本の出版は、人との出会いを活かすことで決定する
――本を出版するようになったきっかけはなんだったのでしょうか。
内田雅章氏: 元々のきっかけは、講談社の編集長とパーティーで偶然出会ったことです。出会った時に、「こういう本を出したい」と、プレゼンしたんです。そしたら、「その企画はつまらないからだめだ」と言われてしまったんですが、「じゃあ、どういう本だったら良いですか」と食い下がりました。「君は何が強みなの」と言われ、強みはわからなかったのですが、銀行員や銀座のクラブオーナーなど、自分の経歴を話したんです。そしたら、「なんでそんなに色々なことができたの?」と言われたので、「こういう人にお世話になって」とか、「こういう人に出会って」とか、お世話になった方の名前をたくさん出して説明しました。すると編集長が「それって皆知り合いなの?なんでそんなすごい人たちと知り合ってるの?」と、興味を持ってくれたんです。そして、「その人たちとどういう風に仲良くなったのかを解説する本だったら、うちで出そう」と言ってくださったわけです。それが私の1冊目となりました。
本なんて、普通の人間である自分が出せるものじゃないと思っていたのですが、たまたま1冊目が売れ、次々と出版社さんからお話を頂いて、それで今は30冊以上になっちゃったんです。
――出会いを活かして、そこで正しく発揮した訳ですね。
内田雅章氏: 私の書籍の出版は、半分以上が編集者と出会ったり、パーティーなどで偶然会ったり、誰かの紹介だったりなどというように、その場で決定していました。一撃必殺なんです(笑)。
――どんな想いやメッセージを伝えようと思って書かれていますか?
内田雅章氏: 私は実践するための方法を書いているつもりです。ですから、できるだけ具体的な名前や場所などを書いています。「私でもできるかもしれない」という風に皆さんに思って欲しいんです。
――内田さんにとって執筆というのは、ある種のボランティア活動なんですね。
内田雅章氏: そうですね。もちろんお金などは目的ではなくて、使命感から本を書き続け、発信し続けているんです。同じ分野の他の本を見ても、「理論だけ」とか「マニュアル本」というようなものばかりなのが現状です。
存在を感謝される人になりたい
――ご自身の使命とはなんだと思いますか?
内田雅章氏: 私の使命は、私が知りえている先輩経営者の苦労話や、体験などを若い世代に繋いで行くことです。自分が20代だった頃に「こんな人がいたら良かった」と思える、人生の道先案内人のような人になりたいんです。
――その使命を果たすために、ご苦労をされたこともあるのではないでしょうか?
内田雅章氏: いつも自分を背水の陣に追い込んでいます。銀行も辞めようと決めていたんです。安定した職を手放すのにはかなりの勇気が必要でしたし、「生きていけるのかな」と、とても不安でした。大げさだと思われるかもしれませんが、死ぬかもしれないというくらいの恐怖もありました。その場にとどまっていれば、悪さをしない限り一生食べていける。それでも会社を辞めたのは、当時の私の周りには「こうなりたい」と思える人がほとんどいなかったからです。
――そういう意味では、皆さんにとっての理想の未来像を出してくれる本の存在というのは、すごくありがたいですね。
内田雅章氏: そうかもしれませんね。本という媒体を通じて、「存在してくれてありがとう」と思われる、父や母、その親である祖父母のような存在に自分もなりたいと思っています。
著書一覧『 内田雅章 』