午堂登紀雄

Profile

1971年、岡山県生まれ。中央大学卒業後、会計事務所に就職。その後、大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2004年に退社し独立。現在は、株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズの代表取締役として、個人投資家を対象に不動産投資コンサルティングを行うほか、数々の事業に出資する投資家としても活動。独自の投資理論と手法を駆使し、貯金70万円から、わずか1年で3億円の資産形成に成功。その体験をまとめた処女作『33歳で資産3億円をつくった私の方法』、続く『30代で差をつける「人生戦略」ノート』(いずれも三笠書房)はどちらもベストセラーになっている。

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人生変えた不動産投資。運を味方にする行動力。


――不動産投資の世界に入ったきっかけはなんでしょうか?


午堂登紀雄氏: これはね、たまたまですよ。コンビニから経営コンサルタントに移って、4年やったんですけど、もうハードさが半端ない。朝9時半から行って、まず電車で帰れない。夜中の2時3時が当たり前で、毎日タクシー帰りでした。でも夜中の3時にオフィスを出るときも、誰かまだ必ずいるというくらいものすごいところで、例えば夜の11時からミーティングがあって、12時に終わって、明日の朝一番でPowerPointの資料を50枚作ってこいみたいな。もう寝られないじゃないですか。しかも、コンサルフィーってすごく高くて、例えば私の等級のときは、大体コンサルタントが1人入って、クライアントに月に1000万とか請求するわけですよ。ということは、1日30万のバリューをお前は出せたのかっていうのが見られるわけですよ、クライアントからも、社内的にも。今日1日30万のバリューなんてそうそう出せないじゃないですか。そうなるともう必死にやるしかない。そうすると1日何時間あっても足りない。家に帰れないという状況が3年くらい続いて、こんな働き方じゃ長続きしないと思った。それでもやっていく人はやっていくのですけれどね。自分はちょっと無理だな、もっとペース落として働きたいなと思ったんです。でもね、辞めちゃうと収入がない。じゃあ投資をしたらいいんじゃないかなと思って、ロバート・キヨサキの本を読んだりして不動産投資っていうのを知って、そこから不動産投資の本を読みあさって、最初は小さく始めたんです。ワンルームマンションからスタートしまして、あとはFXですね。FXもまず1万ドルから始めました。その時って2003年だったんですけど、ちょうどバブル崩壊から、そこそこ地価が回復して、ミニバブルが始まる最初のころだったんですよ。なので、銀行がたくさんお金を貸してくれて、物件もたくさんあってっていういい状況のときだった。で、同時に始めたFXも、たまたまそのとき、1ドル90円くらいから120円くらいまで、一気に円安になった時期だったので、普通に買いだけでもうかったっていう、非常にラッキーだった。今同じことを再現しろと言われてもできないですよ。

――ラッキーとおっしゃいましたが、思い立ったときに、実際やってみよう、動いてみようっていうのが一般の人たちは難しいと思うんですけど。


午堂登紀雄氏: 振り返ると、当時不動産投資っていうと、バブルで死んだ人がいっぱいいるから、怪しい、怖い、だまされるってイメージで、FXも、金を持ち逃げする怪しい外貨のブローカーとかいっぱいいて、やっぱり怖いっていう印象があった時だったので、先行して飛び込んだ利益だったのかなっていう感じはするんですよね。

――そのような行動力はどのようにして身につき、培われてきたのでしょうか?


午堂登紀雄氏: 多分、コンビニですよ。コンビニって、自分で売り場をいじらないと何も学べないんですよね。で、やれば、成果が出るっていう成功体験があった。投資でお金を無くしたって、別に命は取られないし、金はまた稼げばいいと思った。その代わり、お金と引き換えに、経験が得られるって思ってやってみたって感じですね。

成功の反対は「失敗」ではなく「挑戦しないこと」


――もちろん投資にはリスク、失敗もつきものですが、失敗とはどのように付き合っていけばよいのでしょうか?


午堂登紀雄氏: たくさん失敗すればね、誰でもできるようになるんですよ。1年間に10回失敗するよりも、100回失敗した方が、他人よりも10倍速いスピードで成長できるんですよね。で、失敗っていうのは、これは私の持論なんですけど、成功の反対が失敗じゃないんですよね。失敗の延長線上に成功があるんですよね。で、成功の反対は挑戦しないことなんですよ。挑戦しなければ、何も身につかない、何も進まない、何も動かない、何も変わらない。でも挑戦すれば、仮に失敗しても、次もっと正しい判断ができる。バスケと同じですよ。1時間に10本シュートを打つよりも、100本打った方が上達するじゃないですか。私も順風満帆に見えるかもしれないけど、会社を3つくらいつぶしてきたんです。従業員の集団退職も経験した。落ち込みますよ。上司失格っていう烙印を押された様なものなので。

――そういった失敗も全て何かにつながっているということですね。


午堂登紀雄氏: ネタですよ、ネタ。失敗するとネタが増えるので、また本を書けるんですよ。失敗したら「ラッキー、ネタが増えた」と思えば全然落ち込まないんですよね。

本当の力になる、ビジネス書の「行間」の読み方


――再び本の話題なのですが、午堂さんは重要な局面で本から力を得て、それを行動につなげてこられました。一方で今は情報過多とも言われ、本をたくさん読んでもそれを消化して自分の力にするのが難しいと感じられます。そのような若い人にアドバイスはありますか?


