少子化へ向かう時代、真の女性活用とは
――男女雇用機会均等法も制定されて長いこと経ちますけれども、女性の社会進出については、どうお考えでしょうか?
渋井真帆氏: 私は今年42歳になりますが、40代の女性たちは、仕事でも中堅社員になって責任も重くなっているし、プライベートでも仕事と家庭の両立で苦しんでいると思います。一方、日本の人口が減ってきている以上、いずれ男性も女性たちと同じくらいの比重で家庭や介護を背負わなくてはいけない。だからこれは女性だけの問題ではないと思います。こうした将来の課題に対して企業も制度を変えるなど対応していますが、全体的に見ると問題意識は低いと感じます。もう少し積極的に対応していかないと、従業員の方々が職場で力を発揮して働くということが、難しくなっていくのではと懸念しています。
――それが3つ目の女性活用につながるのでしょうか?
渋井真帆氏: 女性活用は、中長期的な企業の経営戦略につながるようになってきました。将来的に、少子化によって男性社員も介護負担を負っていく可能性大です。独身の男性も増えていますし、兄弟姉妹の数も少ないですからね。女性活用において大きな課題は、結婚、出産、介護、家事負担といったものと仕事をどう両立させて、職場で彼女たちの能力を発揮させていくかということですが、少子化を考えるとこの課題は、女性活用の域を越えていると思います。女性の仕事力を向上させていく点については、私の場合、経営者やマネジメントに提供している内容を、女性の多い職場や、家庭でのリアルな問題解決に使える様にかみ砕いて提供しています。たとえば「もし、おつとめ女子がドラッカーを読んだら」という研修は、人気のオリジナル・プログラムなんですよ。
頭の中で登場人物たちが勝手に動いていく
渋井真帆氏: 今は自分の中に小説で書きたいテーマがたくさんあります。執筆をしていると、自分の組み立てたストーリーだとこうだけど、登場人物たちはそうは動かないぞという時があります。物語の中でキャラクターが出来上がってくると、勝手に動き出すんです。そうなると抵抗しないで彼らの動きたい、言いたいままにした方がいいんだなって、覚えました。すると筆が乗ってきて、原稿を読み直したときに、自分で書いたのに「へ〜こうなんだ」と思うことがあります。私、こんなこと考えたこともなかったな。どうして書けたんだろうみたいな感じで(笑)。
――書いている本人も楽しめるのですね。
渋井真帆氏: ビジネス書を書くのとは全く違いますね。小説を書いているときは、登場人物と頭の中で会話していて、たまに議論になるんです。その日に書き終えた分の原稿を見直して、「よし、これでいい」と思って夜寝ると、夢にナポレオンが出てきて、「これは違う。こういう風には動かない」とか言うんですよ。私も私で、「ああ、確かにそういう要素がありますね」といったように夢の中で議論するんです(笑)。朝くたくたになって起きるのですが、夢の中で言われた要素が入っていたら、どういう結論になるかなと考えると、確かに夢の中のナポレオンの言うとおりになる。「そうか、昨日書いた原稿は違うのか」とつぶやきながら、書き直したことが何回もありました。
書く時の課題ですが、「実際そうだったのかな」と思われるくらいのリアリティーを虚構の物語に出現させたいと思っています。これから技術や経験を高めていって、形にできる様にしたいですね。
資料としての読書には、電子書籍がとても便利
――渋井さんは電子書籍はお使いになりますか?
渋井真帆氏: 仕事関係ですぐ読みたいものがある時は電子書籍を使います。すぐに読めるというのが一番有り難いですね。
――資料として使われますか?
渋井真帆氏: そうですね。私、小説に関しては、歴史物を書くせいか、学術論文本をよく読みます。日本や海外の大学の先生の論文ですが、読むとすごくインスピレーションがわく。一方、他人がその材料を加工したものを読んでしまうと、自分がその影響を受けてしまうためあまり読みません。論文を情報として組み立て、自分の中で物語を構築していくので、論文のほうが材料としては使いやすいのですよね。もちろん情報の断片じゃなくて、論文ですからそれを知的に集約してくれていて、インフォメーションよりはインテリジェンスになっている。そういう意味でもクオリティーの高い情報ですね。
――主にそういったことでご活用されるのですね。
渋井真帆氏: あとは、経営関係や経済関係など、もうひとつの仕事でどうしても読んでおきたい書籍があって、古い本の場合ネットでなければ買えなくて、でも送ってくるのを待つのが嫌だなという時は、やっぱり電子書籍が便利です。ただ、そういう読み方はしますが、本の代わりには読んでいません。機械が重いんです。
私、あおむけになって本を読むんです。電子書籍をiPadで読んだりもしますが、やっぱり本より重いんです。あの重さが解消出来たらいいなと。それと、ペンで書き込みながら読みたいです。あおむけになって片手で操作ができて、書き込みができる様になれば、電子書籍も良いなと思うんですが、そういう意味では技術の発展ののびしろがある分野ですよね。