志村一隆

Profile

1968年、東京生まれ。1991年早稲田大学卒業、WOWOW入社。2001年ケータイWOWOW設立、代表取締役就任。2007年より情報通信総合研究所で、放送、インターネットの海外動向の研究に従事。2000年エモリー大学でMBA、2005年高知工科大学で博士号。著書に、『明日のメディア-3年後のテレビ、SNS、広告、クラウドの地平線』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『明日のテレビ-チャンネルが消える日』(朝日新聞出版)、『ネットテレビの衝撃-20XX年のコンテンツビジネス』(東洋経済新報社)などがある。また水墨画家としても、海外で高い評価を受けている。

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一から歴史を作るという魅力


――一期生としてWOWOWに入ったと聞いていますが、どうやって選ばれたのですか?


志村一隆氏: 歴史ある組織が嫌だったんです。これは大学に入った時もそうなんですが、先輩がいたりするのが本当に嫌で、「大学にせっかく入ったんだからもう1年のうちから本当に自由にやりたい」と思って、自分でサークルを作っていました。WOWOWに入ったのもその延長線上で、「来年この会社ができるよ」という話を聞いて、「これは先輩がいないからいいんじゃないか?」と思ったんです。

――自分で歴史を作るわけですね。


志村一隆氏: 要は自由にできるんじゃないかっていうことで(笑)WOWOWの面接はすごい力を入れて受けたんです。
他の就活では本当にもう舐めきっていて全然真面目にやっていなかったんです。「自由に受けるべきだ」「こんな自分を取るべきだ」というような独り善がりな考え方で、本当はスーツで行くべき銀行の面接などに短パンをはいて受けに行ったりたりしていました。「学部にこだわってないって書いてありますよね」、「自由な服装で来てくださいって書いてありますよね」というような挑発的な感じでした。

――どうやって就職活動を乗り越えられたのですか?


志村一隆氏: 当然どこにも受からず、「なんかこれ、ちょっと違うな」と思い始めて、一応スーツで回り、いっぱい面接を受ける内に、どういう話に反応がいいのか、というコツがだんだん分かってきたんです。面接官の前でわざと涙を流したこともありました。最終的にはWOWOWを初め、鉄鋼会社など色々な会社から内定をいただきました。

人間性を評価され、成績は1位


――振り返ってみて、どんな社会生活だったと思われますか?


志村一隆氏: WOWOWはできたばっかりだったので、本当に自由でした。最初、6年ぐらいは営業で、電気屋さんやケーブルテレビ局を要はドサ回りしていたんですが、営業成績はなぜかずっと1位でした(笑)。その時に思ったのは、中途採用の方で、何人か先輩らしき30歳くらいの人たちがいたのですが、彼らはやっぱり体力もそうだし、仕事も10年ぐらいの経験があるのであんまり熱心にやらなかったり手を抜いちゃったりするわけです。彼らは適当なので、手を抜くところを知っている。でも自分は社会人になったばかりだったので、なにか反応があったりすると結構面白くて、細かく、とにかく熱心に仕事をしていました。

――自分のどういった部分が評価されたと思いますか?

志村一隆氏

志村一隆氏: 色々な営業の仕方を考えて話を持って行くうちに、「若い兄ちゃんが電気屋さんに来てくれる」と噂になりました。電気屋さんにくる人は、現地にあるローカル販社の人で、早稲田などキャリアを持つ人はいないわけです。それなのに、自分が行くと面白い話をするし、30歳の普通の社会人が言わないようなことを言うので、「なんか変な人だな」と興味を持たれて、息子さんの進路相談に乗ったりして、どんどん食い込んでいったんです(笑)。

――WOWOWの社員としての仕事をしながら、人間性を見られていたということですね。


志村一隆氏: そう。それで成績が良かったんです。あとは担当する電気屋さんでも、メインの流通は全部先輩に取られちゃうんです。新人は余ったところに行くんですが、お店自体もあまりケアしないようなところで、今後伸びる可能性の高いところでした。ビックカメラとかヤマダ電機とかコジマは、今は有名ですけれど、当時はメインストリームじゃなかったんです。若手はそういうところに行かされました。20年前の彼らは、例えば大手などのメーカーからテレビを卸してもらえなかったりするような時代だったので、そこに行って熱心に仕事をする自分は、とても気に入られました。

――今のコジマやビッグカメラなどの流れというのを、一緒に作り上げてきたということですか?


志村一隆氏: ちょうど転換期というか、彼らがとても伸びた時に一緒に営業していたという感じです。

著書一覧『 志村一隆

この著者のタグ: 『クリエイター』 『チャレンジ』 『考え方』 『働き方』 『原動力』 『テレビ』 『テクノロジー』 『技術』 『美術』 『就活』

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