折原みと

Profile

茨城県出身、湘南在住。1985年に少女漫画雑誌『ASUKA』(角川書店)にて『ベストガールになりたいの』で漫画家デビュー。『るり色プリンセス』(実業之日本社)を初めとする数多くの作品が刊行されている。小説家としての代表作『時の輝き』(講談社)、『真夜中を駆け抜ける』(講談社)や『ときめき時代』シリーズ(ポプラ社)などがテレビドラマ化された。漫画・小説以外にも、エッセイ、詩集、お料理本、絵本、CDなど、幅広く活動している。浴衣のデザインや公立高校での講師、ドッグカフェの経営なども行なっている。

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読書は異世界への扉を開ける


――本は小さなころからお好きでしたか?


折原みと氏: 子供のころから本は好きでしたね。1歳の字が読めないぐらいの時から、親にずっと読み聞かせをしてもらって、小学、中学、高校と、本はずっとよく読んでいました。

――最近はどんな本を読まれましたか?


折原みと氏: 百田尚樹さんの『永遠の0』は泣けましたね。

――読書はどういった時にされることが多いですか?


折原みと氏: 寝室で寝ながら読んでいます。私、本は一気に読みます。スイッチが入ったらそれしかやらないです。あと、好きな作家さんは、1冊読んで面白かったら飽きるまでその人の本だけ読むという感じです。

――本はどういったところで買われますか?


折原みと氏: 最近はAmazonが多いですよね。逗子だと、悲しいことに、あまり大きい本屋さんがないんです。手に入らないことが多いので、Amazonで買います。

――折原さんにとって読書というのは、どんな行為ですか?


折原みと氏: 自分が書く時も異世界トリップですけれど、読む時もそうです。昔『扉を開けて』という、本を紹介するエッセイを書いたんですけど、読書というのは、扉を開けて別の世界に行ったり、別の経験ができるツールです。何にでもなれるし、何処へでも行ける。知らないことを知ることができることが楽しいのでしょう。

――電子書籍は利用されていますか?


折原みと氏: 私の本も電子書籍にはしていただいていますが、私は読んでいません。電子書籍がいまいちよくわかっていないんです。

――今日はiPadもお持ちしました。もしよければ触ってみてください。


折原みと氏: これだったらそんなに読みづらくないですね。携帯サイズだと小説を読むのはイヤだなと思うけど、これならそんなには違和感ないかな。でも紙だったら、前の方を読み返したくなった時にパラパラ見ながらめくれますが、電子書籍って何百ページもスクロールするのかな。そういう時は紙の方が楽ですね。



本は「ぬくもり」をパッケージにする



折原みと氏: 漫画も今はデジタルで描く人が多い。私はアナログだから、どうやってやっているんだか全然わからないんです。私は小説を書く時すらもアナログです。

――小説を書く時も手書きですか?


折原みと氏: そう、手書きです。すでに希少価値みたいになっていて、以前は「早くパソコンにしてください」って言われていたんですけど、最近あまりにも珍しくなったので、「やっぱり手書きっていいですね」って言われるようになりました(笑)。原稿もいまだにFAXで、いつもギリギリなので、できたところから送っています。今って印刷所とか、データで入稿しなきゃだめ、ですよね。私の場合は編集さんが、原稿をタイプしてくれるんですが、めちゃめちゃ二度手間かけさせてしまっているなと思います。

――手書きで原稿を書かれる際は、ペンや原稿用紙など道具にこだわりはありますか?


折原みと氏: ペンは、100円ぐらいのシャープペンで書いています(笑)。原稿用紙は小説の行組に合わせた原稿用紙を使っています。小説は16行×40ワードぐらいです。書いている時から、でき上がった時の字面がわかるように、特注でつくってもらいました。

――電子書籍には、どのような可能性があると思われますか?


