勉強は時間と質が勝負、2回目のチャレンジで司法試験に見事合格!
――司法試験の時にはどのような勉強をされたのですか?
谷原誠氏: 司法試験というのは、今はもう簡単になりましたけれど、当時は合格率が2%だった。東大生とか頭のいい学生がいっぱい受けて、それでも合格平均年齢が28歳でした。自分は東大生には頭の良さでは確実に負けると思った。そうすると、東大生が一生懸命やっているよりも成績が良くなるためには、もう勉強の時間と質しかない。だからそれをとことん追求して勉強しましたね。
――具体的にどんなことをされたのですか?
谷原誠氏: 暗記する項目を、自分でテープに吹き込んで、朝タイマーで起床するんですが、ボヤッと起きて、ご飯を食べる時もテープを聞きながら食べる。歩く時もテープを聞きながら歩く。本を読める時は必ず読みましたね。お風呂専用の本を置く、トイレ専用の本を置く。とにかく起きている時間はことごとく勉強にあてるというのが時間の使い方でした。ところが勉強というのは集中して、例えば1時間なり2時間やると、頭が飽和状態でウニみたいになってくる(笑)。
――そうですね。
谷原誠氏: もうこれ以上頭に入らないという感じになってきますよね。そうならないためにはどうしたらいいのかというと、過度に疲労するともうそれ以上何もできなくなるんです。運動でもそうです。ということは、疲れる前に定期的に休まないといけない。1時間以内にどんどん休んでいく。普通の人は、「1時間必ず勉強しよう」とか、「このページまで勉強しよう」とか、自分の目標を立ててそこまでやってしまう。でも体のコンディションがそれについていかないんですね。だから、疲れる前に自分の体と相談しながら休んでいくという方法だと、1日中でも勉強できる。
――自分自身に合った勉強方法を考え抜いて、実践されたんですね。
谷原誠氏: 私は2回目で受かりましたが、1発で受かる人もいます。
――谷原さんのご本で、勉強法について書かれた本はございますか?
谷原誠氏: まだありません。勉強法の本は、一応出版社からお話があったのですが、恐らくこれは売れないなと思って実現していないんです。なぜかというと、少し特殊な勉強法なんです。本というのは多くの人が共感し、取り入れられるノウハウがなくてはいけないのですが、僕のノウハウが厳し過ぎるので、ターゲットが狭いんです。本当に真剣に頑張る人にしか響かない。だからなかなか本にしにくいですね。
紙でも電子でも媒体は選ばない、読者がノウハウを取り入れられるかどうかが重要
――電子書籍化されて、ご自身の本が読まれると言うのは、著者としてどのようにお感じになりますか?
谷原誠氏: 私は、読者が自分の本をどの媒体で読んでほしいという希望はありません。要するにユーザーが読んでどうそれを自分に取り入れるかが重要ですね。電子書籍というのは外出先に何冊でも持ち歩けて、どこでもすぐにパパパッと軽く読める点がいい。私自身の読書のスタイルとしては、紙の本を読んで線を引いたりしますが、読書というものは、今後個人のライフスタイルに合わせてどんどん変わっていくと思います。ずっと紙の本派の人もいれば、もう殆ど電子書籍派の人も出てくる。その人に合った使い方で読んでいただければそれでいいと思いますね。
電子書籍の方は気軽にその場でパパパッと読めるので、パソコンも同じですが、デジタルの仮想空間みたいな感覚があるのですが、本の場合には実物として存在して、実際に書きこんだり、見直したりできるので実体験に近いと思います。電子書籍は仮想体験に近い。私にはそういう感覚がありますね。
――法律書は分厚いものが多いと思いますが、弁護士業務を通じての電子書籍の使い方というのはございますか?
谷原誠氏: 弁護士の場合は、外に行って相談を受けたり、会議に出席する時に、参照できるものが必要なんです。事務所にいれば資料がすぐに調べられますが、六法全書や、あるいはよく使う資料はやはりiPhoneに入っていると便利だと思います。ただ今はパソコン1台持っていればすぐにインターネットでアクセスできるので、それほど困ることもないですね。
著書一覧『 谷原誠 』