栗田昌裕

Profile

1951年生まれ。東京大学理学部卒、同大学院修士課程修了、同医学部卒。医師、医学博士、薬学博士。薬物動態学、肝臓病学、医学統計、システム理論などの研究を進める一方、講演や執筆も行う。日本初の速読1級の検定試験合格後、速読を入り口としたSRS(スーパー・リーディング・システム)能力開発法を提唱。「読む」ことを音韻言語のみの世界から視覚でキャッチするすべての情報に対応・発展させた情報処理を教える。世界伝統医学大会3回連続グランプリ受賞をはじめ、毎日21世紀賞、2001年提言賞等受賞も多数。指回し体操創案者。手相も指導。大学・大学院で医療・医学・薬学・リハビリ等を講義。著書百冊以上。

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情報があふれる時代、今の人には能力開発がもっと必要です



栗田昌裕先生は東京大学医学部卒業後、米国カリフォルニア大学留学。三楽病院健康管理科医長、東京大学医学部附属病院第二内科勤務を経て、平成13年4月、群馬パース大学教授。平成21年4月、群馬パース大学大学院教授となり、平成13年4月からは、SRS(スーパーリーディングシステム)研究所長、東大病院内科医師も兼任、現在に至っています。医学博士、薬学博士でもあります。SRS能力開発法の提唱者であり、指回し体操など独自の栗田式健康法の体系をお持ちであり、渡り蝶「アサギマダラ」の研究家としても有名です。速読術、記憶術や健康法などの著書は100冊を超えます。医学だけでなく広い分野でご活躍の栗田先生に、電子書籍の活用法、記憶術との関連についてお話を伺いました。

速読・健康法・蝶を追うこと「全てはつながっている」


――早速ですが、栗田さんは最近はどのようなことを主にされていますか?


栗田昌裕氏: 速読法のクラスは一年中ほぼコンスタントに指導しています。これまでに570のクラスを教え、すべてで読書速度が、訓練前の速度の10倍を突破を超える成果を出し続けています。
それとは別に、過去17年間、月に一回、私の教室でSRS(スーパーリーディングシステム)という私の提唱する能力開発法を特別に指導する定例会という会合を開いています。毎月異なるテーマで、しかも完結する方式で行っています。
たとえば12月は「足のツボを総括する」というテーマで行います。毎月全く新しい内容を皆さんに指導しているのです。能力開発の広い範囲を全体的にカバーするために、一ヶ月ごとに個別の領域の内容を整理して教えることに時間を割いています。

――足のツボですか。


栗田昌裕氏: いわゆるツボは東洋医学では「経穴」と呼ばれるものですが、教える際には東洋のものだけではなく、西洋のものも総集して教えます。今年の5月には手のツボを総集しました。

――総集するとはどのようにするのでしょうか?


栗田昌裕氏: 一気にまとめてして教えるということです。5月には手に関わるツボを全て受講者に教えました。今度は12月に足に関するツボを一気にまとめて教えます。
定例会とは別に、健康法の講習会も毎月開催しています。今年は1年間にわたって、「東洋医学の12の経絡」を毎月1経絡ずつ時間をかけて教えてきました。そのシリーズはちょうど昨日、完結したところです。
おりおりに依頼される講演会にも出かけています。たとえば、先日は「脳と速読」というテーマで三菱電機の研修所で講演をしました。私は速読を脳に関連付けて説明することは好まないのですが、「脳と速読」というテーマで、というご依頼がありましたので、脳に関する最新の知識や研究成果を、速読の仕組みと明確に関連づけてお話をしました。

以上とは全く別枠で、2003年から10年近くにわたって、自然を調査するという趣旨の一環として、アサギマダラという昆虫を調べています。この蝶は長距離の旅をすることが知られており、日本列島を春には北上し、秋には南下する「渡り」をします。そこで私は、東北地方で多数のアサギマダラの翅にマーキング(標識)をして放した後、その同じ蝶たちと日本の南方の地で順に再会していくことを試みています。具体的には、福島県で8月に蝶を放します。すると、9月中旬には群馬県で出会えます。さらに、9月下旬には長野県で出会え、10月には愛知県で、10月中旬には大分県で出会えます。さらに11月には鹿児島県の奄美大島や喜界島で出会えるのです。そういう調査を何年間も続けてきました。これにはかなりの時間と労力を費やしています。



そのほかにも、思いついたことは何でもやるという主義で動いています。
以上述べたことはいずれも大学での仕事や教育活動とは別枠で行っている活動です。

――今お伺いしただけでも、1つのテーマに縛られるのではなく、自由に活動されるのですね。著書を見てもそう感じました。


栗田昌裕氏: そうですね。広い意味での「自然を探求する」という大きなテーマを持っていますから、かなり広い範囲のことをしているのです。
他には、2005年から短歌を始めて、継続的に短歌を作っています。たとえば、色々なところに旅をしますから、旅先の景観やそこでの思いを短歌にまとめたりしています。短歌に関するかなりの量の雑誌も読んでいます。

多岐にわたる活動には「情報処理の改善」というテーマがある


――われわれからすると、栗田さんの頭の中は一体どんな風になってるんだという風に感じてしまいます。


栗田昌裕氏: 自分の中では全部がひとつながりになっています。樹木にたとえると、中央に「情報処理の改善」という大きなテーマがなす幹があって、そこからすべてが枝分かれして出ているといった様子です。

――情報処理の改善ですか。


栗田昌裕氏: 「情報処理の改善」は「SRS」と私が呼ぶ能力開発法の体系の中軸をなすテーマなのです。
情報処理とはわかりやすく言えば「(情報を)読む」ということです。たとえば、本を読むことは人間の情報処理の分かりやすい一例です。それ以外に、時代を読む、経済を読む、政治を読む、などといったことを考えると、結局「情報を処理する」という頭の働きの本質は「読む」ことにあるとわかります。科学者の例で言えば、地球の自然を読んだり、宇宙を読んだりすることが研究をすることになるのです。
だからその「読む」とはどういうことなのかを、私は様々な分野で自ら探求し、同時に人にも教えているのです。実際には、「読み方」それ自体や、情報処理能力を向上させる方法を細かいテーマに分けて教えています。

医者としては、病気を読むことを実践しながら、そこで得た知識や体験を教えます。
健康法では、体の情報をどう読むかを教えながら、どう改善するかも教えます。
また今日はカメラを持参していますが、それは手を撮影して手相を読ませていただくためです。すなわち、手相も読む対象の一つであり、手には一種の言語が書かれていると見なして読むのです。

――手相は言語ですか。


栗田昌裕氏: 手には一種の「形の言語」が書かれています。問題はそれをどう読むかということです。実は今、手相の本も書いていますので、折に触れ、出会った方々の手相を撮影させていただいているのです。手には一種の象形文字のようなものが描かれています。
手相の読み方には、紀元前から歴史の流れの中で伝えられてきたものもあります。たとえば、哲学者アリストテレスは手相に興味を持ち、手相に関する書物を残したことでも知られています。手相を読む技術自体はもっと古い時代に始まりました。多くの人々を経由して連綿とバトンタッチされながら、経験と洞察を重ねて書き換えられてきた歴史があるのです。そういう過去の情報を全部集めて点検した上で、私なりの体系を作り出したいと思っています。

著書一覧『 栗田昌裕

この著者のタグ: 『考え方』 『速読』 『情報』 『テーマ』 『本質』 『文化』 『記憶』 『音』

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