潮匡人

Profile

1960年青森生まれ。早稲田大学法学部卒業。同大学院法学研究科修士課程修了後、東京放送報道制作部契約社員を経て航空自衛隊に入隊。第304飛行隊、航空総隊司令部、長官官房勤務等を経て三等空佐で退官。日本における「軍事学」の必要性を説く。近著に『日本人として読んでおきたい保守の名著』(PHP新書)、『「反米論」は百害あって一利なし』(PHP研究所)など。テレビにも多数出演。
潮匡人事務所 http://www1.doshisha.ac.jp/~kasano/index.html

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垂直軸を大事にするとブレない


――潮さんの著作や発言にはブレない一貫したものを感じますが、どんな理念をお持ちですか。


潮匡人氏: もし私の仕事に何か一貫したものがあるとしたら、本当に文字通りのプロとして、その媒体に合わせた書き方や、その番組に合わせた振る舞い方をして、越えてはならないレッドラインを越えないということかもしれません。テレビ朝日の番組なのに、レッドラインを踏み越えた発言によって、視聴者を失うことはプロとしてすべきことではないと思っていますね。基本的にいただいたお仕事は断らないし、家族を養うためにもテレビに出て、原稿を書くことが正真正銘私の仕事の主軸です。もし私の中で恐らくブレてないコアになってる中核的なものがあるとしたら、「人間は神ではない」という考えですね。

――神とは、キリスト教でいう神ですか。


潮匡人氏: 私は、洗礼を受けたキリスト教徒なので、当たり前にそう思っています。少なくとも、私が否定的な意味で「リベラル」と分類する方々は、「確かに人間は神ではないが、努力や工夫をすれば神に近づくことができる」といったリアリティーのない理想論を語りますが、私は「人間は神ではない。ゆえに必ず間違いを犯す」と考えます。例えば、カトリックの教えでは、「神が選んだ結婚」という表現があって、神が選んだ相手を人が離してはならないとして、離婚は罪になります。かつて日本では、三高といって、高身長、高学歴、高収入を相手に求めるという時代がありましたが、そういう基準で相手を選ぶと絶対に幸せになれません。

――それは、政治や軍事的なものにも当てはまりますか。


潮匡人氏: どんなことであれ、改革に過剰な期待は持たない。特定の政治家にも過度の期待は持たない。なぜなら安倍晋三であれ、誰であれ、神ではないのですから。軍事的にも、永遠の平和などということはあり得ないので、当然、防衛力を含めた備えをせざるを得ないという結論になるわけです。北朝鮮の問題を六カ国協議の枠組みで解決できると信じたり、拉致問題には証拠がないとか、レーダー照射を受けても大騒ぎすべきではないなどとおっしゃるような方々がリベラルだというのは、驚きです。

――むしろ歴史にかんがみるべきということですか。


潮匡人氏: 人間の理性に過大な信頼を置かないからこそ、千数百年に渡って受け継がれている伝統の中に恐らく答えがあるのではないかという考え方になります。私はいつも木になぞらえて、この垂直軸を大事にしろと言っています。私の言う悪い意味でのリベラルというのは水平次元で。だから人と人を比べて、三高を基準に結婚にしたりする。神様にめあわされた結婚は垂直軸で、日本語でいう神なり仏なり、永遠の真理に向かってずっと伸びていく木である。そしてその根っこは、日本の場合で言えば皇室伝統や、今私達がこうして使ってる日本語のように、最低でも千数百年に渡って受け継がれている伝統文化にしっかりと根ざしていると。だからこそこの木はブレないんだという考え方が私のコアになっているのかもしれません。

――今後のお仕事についてはいかがですか。


潮匡人氏: 本がなかなか売れなくなっているのがつらいところですね。以前に共著の本で小林よしのり編の『日本を貶めた10人の売国政治家』が23万部売れたのは、つい3年ほど前のことですが、これからは、まさに電子書籍化そのほかの流れでネットのほうに移行していく中で、私が昔からあこがれているような、本が増刷を重ねて「夢の印税生活」を送ることができる可能性はやせ細っていくんだろうなという悲観的な見通しを持っています。そうすると、それ以外のところで市場を開拓し、広げざるを得ないでしょう。多分これからTwitterとかFacebookなどのツールを通しての情報発信やソーシャルネットワーキングがさらに求められ、やらざるを得ない世の中にどんどんなっていくと思います。

(聞き手:沖中幸太郎)

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この著者のタグ: 『ジャーナリスト』 『考え方』 『生き方』 『可能性』 『ソーシャルメディア』 『歴史』 『書き方』 『自衛隊』 『期待』

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