午堂登紀雄氏: 皆さん読書好きだと思うのですが、本を読むときの注意点があります。やっぱり本って商品なので、売れるように仕掛けている、本には上澄みの心地いい部分しか書いてないんです。読者が行間を読む様な工夫をしなければ、次々と出てくる新刊に振り回されるというだけです。例えば、「明日からノマドだぜ」とかいうことになっちゃうんですよね。特に成功者の本を読むときに注意しなければいけないのが、成功者の本は、今の考え方を書いているだけで、本当に読み取らないといけないのは、成功していくまでにやっていたことのはずなんですね。でもあんまりそこを書いていないことが多いんですよ。長年の下積みだとか、色々な苦労体験とかを。なぜそれが語られないかというと、成功した人って、過去の失敗とか苦労を、苦労と思っていない。だから、さらっと流しちゃう。人から見たら、それってリスクあるでしょうとか、悲惨でしょうとか思うことも、成功者はそう思ってないから言わないんですよね。楽しかった記憶しか覚えていないから。ビジネス書にはすごく矛盾点もあるということを理解しておかないといけない。建前を語ることも多いです。本当は、人をだましたり、うそをついたり、契約を破ったりしていても、言わないだけです、炎上するから。あとは大事なのが、よくブロガーさんとかが、自分の好き嫌いで、この本は無駄だったとか、駄本だとか言うじゃないですか。これもまた間違えているんですよね。なぜかというと、そもそも自分をレベルアップしたくて、そういう本を読むんじゃないですか。レベルアップするって今までの自分にないものを取り入れることだと思うんです。なのに、今の自分の好き嫌いで、「この本は使えるとか使えない」とかっていうのは、結局、今の延長線上の自分を再生産するだけなんですね。これはもったいない。それから、「できる、できない」っていうこともよく言いますよね。でも成長するって、今までできなかったことができるようになることでしょう。できそうもないことにあえてチャレンジしないと、何も変わらない。今成功しているんだったらいい。でももっと成功したいと思うんだったら、やっぱりそういうことを取り入れていかないと。頭の中で色々シミュレーションして、結局できないなと思ってやらないというのはもったいない。だからもう、子どもに戻れ、ばかになれみたいな感じですね。



金もうけは卑しくない。人の役に立っているということ。


――今後取り組みたいことや、本に書きたいテーマがあれば、教えてください。


午堂登紀雄氏: 1つはやっぱり、金もうけですね。金もうけはね、尊いことなんですよ。なぜかというと、人から感謝されるからお金をもらえるんですね、人の役に立っているからお金をもらえるんです。もうけるってことは、人にたくさん「ありがとう」の言葉をもらえるってことなんですよ。逆にもうからないっていうことは、人の役に立っていない。金もうけは卑しいとか言うじゃないですか。逆ですよね。あんまりもうからなくていいよって言う人は、人の役に立たなくったっていいよって言っている様なものじゃないですか。それ、どれだけ自己中ですかってことですよね。ということは、貧乏は悪なんですよ。ガンガン金もうけしなきゃなって思うんですよね。ですから、金もうけの方法論を研究して、それを本とかでフィードバックしたいなと思っています。やっぱり、常識とか先入観とか固定観念を、ぶち壊すようなメッセージを発信していきたいなと思っています。自分たちは日本に生まれて何十年、日本という価値観の中で育ってきているじゃないですか。やっぱりおかしいことも当然あるわけですよね。よく私が例に出すのが、例えば仏滅とか友引とかの「六曜」ってあるじゃないですか。あれって、元は中国から入ってきたんですけど、本家本元の中国では、意味がないっていうことで、もう廃れているんですよ。じゃなぜ日本は、律義にそれを守っているんですかっていうのを疑ってみて、「仏滅に結婚式をやめるのは意味がないんだな」と思うとかね。

――従来の考え方に捕らわれている人は、やはり多いと感じられることはありますか?


午堂登紀雄氏: 例えば、私がやっている不動産投資とかFXも、よく、危険って言う人がいるんですよ。でも、そう言う人に「やったことあるの」って言ったら、「ない」って言うんですよ。やったことないのに、なぜ安全だ、危険だって分かるんですか。要するに、断片的に入ってくる情報で、先入観、価値観を作っているんですね。これってすごく危険なことで、チャンスがないっていう人に限って、目の前に流れているチャンスに気が付かないだけなんですよね。先入観、固定観念を全部取っ払ってフラットに見れば、意外にこれはいける、みたいのが見つかるんですよね。やっぱり、重要なことはだまされないことだと思うんですよ。今回の地震でもね、原発に関して、政府がうそだらけだって、皆が分かったじゃないですか。本当に怖いのが、2014年から消費税が8%になって、2015年に10%になるじゃないですか。私、すごい大不況が到来するんじゃないかって、怖いんですよ。なので、今のうちに稼ぎまくって、外にお金移して、と思うんですよね。いわゆる「日本破たん論」は2つのパターンがあって、1つは、ほんとに危ないよってメッセージを発している人と、もう1つは、政府の御用学者で、増税しやすい土壌を作るっていう人たち。そういううそも見破らないと、増税もやむを得ないよね、となっちゃう。うまく搾取されてしまいますよね。

――これからも、人の考えを180度変えてしまうような強烈なメッセージを期待しております。


午堂登紀雄氏: 私もそうしたいと思っていますが、メッセージを届けたい人はそういう本を読まないというジレンマがあるんですよね。変わる意識のある人は、読むから変われるけど、本当に変わらないといけないのは、それを読まないほとんどの人たちです。矛盾を抱えつつ書いているんですけどね。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 午堂登紀雄

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