執筆のきっかけは、必然。
――執筆をすることになった具体的なきっかけとは、どのようなことだったのでしょうか?
村山涼一氏: 広告会社でずっとマーケティングの仕事をやっていたのですが、ある人に「本を書かないか?」と言われたんです。最初は「僕、書けません」と言っていました。そうしたら「ライターをつけるから喋ってくれ」と言われて、初めて出してもらったのが『ダカーポ』という雑誌でした。そこの巻頭特集の16ページくらいを、全く無名の僕がやらせてもらいました。これが、その後本を書くきっかけとなりました。
――雑誌からスタートされたんですね。
村山涼一氏: そうですね。『ダカーポ』を、ある出版社の編集プロダクションの社長さんが見ていて、その息子さんに「こいつは絶対売れるからおさえておけ」と言ったそうなのです。その後、その息子さんが僕のところに来られて、「うちは学研さんで事典を作っているのですが、やりませんか?」と言われて、本ではなく事典でデビューすることになりました。事典を介して予行練習が全部済みましたね。当時コンサルティングをしていた会社があったんですが、そこにPHP(研究所)の方がインタビューに来たんです。その彼とすごく話が合って「村山さんは面白いし、事典も書いていますよね。『THE21』という雑誌で何かやってくれませんか?」と言われました。その後、「後輩を紹介するから一緒に本をやらない?」と言われて作ったのが、あの『最強の戦略は「図」で立てる!』という本です。
――その後、数々の本を出されていきますが、執筆に対する想いをお聞かせください。
村山涼一氏: とにかく薄いことはやりたくないです。人の書いたものをまとめてもしょうがないし、自分の書いたものを薄く出してもしょうがないと僕は思っています。いつも「好奇心」を持っていますし、何かが知りたいという気持ちから本を書き始めることが多いです。
執筆には、多くの本を読み込んで臨む
――たくさんの本が並べられていますが、どのように分類されているのですか?
村山涼一氏: 僕の本は仕事単位に置いています。AKBの本を書く時に使った本、牛タンのコンサルをした時に使った本、というように、著者やカテゴリ別ではなく、1つの仕事や執筆ごとに分けて並べています。社会心理学や心理学の本がたくさんありますが、これは『しぐさの解読―彼女はなぜフグになるのか』という本を1冊書くためだけに全て読みました。
――執筆内容によって、様々な本を読まれているのですね。
村山涼一氏: 色々なことを知りたいし、答えを探したいから、すごい勢いで本を読みます。答えが見つかりそうなところに、全部線を引っ張って、ポイントになる部分には付せんをつけて、そのポイントを書いていきます。そこから引用して執筆を行います。
――「書く」ということが、同時にご自身の勉強にもなっているのですね。
村山涼一氏: 絶対そうですね。自分が知りたいと思うことしか本にしません。僕にとって「書く」ということは企画書を作ることと一緒で、新しい挑戦をして、勉強していったものが集まって、それが体系化されていくという行為なのです。
――執筆の資料とする本は、どのように集められますか。
村山涼一氏: 昔は池袋の本屋に行って「すみません、ここからここまで全部届けてください」と頼んで、棚買いしていました(笑)。それだけ一度に買っても本は4、5万円程度で済むので、僕にとっては大したことはないんです。棚買いした本は、当然全てが良質な本というわけではありませんが、それでも、どんな本も絶対に役に立ちます。また、「圧倒的に役に立つ本」というのも何冊かは絶対にあります。何かの仕事をして「これ、知りたいな」と思った時に出会ったコアの本は、徹底的に読み込みます。「あなたの読んだ本の中でベスト3を挙げてくれ」などと聞かれると必ず挙げる本もありますが、「この本1冊でたくさん儲けさせてもらっています」というぐらい使い倒せる本もありますよね。マイケル・ポーターさんの『競争の戦略』、伊丹敬之先生の『経営戦略の論理』、印南一路先生の『すぐれた意思決定』などがそういった本です。僕は、本との出会いは「セレンディピティ」だと思っています。
著書一覧『 村山涼一 』