大澤幸生

Profile

1968年、京都生まれ。東京大学工学部卒、工学系研究科博士(工学)取得。大阪大学基礎工学助手、筑波大学大学院ビジネス科学研究科助教授、東京大学大学院情報理工学研究科特任准教授などを経て現職。専門は人工知能、意思決定支援、知識工学。チャンス発見、創発システムデザインなどを研究。著書に、『未来の売れ筋発掘学』(編著、ダイヤモンド社)、『チャンス発見のデータ分析』(東京電機大学出版局)、『ビジネスチャンス発見の技術』(岩波アクティブ新書)、『イノベーションの発想技術』(日本経済新聞出版社)等がある。

Book Information

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今の夢は、データのマーケット創り


――最後に、今後の展望をお伺いします。


大澤幸生氏: 工学というのは、本来論文を書くことというよりも、実現したいものがあってそっちへ向かって行く根本的な方法を創るということです。私の夢の一つは、データのマーケットを本当に作ることです。今もデータのマーケットっていうのは、あるにはあるのだけれど、検索エンジンに少し似ています。データが沢山リストになって出てきて、そのリスト上に出てきたこのデータは誰々が持ってますよという風に出ていたり、値段が付いていたりする。そういうWebサイトはあるんだけれど、うまくコミュニケーション環境ができていない今のデータのマーケットでは、そのデータの真価を発揮できないんです。結局、宝の持ち腐れが起こっている。そこを変えて、誰もがチャンスを発見できるデータのマーケットっていうのをつくるということ。それが私の夢の一つです。



――その夢を現実のものとするために、今思うことはありますか?


大澤幸生氏: 何が難しいかというと、「この世界に興味をまだ持っていない人も乗せていこう」というそのプロセスが難しい。本の場合は今裁判などが色々あって、逆風が吹いたり、あるいは順風が吹いたりするかもしれませんが、時代はデータのマーケットに向かっていくと私は今思っています。電子出版の業界も恐らく十分有望な業界だろうと思います。ビッグデータというものがありますが、私は、あれは下手をするとピッグデータ、つまりブクブク太っているだけのデータになってしまうと思っています。だけども、本当に良質のデータはある。それは、1つ1つは小さいものだけど、ネットワーク上でつながっている。それをいかにして組み合わせて、そこからインテリジェンスを引き出すかということができれば、それはもはやピッグデータでなく、シャープさを持ったグレイトなデータとなります。これをシャープデータと呼んで、最近はSharp data are mightier than big data(シャープデータはビッグデータより強し)という講演も国内外でしています。そういう世界を創ろうというのが今、私や研究室の皆の夢になっています。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 大澤幸生

この著者のタグ: 『大学教授』 『原動力』 『研究』 『人工知能』 『データ』

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