折原みと氏: 私自身が書く時にBGMをかけて、気分を盛り上げながらやっていますから、音が出たり、音楽が流れたりっていうのはいいなって思います。あとは、配信だとすぐに読めるっていうのもいいですね。連載小説みたいな感じで、1日に何ページか配信して、まとまったら書籍にするというのはありだと思います。
ただ、本当に好きな本は、いとしくなって、絶対紙の状態で家に置いておいて、折に触れて読み返したりしたくなると思います。紙やインクの匂いも好きですし、装丁があるのもいいですし、触った時の感触も違います。そういうすべてがパッケージされた「本」というものに、やっぱり愛着を感じます。私の仕事部屋の一面は全部本棚になっていますが、本は場所をとるというところは確かにありますから、完全保存版ではないものだったら電子書籍でいいと思いますね。

――「手触り」を大切にされているということですが、折原さんが手書きで執筆されることも、創作の重要な要素になっているのかもしれないですね。


折原みと氏: 昔の私の担当さんが昔かたぎの編集さんで、「俺はパソコンの原稿なんてイヤだ」と言っていて、「パソコンで小説を書くっていうのは、好きな女とガラス越しに触れ合っているみたいなものだ」って言ったんですよ。すごくいい言葉だと思って、今でも覚えています。書いている時も、私と紙と鉛筆が触れ合っている。筆圧も、力が入っているシーンだと変わったりする。そういう感情が込められるのが好きです。原稿をもらった方も、「ここ、泣きながら書いてんだな」とか、紙にしみがついてて「ここ何か食べながら書いたんだな」みたいなことがわかる(笑)。パソコンだといつも均一ですから、つまんないなって思っています。それを読む時にも、紙だとなんとなくぬくもりを感じるということなのかもしれませんね。

熱意のある編集者と共に本を作りたい



折原みと氏: 本を作る人たちの熱というのがあります。編集さんとか、印刷屋さんとか、製本さんとか、取り次ぎさんとか、みんなが触っている。それが本の感動というか、私のもとに来たこの本がいとおしいという感じになるわけです。電子書籍の良さももちろんあると思いますが、やっぱりそこは違います。すぐ読みたい時には配信もいいですが、それだけで終わらせないでほしい。やっぱり書籍にもしてほしい。自分が本当に欲しいなっていう本も、紙で買って、とっておきたいと思います。

――編集者さんのお話がありましたが、理想の編集者はどのような方でしょうか?


折原みと氏: 熱意のある編集さんと一緒に仕事したいです。ずっとお付き合いしている方は、みんな熱意を持ってやってくださっていますが、たまにビックリするのは、1回だけの短編小説とか、ちょっとしたコラムの依頼があった時、若い編集さんで、メールで依頼が来て、FAXで原稿を送って、メールで「ありがとうございました」っていうのが来ておしまい。電話すらしてくれないということがあるんです。メールで「原稿料の振込先を教えてください」とメッセージが来るだけ。そういう方とは二度と仕事したくないと思います。やっぱり、原稿を渡したら、良くも悪くも感想を一言言ってほしいんです。それすらないのはすごく寂しい。
やっぱり作品を一緒に作っていける人が楽しいですよね。恋愛小説を書いている時だと、若い女の子の編集さんが楽しいです。「キャッキャッ」って二人でときめきながら作っています(笑)。一緒に取材に行ったり、飲んだりとかもして、ガールズトーク的なことをしながら話を作っていけますね。あとひとつ、理想の編集者の条件は、お酒が飲めること(笑)。ちょっと飲むと本音が出てくるし、ずっと真顔だけだとつまらない。たまに「お任せします」という感じで何にも言わない編集さんもいますが。全部の仕事が魂と魂のぶつかり合いだと疲れるので、こだわりがぶつかっているところと、そうでもないところと両方あるといいです。

著書一覧『 折原みと

この著者のタグ: 『女性作家』 『こだわり』 『アナログ』 『漫画家』 『小説』 『手書き』 『情熱』

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