西條剛央

Profile

1974年、宮城県生まれ。早稲田大学大学院(MBA)専任講師(専門は、心理学と哲学)。日本の心理学者、哲学者である。2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震では親戚を失う。「構造構成主義」の理論を用い、ボランティア未経験ながら日本最大級のボランティア・プロジェクト「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を立ち上げる。「物資支援プロジェクト」では、2012年1月時点で3000か所以上の避難所、仮設住宅等に、15万5000 品目に及ぶ物資を支援。ほか、自立支援を目的とした「重機免許取得プロジェクト」「手の職・布ぞうりプロジェクト」など数十の支援プロジェクトを始動し、継続中。著書に『構造構成主義とは何か』や『人を助けるすんごい仕組み』など多数。

Book Information

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読む力をつけることで、本の上で「天才たち」と対話できる



西條剛央さんは、心理学者、哲学者として「構造構成主義」を創始し、体系化したことで知られています。そして、東日本大震災後に立ち上げた「ふんばろう東日本支援プロジェクト」で、自らつくり出した構造構成主義の理論を被災地復興のために実践的に生かすシステムを作り上げ、成果を上げたことで注目されています。西條さんに現在の支援活動の内容、影響を受けた本、電子書籍の可能性などについて伺いました。

悲劇が二度と起こらないようにするために


――「ふんばろう東日本支援プロジェクト」では、様々な方が被災地の支援活動を行っていますが、現在西條さんは主にどのような活動をされていますか?


西條剛央氏: プロジェクトは数十ありますが、もう僕が直接かかわらなくても回るようになってきていますね。僕がかかわっているプロジェクトの中では、特に大きいのが防災プロジェクト、特に108人中74名の子どもたちが亡くなった大川小学校の調査です。なぜあのような悲劇が起きてしまったのかは解明されておらず、なぜ起きたかを現地の人も知りたがっているし、それが分からないと再発防止もできないので、悲劇が二度と起こらない様にするために明らかにして欲しいというご遺族の要望もあり、専門の質的研究法を使った論文をまとめているところです。今はメンタルの専門家の人と一緒に現地に入って、ご遺族の方々をサポートしつつ、また「大川きぼうプロジェクト」といって定期的なワークショップやお祭りなどで現地の人達が集まり、交流できるようなプロジェクトも行っています。

――現在どのくらいの数の人が「ふんばろう」のプロジェクトにかかわってらっしゃるのでしょうか?


西條剛央氏: 去年のFacebookの登録者だけだと3000人位ですが、それ以外にも参加している方はいますし、またその中でももちろん全員がいつも動いてるわけではなくて、動ける人は変わっていくところもあります。

――西條さんご自身は震災までボランティアの経験がなかったとお伺いしました。プロジェクトのスタートから生活は大きく変わりましたか?


西條剛央氏: 軸となる考え方は変わらないですが、やっていることは相当変わりました。それまではどちらかというと、研究をしたり、本を書いたり、部屋に引きこもって仕事をするタイプだったのですが、表に出て、マスコミにも全部出ようって決めてやってきましたので、振る舞いや表面的な活動は変わりましたね。ただ震災から1年以上たって、現地も落ち着き始めてるところはあるので、僕自身も自分の本来の仕事を生かして、専門の研究の方に力点を戻しつつあります。心理学とか質的研究法とかのツールや、構造構成主義とか組織心理学的な観点を、組み合わせて持っている人はそうそういないと思うので、自分じゃないとできないところ、自分の専門を生かしながらやるというかたちに変わってきてはいますね。

――ご専門である構造構成主義の考え方に基づく被災地支援の概要は、『人を助けるすんごい仕組み』(ダイヤモンド社)などの一般向けの本でも説明されています。反響はいかがですか?


西條剛央氏: 本を読んで「ふんばろう」とか、サポータークラブに入って来る人は多いです。本でみなさんに響くところがあればと思いますね。取材に来てくださる方も、ほぼ100%本を読んで来てくださるので話が早いのというのもあります。その前は大体「ほぼ日刊イトイ新聞」の連載を読んでくださる方が多かったですが、もっと体系的に「これさえ読んでもらえれば」っていうのができたと思っています。

本は雑多に読むが「無類の本好き」ではない


――西條さんご自身の読書について伺いたいと思います。ボランティアを始められてからは読書する量に変化はありましたか?


西條剛央氏: 本を読むっていうのは、僕にとってはご飯を食べたり空気を吸う様なもので、あんまり読書量とか気にしたことはないですけど、去年はやっぱりプロジェクトを立ち上げて、震災以後はがたっと減りましたよね。去年は読んでる暇が、全くとはいわないですけど殆どなかった。だけど最近はまた自分のペースを取り戻してきてるんで、適当に読んだりしてます。

――西條さんが読まれる本のジャンルとしては、専門書が多いのでしょうか?


西條剛央氏: いや、雑多です。専門の本を読むことの方が少ないかもしれないですね。適当に面白そうなものを読むことが多いです。小説も読みますし、週刊誌も読みます。『少年ジャンプ』も立ち読みしてます。ただ、学校の近くでは立ち読みしにくいですね。「先生がジャンプを読んでるよ」みたいに思われるのもなあと、知ってる人がいないかちょっとキョロキョロして(笑)。ただ、僕は無類の本好きまではいかないかもしれなくて、しょっちゅう本屋に行ってとか図書館に入り浸ってみたいなことはありません。本を集めていっぱい読むことに喜びを見いだす様なコレクターみたいなタイプではないですね。



――本を購入するときは、本屋ではなくネットで購入することが多いですか?


西條剛央氏: もちろん本屋に行くことはありますが、Amazonで買っちゃった方が早いということが多いですね。ただネットで買うと失敗することもあります。同じ本を何冊も買っちゃったりする。同じ本を買うってことは、昔も同じものに目をつけたってことですから、自分って変わんないなと思いますね。ただ新刊で買える本は、古本ではあまり買いません。Amazonとかで古本を買う人が増えると出版業界も衰退しますよね。僕のように研究費をもらえる人はちゃんと買った方がいいと思ってます。

――小説の好きなジャンル、作家さんを教えていただけますか?


西條剛央氏: 北方謙三さんの『水滸伝』とか、その後の『楊令伝』。今はその続きの『岳飛伝』(全て集英社)ですが、全部読んできましたね。北方謙三さんの本はどれくらい読んでいるだろう。4、50冊は読んでるかもしれない。たまに仕事に疲れたときとかに読んでいます。その世界観に浸ることでなんとなく癒やされたり、また自分の取り組んでいる活動と重ね合わせて何かが明晰に見えてくることがよくあるんです。

著書一覧『 西條剛央

この著者のタグ: 『英語』 『考え方』 『可能性』 『紙』 『MBA』 『ボランティア』 『プロジェクト』 『読み方』

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