読まれていましたか。
田島弓子氏: 学生時代…。私、たぶん小学校とか中学生位の頃が一番本を読んでいたんじゃないでしょうか。すごく好きだったのは、平安女流文学。源氏物語とか枕草子に始まる、あの一連の女性が書いた昔の文学みたいなものは、結構はまって。もちろん原文では読めないんですけれど。なぜ好きだったのか分からないんですが、感性みたいなところですかね。昔の日本人って着物を着るので、色もすごくきれいな名前を付けていたりだとか、十二単を着る時に1番上には何色のを着て、2番目には何色のを着てっていう。そういうのを読んでいるだけでワクワクしちゃって。素敵だなと。あとは自然に対する洞察みたいなものだとか。でも、意外に昔の人たちも人間的にドロドロしていたんだなとか(笑)。むしろ昔の人たちの方が自由よね、みたいな。
源氏物語は恋愛小説ですよね。ぶっちゃけて言えば光源氏という、超イケメンの超プレーボーイが、顔が良くて性格もいいのをいいことに、あちこちで色々なヤンチャをするという話です。だけど、嫌われないという。すごい世の中ですね(笑)。
天変地異が起きるとそれは祟りだ、とかね。そういう非科学的な事をリアルに信じていたりだとか。病気をするとお医者さんに見てもらうよりも、お坊さんが祈祷する。そうやって治すものだ、とか。
平安時代なのにメッチャ進んでるな、と思う部分と、やっぱり平安時代だなというのもあり。でも、やっぱり感性を刺激される文章を読んでいるのが、子供なりにすごく楽しかったんでしょうね。昔の方が本当に、本をよく読んでいましたね。
――それは今でも何か影響を与えていますか。
田島弓子氏: やっぱり古い物とか自然はすごく好きですね。自然は本や写真集で見たり読んだりするだけじゃなくて行くのも好きです。
――どういった所に行かれますか。
田島弓子氏: 今ハワイにも住んでいるのですが、ハワイもすごく自然が素晴らしい所で。ハワイというと海のイメージが強いと思うんですが、島の人達はむしろ山の方にスピリチュアルなものを感じるみたいです。私も、もちろん海も好きですけれども、それを知ってから、ハワイの山が本当にすごく美しいことに気付きました。なのでそういうのをボーッと見ていると自然のパワーを感じます。
――島によって違いますか。
田島弓子氏: 違うんです。島の一個一個の古さが違うんですよね。オアフ島は比較的、古い島なんですけど、ハワイ島はまだ活火山があるぐらいですから、若い島なんですよね。
――ところで直近で読まれた本というのはありますか。
田島弓子氏: 東北の震災は自分の中で風化させちゃいけないと思っていて、実はこれ、友人が編集をした本なんです。だから読んでみてと言われて貰った本なんですけど。小説家の方なんですが、その方がご自分で福島原発の周囲の立ち入り禁止区域に放置されてしまった可哀そうなワンコとかニャンコとか、野良豚とか野良牛とかを保護するペットレスキューに加わって、そこでの事実、そしてそれを体験して、感じたことを書かれた本なんです。
――ペットは飼われていますか。
田島弓子氏: 猫を飼っています。自分も飼っているから人ごとに思えなくて。辛いのは、言葉が通じないので、この子達が今、悲しんでいるのか大丈夫なのかみたいな想像力を勝手に働かせてこういうのを読んでいると、本当にいたたまれなくなるというか。福島原発の20キロ圏内に入るというのは、それは違反行為だという意見もあるけれども、でもその中でこの動物たちがすごく困っているのを助けてあげようとがんばっている人達がいる。どっちが正しいのかは分からないけど、でも、救われている子たちは確かにいるよね、と。そういう視点でこの震災を見てみたいなと思っていたので、すごく考えさせられました、この本は。
――ペットを実際に飼っている方だと読み方が変わりそうですね。
田島弓子氏: ペットを飼っている方だったら、すごく分かると思います。特に犬とかは人に依存する動物だから。読んでいるとね、もう本当に…。レスキューの人が来ると嬉しそうにワンワンって駆け寄って来たり。
という子もいれば逆に、あまりにも長く放置されてしまって、もう人間に対して不信感を持っちゃった子とか、色々なパターンの子がいるんですね。飼い主さんと再会するシーンなんて、ウルっという感じですよ。
――お仕事される時に使うツールというのは何がありますか。
田島弓子氏: 主にはパソコンと、あとはiPhoneですね。
――では、仕事の依頼は、ホームページとか人伝えにですか。
田島弓子氏: そうですね。
著書一覧『 田島弓子 』