望月実

Profile

1972年、愛知県生まれ。立教大学卒業後、大手監査法人に入社。監査、株式公開業務、会計コンサルティング等を担当。2002年に独立し、望月公認会計士事務所を設立。就活やキャリアアップにおいて「数字センス」で状況を切り開 いていく方法を伝えることをミッションとして、日本人を数字に強くするための活動を精力的に展開。 著書に『内向型人間のための伝える技術』、『ビジネスモデル分析術 数字とストーリーでわかるあの会社のビジョンと戦略』(共著)、『最小の努力で概略をつかむ! IFRS(国際会計基準)決算書読解術』(共著。以上、阪急コミュニケーションズ)など多数。講演、テレビ出演も行う。

Book Information

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伝えるためのレイアウト


――電子書籍の魅力はどのようなところにあると思いますか?


望月実氏: 検索できるのは素晴らしいと思います。リンクができたりするのもいいと思いますが、私はパソコンを見ている時間が多いので、正直に言うと、できるだけタブレットの画面ではなく紙で読みたいです。パソコンの画面も長文になるとプリントアウトして見ます。目の負担を考えると、どうしてもまだ踏み出せません。

――本の魅力は、どんなところにあると思いますか?


望月実氏: 質感ですよね。まだ私は電子書籍に入り込んでいないだけなので、習慣の問題という部分もあると思います。あとKindleの場合、見開きで見ることはできないですよね。会計の本というのは図が入るから、見開きで見えるように作っているんです。図を見た後に、文章を読むと分かりやすいといった場合、図が同じページにないと困ります。だから文字数を削ったりして、できるだけ綺麗にレイアウトするようにしています。元々会計はそれほど簡単なものではないので、「どうしたら分かりやすく伝えられるかな」ということをとても考えます。難しいものを、質を落とさずに分かりやすく書くために試行錯誤しています。

効率的な伝え方と、自分の経験をみんなに知ってもらいたい


――1月30日に『内向型人間のための伝える技術』が出されましたが、今回はどのような思いを込めて、執筆をされたのでしょうか?


望月実氏: 学生時代はお互いに知っている仲なので、少ししゃべれば良かったけれど、社会人になると、相手との背景が全然違うし、伝える内容も複雑なので、分かりやすく整理して伝えないと伝わらないですよね。でもほとんどの人が効率的な伝え方を分かっていないので、伝えることの大切さを一番に訴えたかったんです。それに対して自分はどうやってきたかという私の経験を、みんなに知ってもらいたいという思いで執筆しました。アメリカ人の例も出していますが、どの職種、どの国、どの場面においても通用する伝え方ではないかと思います。元々、国際的な会計事務所であるプライスウォーターハウスクーパース(PWC)にいたのも良かったと思います。国際的な会計事務所にいると、国境を越えても伝わる表現をしないといけません。そのことを新人時代に上司からよく注意されました。専門書を読んで自分の頭では理解できても、それを説得力のある文章では書けない。それで、説得力のある文章を一生懸命探し、その文章を参考にしながら文章を書くようにしました。

――人に伝える際に重要な事とはなんでしょうか?


望月実氏: 私は、他者との競争・比較にとらわれないということが大事だと思っています。みんなが同じところで競争するのは厳しいです。だけど1人ひとり得意なことはあるはずで、その得意なことを生かすことができるようになってほしいと思っています。「私はこれが得意だよ」ということを伝えるための技術が足りないから、評価されなかったり自分に自信がもてなかったりしているのだと思うんです。伝える技術というか、もっと言葉を上手く使えるようにならないといけません。私の本を読んで、何かをしたいと思うようになってくだされば、すごくうれしいです。私は、読んで動けるようなヒントを伝えたいのです。人前で堂々と話せなければだめだと言われても私には難しいけれど、その代わり色々なことを感じる能力があるわけで、それが私の強みです。そのどちらも同じ人間の一部なんです。私の場合は、緊張せずに話せるようにしたのではなく、自分はこういう長所があるということを上手く伝えられるようにしたんです。行動しなくては現実は変わりません。



――本を通して、今伝えたいことはなんですか?


望月実氏: モチベーションを上げる本なども今まであったのですが、答えが見えない状態でモチベーションを上げても辛いんです。でも、『内向型人間のための伝える技術』を読むことによって、自分の将来を悲観するのではなく、「自分は色々なことができるんだな」ということに気付いてもらって、そこにエネルギーを注いでいけるようになってほしいと思っています。
「こういう時はこう悩み、気付いてこういう風に考えました」という一公認会計士の気づきといったものを伝えたい。本には答えが明確な問題を提示して、こんなに上手く解けますよという書き方もあると思うのですが、今回の本で伝えたかったのは、答えの出ないことに対して、自分はどう必死に取り組んだかということ。私は多くの文章を書いてきましたが、未だに苦労しながら文章を書いています。まず書けそうなところを書いていって、あとで一生懸命につなげるんです。そうやって繋げていく作業というか、論理的な文章を作り上げて、それを伝えるということが私の仕事なんだろうなと思っています。執筆だけではなく、色々な生き方というか、自分にできることが、どんどんつながって新しいものができ上がっていったらいいなと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 望月実

この著者のタグ: 『コミュニケーション』 『経済』 『コンサルティング』 『お金』 『会計士』 『数字』

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