本橋信宏

Profile

1956年生まれ、埼玉県所沢市出身。 早稲田大学政治経済学部卒業。 写真雑誌『スクランブル』元編集長。 “バブル焼け跡派”として、幅広くニッポンの世相を見つめる異色の書き手。執筆分野はノンフィクション・小説・エッセイ・評論など。 雑誌メディアを中心に政治思想からサブカルチャーまで多方面にわたる文筆活動を展開している。著書に『裏本時代』『AV時代』(幻冬舎アウトロー文庫)、『ドクター苫米地が真犯人を追う!』(苫米地英人博士との共著)『やってみたら、こうだった』『戦後重大事件プロファイリング』(宝島社)、『新・AV時代』(文藝春秋)等多数。

Book Information

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自分が関心があるもの、好きなことを追求する


――本橋さんの理念とはどのようなものでしょうか?


本橋信宏氏: 例えば芥川龍之介や、裏世界などのアンタッチャブルな世界など、自分が関心があるもの、好きなことを追求することです。ライターデビュー当時の関心は女子大生で、その後『ビデオ・ザ・ワールド』で、22年くらいAV女優インタビューしてきました。インタビューの対象としては、今はなぜか人妻が多く、人妻の本も書きました。今、ブログやFacebookなどをやってると読者との距離が近くなり、感想などをメールで送ってくれるのですが、その中に、人妻から「相談に乗って下さい」というメールもあるんです。私のインタビューの特徴の1つはとことん聞くことなので、耳に人生相談ダコが出来るくらい(笑)相談に乗ります。

――インタビューの対象としては、女性が多かったですか?


本橋信宏氏: 全学連研究など、いろいろなアンダーグラウンドの話や怖い世界も入ってきたけど、半分くらいは女性でしょうか。女子大生、風俗嬢、AV女優、人妻などについて書いたり、「女で食わしてもらっている」という感じもします。

――今、本橋さんが興味をもたれているものはなんでしょうか?


本橋信宏氏: 今は、大映の昭和30年代の映画の脇役陣に凝っています。「少年ジェット」は大映テレビの第1回目の作品で、昭和34年に出来たのですが、若尾文子や田宮二郎など主役クラスの脇で、ほとんど台詞もないような役者が出ていました。「少年ジェット」に出て来るブラックデビルという役は、高田宗彦という大映の俳優がしていたのですが、昭和30年代に子供だった人たちは皆知っています。でも高田宗彦に関しては、何者なのかというのはほとんど知られていませんでしたが、彼の娘さんが松本留美さんという女優さんだと突き止めました。留美さんは劇団円の現役の女優さんで、インタビュー申し込んで、お父さんの話を聞こうとしたら、高田さんはその半年前にお亡くなりになったということが判明しました。彼がつい最近まで生きていたんだと感慨深いものがあって、私の中に昭和30年代の街並みが浮かび上がってきました。そのトリップ感は官能的ですらあります。

――ネタ、テーマが様々な分野に及ぶというか、豊富ですね。


本橋信宏氏: いつか温めてみて出そうと思っている隠し球もあります。あと私は、島田清次郎、相馬泰三などの消え去った私小説系作家が大好きなんです。あとは芥川龍之介、西村賢太も大好きです。芥川龍之介は前期の頃よりも後半の私小説的色合いの強まった作品が好きで、彼の生き方に学ぶ、といった内容の本を出す予定です。

読者を裏切れない


――最後に、今後の展望をお聞かせ下さい。


本橋信宏氏: これからも傍観者の贖罪という気持ちを持ちつつ、摩訶不思議な人間を、形態はノンフィクション、エッセイ、小説、などに変わっても、ずっと書き進めていきたいと思っています。『裏本時代』はテーマが青春の野望と挫折なので、感情移入して「会いたかったです」と読者が私の所に会いに来たりします。愛読者が「あの時に全部を失った本橋が、こうやって頑張っている」ということが、彼らの1つの希望の星になっているようなので、そういう意味では、読者を裏切れないなと思っています。“頑張っている”という言葉はあまり好きではないから、せめて“踏ん張っている”私の姿を見てもらうためにも、これからも、正史からはみ出した記録されない人物、事象を活字で残していきたいと私は思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 本橋信宏

この著者のタグ: 『女性』 『取材』 『フリーランス』 『古本』 『匂い』 『アウトロー』

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